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慰安婦2次訴訟「却下」の真意は…「天動説→地動説に戻った」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

大法院(最高裁)の正義の女神像 ソウル瑞草洞(ソチョドン) キム・ソンリョン記者

日帝強占期の慰安婦被害者とその子孫が日本政府を相手に提起した損害賠償訴訟を、裁判所が「国家免除(特定国家に対して他国の法廷が判断することはできないという国際法の原則)」を理由に排斥した。最近の判決の流れを正反対の方向に変えたのだ。

ソウル中央地裁民事15部(部長ミン・ソンチョル)は李容洙(イ・ヨンス)さんや故クァク・イェナムさんらが提起した慰安婦損害賠償訴訟2次訴訟に対して「却下」判決をした。1月に「日本政府が原告に1億ウォン(約970万円)ずつ支払うべき」という同じ裁判所の別の裁判部(民事34部、以下1次訴訟)とも相反する結論だった。

2018年10-11月に大法院(最高裁)全員合議体の強制徴用被害者勝訴判決をはじめ、司法府は過去の問題に関連する訴訟で原告に有利な判決を相次いで出した。こうしたた流れにブレーキがかかったのはわずか数週間前だ。2次訴訟の結果に先立ち先月29日、ソウル中央地裁民事34部(部長キム・ヤンホ)は前任裁判部が原告勝訴で確定した1次訴訟の結果に対し、「日本政府に強制執行をするのは国際法違反」という決定を追加で出した。


司法府内外では連日驚くという反応が出ている。正義記憶連帯(旧韓国挺身隊問題対策協議会)は23日、「原告の被害当事者は絶望している」とし「大韓民国の歴史だけでなく世界人権史に大きな汚点として記憶されるだろう」と強く反発した。では2次訴訟裁判部はなぜ、どのような論理で原告敗訴決定をしたのだろうか。一種の「判決解説書」を問答形式で整理した。

<1>慰安婦問題は国家免除に該当する事案なのか=「そうだ」

--慰安婦訴訟が強制徴用訴訟と決定的に異なるのは、日本政府を相手にした損害賠償訴訟だったという点だ。2次訴訟の裁判部は、韓国政府が日本の裁判所の民事・刑事上の判決に従う義務がないように、日本政府に対しても韓国の司法府は判断できないという「国家免除」原則に基づくべきだと見なした。訴訟の敷居(要件)を越えることができなかったため、慰安婦被害の不法性(本案判断)の有無も問いただすことができず却下したのだ。

この国家免除論も、従来のあらゆる場合に国家免除を適用すべきだという絶対的な観点から、最近では外国でした賃貸借・勤労契約など商業的行為の場合は国家免除を除外して司法的な判断を受けるようにすべきだという制限的な観点に変化した。大法院の1998年の判例もこうした制限的な国家免除論に基づいている。

これを受け、2次訴訟の裁判部は「慰安婦、慰安所運営は日本政府・軍が公権力を動員したもので、商業的行為でなく主権的行為に該当する」とし「したがって国家免除原則に基づき韓国の裁判所が責任を問うことはできない」という結論を出したのだ。

慰安婦に関しては「武力は国家が最も強い形態で主権を表現する方式」であり「国家による公権力の行使が残酷な方式だからといって主権的行為としての性格が消えるのではない」と明らかにした。一見、不合理に見えるが、こうした事案の性格のため国家免除を適用すべきだというのが現時点の国際秩序ということだ。

<2>国際法の判例を変えてはいけないのか=「まだいけない」

--国際慣習法や判例も変わる可能性はある。原告の弁護人が「国際判例は形成していくこともできる」とし「とうてい納得できない」と反発する背景だ。

実際、1月の原告勝訴判決を出した1次訴訟の裁判部は「主権的行為でも重大な人権侵害は国際法上強行規範違反と見なし、国家免除から除外し、賠償責任を問うべき」という結論を出した。

これは2012年にICJであったイタリア対ドイツの事件でイタリア側の核心法理に基づくものだ。第2次世界大戦のドイツナチス政権で強制労役をしたイタリアの市民がドイツ政府を相手に提起した訴訟で、イタリアの裁判所はドイツ政府の賠償責任を認め、両国はICJにこの事件を付託した。

ところがICJは2012年、「武力紛争状況の法廷地領土内で外国国家によって起きた不法行為に対しては国家免除を適用すべき」としてドイツの主張を認めた。逆に言えば、原告勝訴判決をした1次訴訟の裁判部がICJ敗訴法理に基づいたとも見ることができる。ただ、裁判部は「韓半島(朝鮮半島)は(イタリアとは違い)武力紛争の直接当事者ではなかったため事案が異なる」として差異を説明した。

一方、2次訴訟はICJの判例があった2012年から今年までこうした国際的な観点を変更するほどの事情はないと見なした。韓国の裁判所が独自の判断をすることはできないという趣旨だった。

これに対し、ある国際法専門家は「1次訴訟の裁判部は韓国を中心に国際社会を眺める『天動説』の視点で判決したとすれば、2次訴訟の裁判部は国際社会を中心に韓国を見た『地動説』の観点に戻った」と評価した。

2次訴訟の裁判部は国家免除論の主流法理を変えるほどの事情があるかどうかも詳細に考慮した。国家免除に関する法律を置いている米国・英国・日本の事例とともに、第2次世界大戦のナチスドイツ政府を相手に賠償請求をしたギリシャ・フランス・ポーランド・スロベニアの最高裁の事例とベルギー・ブラジルの下級審も検討した。

裁判部の結論は「これら事例で国家免除を認めず『賠償すべき』と判決したのはイタリアと韓国の1月の1次訴訟事例しかなかった」ということだ。

2次訴訟の裁判部は「ある国が国際的に確立された規範を単独で抜け出すには、変化に相応する『一般的な国家の慣行』『法的確信』などの要件がなければならないが、今回の事案はそれに該当しない」とした。さらに「我々の憲法が定めた国際法尊重主義という憲法上の価値にも合う」と明らかにした。

<3>慰安婦被害者の損害賠償請求権は消滅したのか=「そうではない」

--原告代理人団は「慰安婦被害者はすでに米国・日本の裁判所で敗訴したため、韓国の裁判所が最後の救済手段」という点を強調してきた。

2次訴訟の裁判部はこれについて「慰安婦被害者は幼い時期に被告により多くの苦痛を受け、長い法的争訟過程も順調でなかった」としながらも「国際法上、国内の裁判で問題を解決する権利は制限される」という結論を出した。

ただ、「被害者の日本に対する実体法的損害賠償請求権(本質)が消えるのではなく、被告に国家免除の法理を防壁の盾として自らの誤った行為に対する賠償を回避するよう機会を与えるものでもない」と付け加えた。

これに関連し「訴訟で解決できないのに、どのように実質的な損害賠償請求権を実現するのか」に対するそれなりの解決法も裁判部は示した。「司法的方法でなく外交・政治的な方式で責任を問うべき」という趣旨だった。「立法府と行政府の政策的な意思決定がない状況で司法府は極めて抽象的な基準しか提示することはできない状況」と限界を打ち明けたりもした。

<4>強制徴用判決と連結する個別賠償請求権判断の部分

裁判部は韓日請求権協定(1965年)と河野談話(1993年)、韓日慰安婦合意(2015年)など、過去の韓日政府の交渉を通じた解決法を詳細に示した。韓国の裁判所がいくら日本側の責任を認めても、日本政府に強制執行をできない現実的な制約があるため、司法府の枠組みの外で日本と国際社会が動くことができる解決方法を探すのが望ましいという結論に至ったのだ。

「誠意のある謝罪=法的賠償」構図は実際、1990年代から慰安婦問題の解決法を模索してきた挺対協など市民団体が主導してきた。河野談話以降、1993年のアジア女性基金や2015年の慰安婦合意の結果で設置された和解・癒やし財団基金をめぐる論争も、こうした「法的賠償」でないという批判に直面して事実上座礁したものだった。もちろん市民団体が法的賠償を強調した背景には、慰安婦問題を歪曲するような日本政府関係者らの「妄言」も影響を及ぼしたという指摘があった。

それでも裁判部は戦後の国際秩序は「武力紛争中に発生した損害賠償は被害者個人が国家を相手に個別訴訟ではなく、関連国間の一括協定(lump sum agreement)方式で解決」という方向に固まったと明らかにした。この判断の部分は大法院の2018年10月の強制徴用判決とも連結している。大法院が過去の問題に関連する被害者の個別賠償請求権を初めて認めたからだ。2次訴訟が大法院にまで進めばこれに対する判断もまたあると予想される。



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