韓国では昨年、出生27万2000人、死亡30万5000人となり、1962年の住民登録制導入以降、初めて人口が減少した。出生率も昨年0.84人と、過去最低を更新した。経済協力開発機構(OECD)37加盟国のうち出生率が1人未満の国は韓国だけだ。2年連続で世界198カ国のうち最低値だった。14歳以下の人口比率も最も低い。
「人口減少」は国家安全保障において深刻な問題となる。来年の目標兵力50万人維持も難しい。常備軍50万人は130万人にのぼる北朝鮮軍の軍事脅威に対応するマジノ線だ。2036年には最大限に徴集しても40万人維持が厳しい。
国防部は転換・代替服務の縮小、現役判定率の上方修正などで兵力確保案を検討中だが、根本的な対策ではない。女性徴兵制の話まで出ている。これは北朝鮮・イスラエルなどごく少数の国が施行しているが、効率性の検証が求められる。優秀な女性人材活用を拡大するのはよいが、社会的な環境を考慮すると女性徴兵は深く考慮しなければいけない。したがって韓国軍は兵力中心の量的軍隊から先端科学技術の質的軍隊への体質の改善が急がれる。兵力は減っても戦闘力は強まる軍隊に変化する必要がある。
◆米中はAI軍備競争
現在、米国・中国など周辺国は国防改革を第4次産業革命と結びつけ、人工知能(AI)基盤の無人・ロボット体系に集中している。過去の米ソ間の核兵器競争のようにAI軍備競争も米中2強構図で進行中だ。中国は2017年に「次世代AI発展計画」を提示するなど、真っ先に国家レベルのAI戦略を推進している。社会主義一党独裁体制の特性を利用して予算・人材・資源を集中し、2030年以降の世界AI先導国を狙う。AI基盤の新しい武器体系に果敢に投資しながら中国の軍隊を革新中だ。
米国は世界最高の人材プールとと先端科学技術を活用し、2040年までにAI基盤の無人・ロボット体系への部隊構造再編を目標にしている。米国防総省に共同人工知能センター(JAIC)を設置し、グーグルやアマゾンのようなグローバル企業のAI技術を国防分野に取り入れる。2030年までの有人・無人複合体系の構築を中間目標に設定した。有人・無人複合体系が構築されれば、1台の有人戦車が3、4台の無人戦車を指揮して戦う。2040年に無人体系が完成すれば、有人戦車1台も無人に転換され、兵力は安全地帯で遠隔指揮する。
無人・ロボット体系は3つ効果を達成できる。1つ目、兵力の所要を減らし、人口減少問題を解消する。無人体系を運用する専門人材は一部増えるだろうが、無人戦車・艦艇・戦闘機が投入され、戦闘現場の兵力は半分以下に減る。人命被害も最小化できる。米軍は2008年のイラク安定化作戦中、反乱軍の私製爆弾(IED)攻撃に爆発物処理ロボットを利用し、人命被害を10分の1に減らした。2つ目、任務の効率性を高めることができる。危険で反復される戦闘領域を無人体系が代わりにする。地下坑道施設への接近、化学兵器状況と水中任務の遂行、特定地点の持続監視など高危険・反復任務の遂行時には最少人員で効率的な作戦が可能だ。3つ目、先端技術とAIが結びついて大量生産されれば、少ない予算で現在の高価武器体系の効果を得ることができる。
◆兵力・費用減らしても国防力増強が可能
我々はここに答えを見いださなければいけない。AI基盤の無人・ロボット戦闘体系は、少数人員・低費用・高効率への体質改善で兵力・費用を減らし、国防力は増強させることができる。AI先進国の動向と試行錯誤を分析し、後発走者の利点とIT強国の強みを生かせば、短期間でその差を減らし、先端科学技術強軍として定着できる。
そのためには1つ目、「国防改革2.0」を急いで破棄する必要がある。国防改革2.0は2000年代初めにラムズフェルド元国防長官が推進した国防改革を参考に作られた。これは第2次・3次産業を基盤とする20年前のオールドファッションだ。人命重視の未来型部隊構造や北朝鮮の核の脅威に関するいかなる対策もない。ただ、部隊の規模と将軍の数を減らすのが改革であるかのようになった。また、戦車・艦艇・戦闘機など通常戦力の補強が中心であるため、戦力を増強するほど兵力の所要が増える。1人でも減らすべき状況の中でどうすればよいのか。速やかに国防改革2.0から抜け出し、第4次産業と連係したAI基盤の無人・ロボット体系の「国防革新4.0」(仮称)に軌道を修正する必要がある。
米国は韓国の国防改革2.0と似た通常兵器の改革を2009年に破棄した。その後の10年間は国防改革案がなかった。なぜ代案もなく破棄したのか。答えは簡単だ。過去の枠組みにこだわっていれば変化に追いつくことはできない。10年間の苦心の末、2018年に米国防総省が出した結論は、AI・自律化・ロボット技術を活用した無人・ロボット体系の部隊構造再編戦略だった。
2つ目、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)を中心に国防部・科学技術部など政府全体レベルの国家戦略とコントロールタワーが必要となる。韓国と米中などAI先進国の技術格差は1.8年ほどだ。IT強国の韓国のAI競争力が期待に及ばないという評価を受ける。国家レベルのAI戦略・政策の不在が最も大きな原因だ。政府が率先して第4次産業革命の先端技術を統合したり組み合わせたりすれば、これを克服できる。AI、無人・ロボット体系、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)など第4次産業分野の技術・人材・力量を調和させる政策調整が急がれる。民間の参加を拡大し、産・学・研中心研究開発を活性化するよう法・制度を改善することが求められる。AI基盤の無人・ロボット体系を国家防衛産業戦略に選定し、第2の防衛産業の奇跡と同時に次世代産業として牽引するのがよい。
◆創軍レベルで軍隊を再設計すべき
3つ目、創軍レベルで軍隊を再設計・改造しなければいけない。無人・ロボット体系は新しい国防概念と戦う方法(How To Fight)を要求する。我々は北朝鮮の核の脅威と通常兵器の脅威に直面している。2つの脅威を同時に克服する必要がある。北核脅威は米国の核の傘(拡大抑止)政策だけを信じるのはあまりにも危険だ。NATO式の戦術核共有、自衛権的核武装能力の確保など、あらゆる可能性を検討しなければならない。また人口減少の克服と共に通常兵器戦争の脅威に対応するカードがAI基盤の無人・ロボット体系だ。これが我々の非対称戦力に発展すれば、北朝鮮の核使用も抑止できる。こうしうた概念の下、戦う方法の再確立が求められる。現兵力の任務領域を補完し、有人・無人複合体系運用と無人戦闘体系の役割拡大で効率性を最大化する必要がある。これに伴う部隊の構造改革は、教理と編成、教育・訓練などあらゆる分野の新しい研究と発展が要求される。
変化にうまく対処できれば歴史の主人公になるが、停止すれば奴隷になったり歴史の犠牲になる。我々は時代に遅れた国防改革2.0に埋没してはいけない。さらに遅れる前に第4次産業と結びついた「国防革新4.0」に転換しなければいけない。
◆兵力が減っても戦闘力は高まる軍隊に
AI基盤の無人・ロボット体系が適用された部隊構造は単に兵力だけを削減するのではない。兵力が減っても戦闘力はさらに高まるよう改造する。
地上作戦分野では、無人捜索装甲車と無人戦車が危険地域で戦闘員の役割を代行することで人命被害を最小化し、迅速・正確な偵察・戦闘を遂行できる。ドローンを利用して多数の標的をリアルタイムで追跡し、必要なら選別攻撃も可能だ。地雷探知ロボットは兵力がしていた地雷探知・除去を、遠隔制御なく、ロボットが自ら安全かつ迅速に遂行する。
海上作戦分野では、無人艦艇が北方限界線(NLL)のような危険海域と劣悪な気象・環境でも任務遂行が可能だ。有人・無人艦艇とドローンを統合運用すれば作戦半径が大きく拡大し、監視の空白も減る。敵の艦艇と潜水艦のデータを蓄積して自律走行・先端センサー・AIと融合すれば、戦闘遂行の信頼性も高めることができる。米国・中国はAI基盤の無人潜水艦も開発し、年内に実戦配備する。韓国軍も無人艦艇を試験中だ。
空中作戦分野では無人航空機が戦争序盤の高危険状況で監視・偵察任務を遂行したり、大量人命被害が予想される場合に運用される。有人・無人航空機の統合運用時にはシナジーを高めることができる。米国は1機の有人戦闘機を無人偵察機、無人電子戦機、空対地無人機など3、4機の無人機が護衛する有人・無人機パッケージを試験中だ。ステルス無人機も開発している。
キム・ヨンヒョン/元合同参謀本部作戦本部長/崇実大一般大学院招聘教授
「人口減少」は国家安全保障において深刻な問題となる。来年の目標兵力50万人維持も難しい。常備軍50万人は130万人にのぼる北朝鮮軍の軍事脅威に対応するマジノ線だ。2036年には最大限に徴集しても40万人維持が厳しい。
国防部は転換・代替服務の縮小、現役判定率の上方修正などで兵力確保案を検討中だが、根本的な対策ではない。女性徴兵制の話まで出ている。これは北朝鮮・イスラエルなどごく少数の国が施行しているが、効率性の検証が求められる。優秀な女性人材活用を拡大するのはよいが、社会的な環境を考慮すると女性徴兵は深く考慮しなければいけない。したがって韓国軍は兵力中心の量的軍隊から先端科学技術の質的軍隊への体質の改善が急がれる。兵力は減っても戦闘力は強まる軍隊に変化する必要がある。
◆米中はAI軍備競争
現在、米国・中国など周辺国は国防改革を第4次産業革命と結びつけ、人工知能(AI)基盤の無人・ロボット体系に集中している。過去の米ソ間の核兵器競争のようにAI軍備競争も米中2強構図で進行中だ。中国は2017年に「次世代AI発展計画」を提示するなど、真っ先に国家レベルのAI戦略を推進している。社会主義一党独裁体制の特性を利用して予算・人材・資源を集中し、2030年以降の世界AI先導国を狙う。AI基盤の新しい武器体系に果敢に投資しながら中国の軍隊を革新中だ。
米国は世界最高の人材プールとと先端科学技術を活用し、2040年までにAI基盤の無人・ロボット体系への部隊構造再編を目標にしている。米国防総省に共同人工知能センター(JAIC)を設置し、グーグルやアマゾンのようなグローバル企業のAI技術を国防分野に取り入れる。2030年までの有人・無人複合体系の構築を中間目標に設定した。有人・無人複合体系が構築されれば、1台の有人戦車が3、4台の無人戦車を指揮して戦う。2040年に無人体系が完成すれば、有人戦車1台も無人に転換され、兵力は安全地帯で遠隔指揮する。
無人・ロボット体系は3つ効果を達成できる。1つ目、兵力の所要を減らし、人口減少問題を解消する。無人体系を運用する専門人材は一部増えるだろうが、無人戦車・艦艇・戦闘機が投入され、戦闘現場の兵力は半分以下に減る。人命被害も最小化できる。米軍は2008年のイラク安定化作戦中、反乱軍の私製爆弾(IED)攻撃に爆発物処理ロボットを利用し、人命被害を10分の1に減らした。2つ目、任務の効率性を高めることができる。危険で反復される戦闘領域を無人体系が代わりにする。地下坑道施設への接近、化学兵器状況と水中任務の遂行、特定地点の持続監視など高危険・反復任務の遂行時には最少人員で効率的な作戦が可能だ。3つ目、先端技術とAIが結びついて大量生産されれば、少ない予算で現在の高価武器体系の効果を得ることができる。
◆兵力・費用減らしても国防力増強が可能
我々はここに答えを見いださなければいけない。AI基盤の無人・ロボット戦闘体系は、少数人員・低費用・高効率への体質改善で兵力・費用を減らし、国防力は増強させることができる。AI先進国の動向と試行錯誤を分析し、後発走者の利点とIT強国の強みを生かせば、短期間でその差を減らし、先端科学技術強軍として定着できる。
そのためには1つ目、「国防改革2.0」を急いで破棄する必要がある。国防改革2.0は2000年代初めにラムズフェルド元国防長官が推進した国防改革を参考に作られた。これは第2次・3次産業を基盤とする20年前のオールドファッションだ。人命重視の未来型部隊構造や北朝鮮の核の脅威に関するいかなる対策もない。ただ、部隊の規模と将軍の数を減らすのが改革であるかのようになった。また、戦車・艦艇・戦闘機など通常戦力の補強が中心であるため、戦力を増強するほど兵力の所要が増える。1人でも減らすべき状況の中でどうすればよいのか。速やかに国防改革2.0から抜け出し、第4次産業と連係したAI基盤の無人・ロボット体系の「国防革新4.0」(仮称)に軌道を修正する必要がある。
米国は韓国の国防改革2.0と似た通常兵器の改革を2009年に破棄した。その後の10年間は国防改革案がなかった。なぜ代案もなく破棄したのか。答えは簡単だ。過去の枠組みにこだわっていれば変化に追いつくことはできない。10年間の苦心の末、2018年に米国防総省が出した結論は、AI・自律化・ロボット技術を活用した無人・ロボット体系の部隊構造再編戦略だった。
2つ目、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)を中心に国防部・科学技術部など政府全体レベルの国家戦略とコントロールタワーが必要となる。韓国と米中などAI先進国の技術格差は1.8年ほどだ。IT強国の韓国のAI競争力が期待に及ばないという評価を受ける。国家レベルのAI戦略・政策の不在が最も大きな原因だ。政府が率先して第4次産業革命の先端技術を統合したり組み合わせたりすれば、これを克服できる。AI、無人・ロボット体系、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)など第4次産業分野の技術・人材・力量を調和させる政策調整が急がれる。民間の参加を拡大し、産・学・研中心研究開発を活性化するよう法・制度を改善することが求められる。AI基盤の無人・ロボット体系を国家防衛産業戦略に選定し、第2の防衛産業の奇跡と同時に次世代産業として牽引するのがよい。
◆創軍レベルで軍隊を再設計すべき
3つ目、創軍レベルで軍隊を再設計・改造しなければいけない。無人・ロボット体系は新しい国防概念と戦う方法(How To Fight)を要求する。我々は北朝鮮の核の脅威と通常兵器の脅威に直面している。2つの脅威を同時に克服する必要がある。北核脅威は米国の核の傘(拡大抑止)政策だけを信じるのはあまりにも危険だ。NATO式の戦術核共有、自衛権的核武装能力の確保など、あらゆる可能性を検討しなければならない。また人口減少の克服と共に通常兵器戦争の脅威に対応するカードがAI基盤の無人・ロボット体系だ。これが我々の非対称戦力に発展すれば、北朝鮮の核使用も抑止できる。こうしうた概念の下、戦う方法の再確立が求められる。現兵力の任務領域を補完し、有人・無人複合体系運用と無人戦闘体系の役割拡大で効率性を最大化する必要がある。これに伴う部隊の構造改革は、教理と編成、教育・訓練などあらゆる分野の新しい研究と発展が要求される。
変化にうまく対処できれば歴史の主人公になるが、停止すれば奴隷になったり歴史の犠牲になる。我々は時代に遅れた国防改革2.0に埋没してはいけない。さらに遅れる前に第4次産業と結びついた「国防革新4.0」に転換しなければいけない。
◆兵力が減っても戦闘力は高まる軍隊に
AI基盤の無人・ロボット体系が適用された部隊構造は単に兵力だけを削減するのではない。兵力が減っても戦闘力はさらに高まるよう改造する。
地上作戦分野では、無人捜索装甲車と無人戦車が危険地域で戦闘員の役割を代行することで人命被害を最小化し、迅速・正確な偵察・戦闘を遂行できる。ドローンを利用して多数の標的をリアルタイムで追跡し、必要なら選別攻撃も可能だ。地雷探知ロボットは兵力がしていた地雷探知・除去を、遠隔制御なく、ロボットが自ら安全かつ迅速に遂行する。
海上作戦分野では、無人艦艇が北方限界線(NLL)のような危険海域と劣悪な気象・環境でも任務遂行が可能だ。有人・無人艦艇とドローンを統合運用すれば作戦半径が大きく拡大し、監視の空白も減る。敵の艦艇と潜水艦のデータを蓄積して自律走行・先端センサー・AIと融合すれば、戦闘遂行の信頼性も高めることができる。米国・中国はAI基盤の無人潜水艦も開発し、年内に実戦配備する。韓国軍も無人艦艇を試験中だ。
空中作戦分野では無人航空機が戦争序盤の高危険状況で監視・偵察任務を遂行したり、大量人命被害が予想される場合に運用される。有人・無人航空機の統合運用時にはシナジーを高めることができる。米国は1機の有人戦闘機を無人偵察機、無人電子戦機、空対地無人機など3、4機の無人機が護衛する有人・無人機パッケージを試験中だ。ステルス無人機も開発している。
キム・ヨンヒョン/元合同参謀本部作戦本部長/崇実大一般大学院招聘教授
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