韓国原発の使用済み核燃料を特殊処理してリサイクルするパイロプロセッシング技術に対し米国政府が「妥当性が十分だ」と結論を出したことが確認された。韓国政府が脱原発政策を確固と維持しているのと違い、原発を「再生と持続可能なエネルギー源」と公式に認めたものなので関心を集める見通しだ。
26日の科学技術情報通信部と原発業界などによると、世界的原子力研究機関である米アイダホ国立研究所とアルゴン国立研究所は「パイロは経済的技術的価値があり、核非拡散性もクリアする」という内容を盛り込んだ報告書を来月に発刊する予定だ。アイダホ研究所とアルゴン研究所、韓国原子力研究院が2018年5月から3年にわたり共同研究した結果だ。
パイロは原発を稼動するために使って残った使用済み燃料棒を再び使える燃料棒に生まれ変わらせる先端技術だ。500~650度に達する高温溶融塩(塩とともに溶けている物質)に使用済み燃料棒を分割して入れた後、電気化学的方式で有害な放射性廃棄物をなくす。パイロ処理を経た使用済み燃料棒はナトリウム冷却高速炉(SFR)、鉛冷却炉(LFR)など次世代原子炉の燃料として再投入できる。
パイロは原子爆弾を製造するのに使われるプルトニウム分離が不可能な乾式処理方式のため国際社会の核拡散防止の気流にも合致する。プルトニウム抽出が可能な湿式処理方式は国際社会で厳格に禁止されている。
韓国の原発の使用済み核燃料貯蔵スペースはすでに飽和状態だ。昨年10-12月期基準でハンウル1号機は97.5%、月城(ウォルソン)4号機は96.5%、古里(コリ)3号機は97.2%に達する。パイロを導入しなければこれらの原発は寿命に達する前に強制的に止めるほかない。原子力業界は1997年からこうした飽和状態を予想してパイロを開発してきた。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は2017年の発足後から脱原発政策を推進しパイロに対する全面再検討を決めた。しかし3年余りにわたる韓米共同研究でパイロ技術の妥当性が立証され、脱原発政策をめぐる議論が再び強まるものとみられる。
◇米で「親環境エネルギー源」に認定…爆発の危険なく活用も可能
米アイダホ国立研究所とアルゴン国立研究所がパイロプロセッシングの技術的、経済的妥当性を認め、韓国の原発産業に新たな転機が設けられるものとみられる。両研究所は第2次世界大戦当時の原子爆弾製造と戦後の原子力の平和的利用を主導した世界最高権威機関だ。パイロプロセッシングは原発を「再生可能な親環境発電所」にアップグレードする先端新技術だ。
22日に開かれた気候変動サミットでバイデン米大統領は2030年までに炭素排出量を2005年に比べ52%に縮小するという積極的数値を提示した。専門家らは「原発活用を念頭に置かなくては不可能な戦略」という分析を出している。欧州連合(EU)は昨年に比べ2050年までに原発を20%、米国と英国は2~3倍に増やす戦略を確定した。特に次世代小型原子炉(SMR)であるナトリウム冷却高速炉、鉛冷却炉などに対する投資が活発だ。電力供給だけでなく大型原発で使って残った使用済み核燃料をリサイクルできるためだ。
◇使用済み核燃料、親環境リサイクル新しい電気
パイロはリチウム、カリウム、カドミウムなどが塩とともに溶けている500~650度の高温溶融塩から使用済み核燃料に含まれる有害放射性物質を分離する技術だ。2011年に米国とフランスがパイロ技術導入を国際社会に明らかにし開発競争に加速度がついた。
使用済み核燃料はウラン95.6%と残りの放射性物質で構成されている。ヨード、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどだ。処理方法は湿式、乾式の2種類に分かれる。湿式処理は使用済み燃料棒を硝酸水溶液に混ぜ入れてリン酸トリブチルを添加した後で電気を加えウランとプルトニウムを分離する。核燃料1本を100%とすると、プルトニウムは1%が残る。このプルトニウムだけでも原爆10個を製造できる。米国、英国、ロシアなど少数の「核先進国」が湿式処理技術を厳格に統制する理由だ。
これに対しパイロは湿式処理技術と違いプルトニウムを分離するのは科学的に不可能だ。さまざまな果物を混ぜたジュースから特定の味を選り分けるのが難しいのと同じだ。KAIST原子力・量子工学科のイ・ジョンイク教授は「パイロを一部で反対する最大の理由は、この技術が妥当性を確保すれば原発が持続可能エネルギーという事実が立証され、脱原発の論理が破壊されるため」と説明した。彼は「脱原発政策のために世界最高水準の韓国の原発技術は酸素供給が途絶えた脳死患者水準に置かれた。手遅れになる前に(患者に)ホースをつながなければならない」と話した。
◇「次世代原発燃料」に世界の耳目集中
パイロ技術が重要な理由は高水準核廃棄物の毒性をなくすだけでなく、次世代先端原発の燃料を新たに創出するためだ。パイロ処理を経た核廃棄物はナトリウム冷却高速炉(SFR)、鉛冷却炉(LFR)など各国が研究開発に力を入れている第4世代原発、いわゆる「GEN-4」の燃料として使われる。
SFRは高速中性子で核分裂を起こし、ナトリウムを冷却材に使う原子炉だ。速度が遅い熱中性子を使って水とホウ素を冷却材、減速材として使う韓国の大型原子炉(軽水炉)と違う。爆発の危険が大型原子炉と違いゼロに近いというのが専門家らの見方だ。米国をはじめフランス、英国、中国など各国が開発中だ。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏もやはりSFRを開発する会社に巨額を投資した。LFRは高速中性子で核分裂を起こし、鉛を冷却材に使う原子炉だ。ベルギー、ロシア、米国、中国、日本などが開発中だ。
原子力業界関係者は「使用済み燃料棒飽和問題で早期閉鎖される可能性が高かった第3世代以下の原子炉を最大限寿命が尽きる時まで活用する技術的基盤が用意された。今後次世代原子力政策を推進する名分が確保されたという点でも意味が大きい」と評価した。
業界によると、この技術が商用化される場合、現在30~40年間稼動できる原子炉の核燃料効率を2倍以上に拡大できる。次世代原子炉技術が導入されこの原子炉にリサイクル燃料棒を使う場合だ。
ただパイロが実際に導入されるまでには超えなければならない壁がある。原子力研関係者は「パイロに対する技術的検証は終わったが、両国が政治・外交的にどのような結論を下すかにより状況が変わるだろう」と説明した。
26日の科学技術情報通信部と原発業界などによると、世界的原子力研究機関である米アイダホ国立研究所とアルゴン国立研究所は「パイロは経済的技術的価値があり、核非拡散性もクリアする」という内容を盛り込んだ報告書を来月に発刊する予定だ。アイダホ研究所とアルゴン研究所、韓国原子力研究院が2018年5月から3年にわたり共同研究した結果だ。
パイロは原発を稼動するために使って残った使用済み燃料棒を再び使える燃料棒に生まれ変わらせる先端技術だ。500~650度に達する高温溶融塩(塩とともに溶けている物質)に使用済み燃料棒を分割して入れた後、電気化学的方式で有害な放射性廃棄物をなくす。パイロ処理を経た使用済み燃料棒はナトリウム冷却高速炉(SFR)、鉛冷却炉(LFR)など次世代原子炉の燃料として再投入できる。
パイロは原子爆弾を製造するのに使われるプルトニウム分離が不可能な乾式処理方式のため国際社会の核拡散防止の気流にも合致する。プルトニウム抽出が可能な湿式処理方式は国際社会で厳格に禁止されている。
韓国の原発の使用済み核燃料貯蔵スペースはすでに飽和状態だ。昨年10-12月期基準でハンウル1号機は97.5%、月城(ウォルソン)4号機は96.5%、古里(コリ)3号機は97.2%に達する。パイロを導入しなければこれらの原発は寿命に達する前に強制的に止めるほかない。原子力業界は1997年からこうした飽和状態を予想してパイロを開発してきた。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は2017年の発足後から脱原発政策を推進しパイロに対する全面再検討を決めた。しかし3年余りにわたる韓米共同研究でパイロ技術の妥当性が立証され、脱原発政策をめぐる議論が再び強まるものとみられる。
◇米で「親環境エネルギー源」に認定…爆発の危険なく活用も可能
米アイダホ国立研究所とアルゴン国立研究所がパイロプロセッシングの技術的、経済的妥当性を認め、韓国の原発産業に新たな転機が設けられるものとみられる。両研究所は第2次世界大戦当時の原子爆弾製造と戦後の原子力の平和的利用を主導した世界最高権威機関だ。パイロプロセッシングは原発を「再生可能な親環境発電所」にアップグレードする先端新技術だ。
22日に開かれた気候変動サミットでバイデン米大統領は2030年までに炭素排出量を2005年に比べ52%に縮小するという積極的数値を提示した。専門家らは「原発活用を念頭に置かなくては不可能な戦略」という分析を出している。欧州連合(EU)は昨年に比べ2050年までに原発を20%、米国と英国は2~3倍に増やす戦略を確定した。特に次世代小型原子炉(SMR)であるナトリウム冷却高速炉、鉛冷却炉などに対する投資が活発だ。電力供給だけでなく大型原発で使って残った使用済み核燃料をリサイクルできるためだ。
◇使用済み核燃料、親環境リサイクル新しい電気
パイロはリチウム、カリウム、カドミウムなどが塩とともに溶けている500~650度の高温溶融塩から使用済み核燃料に含まれる有害放射性物質を分離する技術だ。2011年に米国とフランスがパイロ技術導入を国際社会に明らかにし開発競争に加速度がついた。
使用済み核燃料はウラン95.6%と残りの放射性物質で構成されている。ヨード、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどだ。処理方法は湿式、乾式の2種類に分かれる。湿式処理は使用済み燃料棒を硝酸水溶液に混ぜ入れてリン酸トリブチルを添加した後で電気を加えウランとプルトニウムを分離する。核燃料1本を100%とすると、プルトニウムは1%が残る。このプルトニウムだけでも原爆10個を製造できる。米国、英国、ロシアなど少数の「核先進国」が湿式処理技術を厳格に統制する理由だ。
これに対しパイロは湿式処理技術と違いプルトニウムを分離するのは科学的に不可能だ。さまざまな果物を混ぜたジュースから特定の味を選り分けるのが難しいのと同じだ。KAIST原子力・量子工学科のイ・ジョンイク教授は「パイロを一部で反対する最大の理由は、この技術が妥当性を確保すれば原発が持続可能エネルギーという事実が立証され、脱原発の論理が破壊されるため」と説明した。彼は「脱原発政策のために世界最高水準の韓国の原発技術は酸素供給が途絶えた脳死患者水準に置かれた。手遅れになる前に(患者に)ホースをつながなければならない」と話した。
◇「次世代原発燃料」に世界の耳目集中
パイロ技術が重要な理由は高水準核廃棄物の毒性をなくすだけでなく、次世代先端原発の燃料を新たに創出するためだ。パイロ処理を経た核廃棄物はナトリウム冷却高速炉(SFR)、鉛冷却炉(LFR)など各国が研究開発に力を入れている第4世代原発、いわゆる「GEN-4」の燃料として使われる。
SFRは高速中性子で核分裂を起こし、ナトリウムを冷却材に使う原子炉だ。速度が遅い熱中性子を使って水とホウ素を冷却材、減速材として使う韓国の大型原子炉(軽水炉)と違う。爆発の危険が大型原子炉と違いゼロに近いというのが専門家らの見方だ。米国をはじめフランス、英国、中国など各国が開発中だ。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏もやはりSFRを開発する会社に巨額を投資した。LFRは高速中性子で核分裂を起こし、鉛を冷却材に使う原子炉だ。ベルギー、ロシア、米国、中国、日本などが開発中だ。
原子力業界関係者は「使用済み燃料棒飽和問題で早期閉鎖される可能性が高かった第3世代以下の原子炉を最大限寿命が尽きる時まで活用する技術的基盤が用意された。今後次世代原子力政策を推進する名分が確保されたという点でも意味が大きい」と評価した。
業界によると、この技術が商用化される場合、現在30~40年間稼動できる原子炉の核燃料効率を2倍以上に拡大できる。次世代原子炉技術が導入されこの原子炉にリサイクル燃料棒を使う場合だ。
ただパイロが実際に導入されるまでには超えなければならない壁がある。原子力研関係者は「パイロに対する技術的検証は終わったが、両国が政治・外交的にどのような結論を下すかにより状況が変わるだろう」と説明した。
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