福島原子力発電所事故の汚染水を海に放出しようとする日本政府の立場に賛成した国際原子力機関(IAEA)も昨年の報告書では国際的なモニタリングが必要だという点を指摘していたことが確認された。
中央日報が17日に入手したIAEAの報告書は昨年4月2日に発表したもので、正式な題名は「福島第1原子力発電所ALPS処理水管理進展状況検討とALPS処理水処理分科委員会報告に対するIAEA検討報告書」だ。
ALPSとは福島原子力発電所で発生した汚染水を処理する施設、すなわち液体高度処理施設(多核種除去設備)のことだ。
イオン交換などの方法により1000種類余りの放射性核種のうち62種を除去できるという。
この報告書でIAEAの検討チームは、「(汚染水を海洋に放出する場合)すべての利害関係者と一般大衆に情報を事前に適時に配布できるよう、地域・国・国際コミュニケーション計画によって支援される強力で包括的なモニタリングプログラムが必要だとの見解を持っている」と明らかにした。
報告書は国際コミュニケーション方法やモニタリングプログラムに対し具体的に言及はしなかったが、汚染水放出関連情報を公開し、国際社会が共同でモニタリングする必要があるという点を強調した。
IAEAの検討チームはまた、日本側のトリチウム水タスクフォースが2016年に作成した報告書を検討した後、汚染水の海洋放出や蒸気放出が現実的対案であることを認めた。
だがIAEAの検討チームは報告書で「日本側が技術出現と技術開発を続けモニタリングすることを推奨する。新しい技術が未来に有望ならば今後の計画に反映すべき」と付け加えた。
現在でも水中のトリチウムを除去する技術は存在するが、当面は経済的・技術的な側面から福島汚染水に適用するのは難しいというのがIAEA検討チームの判断だ。
そうだとしても今後30~40年間に汚染水の放出が進められる過程でより良い技術が開発されるならば現場に適用することを勧告したのだ。
◇日本側は5種類の処理方法を検討
報告書を出したトリチウム水タスクフォースは2013年末に日本の経済産業省傘下に構成され、9人の専門家が2016年まで活動した。
このチームは2016年に出した報告書でALPS処理水に対する最終処分と関連し5種類の方法を提示した。
5種類の方法は、▽2500メートルの深部地層にパイプで注入▽海洋に薄めて放出▽加熱後60メートルの煙突を通じた蒸気放出▽水素に還元した後に放出▽トリチウム水とセメントでコンクリートを作り地中に埋め立てる――だ。
タスクフォースは5種類の方法に対し技術的妥当性と費用、規模、追加の廃棄物発生、労働者の放射線露出などの事項を評価した。
これと関連し2016年11月に政府の専門家13人で構成された多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会は深部地層注入や水素放出、地下埋却の3つに対してはこれまでに採択された前例がなく、解決すべき課題があるという評価をした。
IAEAの検討チームも「適用した事例がある2つ方法(海洋放出と蒸気放出)を選択するのが合理的。ALPS処理水を処理する時は包括的な環境モニタリングプログラムを遂行し、利害関係者と一般大衆に情報を適時に配布しなければならない」と指摘した。
日本政府や福島原発運営会社である東京電力が長く手続きを踏んできたように見えるが、実は当初からALPS処理水を海洋に放出する計画だったとの指摘も出ている。
学術誌の「国際核工学」は2012年7月号で、「東京電力が汚染水を海に放出すると発表はしていなかったが、政府が定めた基準値よりはるかに低く汚染水の放射性物質濃度を維持していることが政府の承認を受け海洋放出するのに役に立つだろう」と指摘したことがある。
◇トリチウム除去できるが費用が問題
2008年に米国とカナダの研究チームが学術誌「フュージョン科学技術」で紹介したようにトリチウムを水から取り除いて別に除去する方法もなくはない。
一般的にトリチウムは水の形態で存在する。水を構成する水素原子の代わりに三重水素が入っている。
一般的な水とトリチウム水の性質は大差なく、水とトリチウム水を分離するのは容易でない。
米国とカナダの研究チームは論文で水を繰り返し蒸留する方式でトリチウムを濃縮する方法を提示した。
普通の水は水蒸気として放出し、トリチウム水だけが溜まるようにする方法で約3ppmのトリチウムを約2000ppmまで濃縮できるという。
この方法を使うならばトリチウム濃度が低い水と高濃度の汚染水を分離できる。
一部専門家らは低濃度の汚染水は海洋に放出し、高濃度の汚染水は別に貯蔵する方法を提示したりもする。
次の段階は一酸化炭素を注入してトリチウム水を水素に還元させる段階だ。
一酸化炭素がトリチウム水の酸素原子を分離し二酸化炭素になれば水素となる。
この時出てきた水素を空気中に放出する方法もある。
熱拡散装置を利用すれば還元された水素の中からトリチウムだけで構成された水素を別に集めることもできる。
問題は処理効率と費用だ。
トリチウムを分離して別に処理する方法はトリチウムが入った水をそのまま大気放出したり海に放出する方法より多くの費用がかかり時間も長くかかるほかない。
IAEAの検討チームは報告書で「水中のトリチウムを分離すればトリチウムの全体積を減らし他の処理方法を導入できる余地ができる」としながらも、「(福島汚染水のように)トリチウムの濃度は相対的に低く体積が多い場合、既存のトリチウム分離技術は適用するのは難しい」と評価した。
米ウッズホール海洋研究所のケン・ベッセラー博士は昨年8月に学術誌「サイエンス」への寄稿で、「トリチウムは半減期が12.3年と短いため、60年過ぎればトリチウムの97%が消える。汚染水を60年間保存しなければならない」と主張していた。
その間にトリチウムを効率的に分離する技術が開発され、その技術を適用すればさらに早く放出することもできるだろう。
中央日報が17日に入手したIAEAの報告書は昨年4月2日に発表したもので、正式な題名は「福島第1原子力発電所ALPS処理水管理進展状況検討とALPS処理水処理分科委員会報告に対するIAEA検討報告書」だ。
ALPSとは福島原子力発電所で発生した汚染水を処理する施設、すなわち液体高度処理施設(多核種除去設備)のことだ。
イオン交換などの方法により1000種類余りの放射性核種のうち62種を除去できるという。
この報告書でIAEAの検討チームは、「(汚染水を海洋に放出する場合)すべての利害関係者と一般大衆に情報を事前に適時に配布できるよう、地域・国・国際コミュニケーション計画によって支援される強力で包括的なモニタリングプログラムが必要だとの見解を持っている」と明らかにした。
報告書は国際コミュニケーション方法やモニタリングプログラムに対し具体的に言及はしなかったが、汚染水放出関連情報を公開し、国際社会が共同でモニタリングする必要があるという点を強調した。
IAEAの検討チームはまた、日本側のトリチウム水タスクフォースが2016年に作成した報告書を検討した後、汚染水の海洋放出や蒸気放出が現実的対案であることを認めた。
だがIAEAの検討チームは報告書で「日本側が技術出現と技術開発を続けモニタリングすることを推奨する。新しい技術が未来に有望ならば今後の計画に反映すべき」と付け加えた。
現在でも水中のトリチウムを除去する技術は存在するが、当面は経済的・技術的な側面から福島汚染水に適用するのは難しいというのがIAEA検討チームの判断だ。
そうだとしても今後30~40年間に汚染水の放出が進められる過程でより良い技術が開発されるならば現場に適用することを勧告したのだ。
◇日本側は5種類の処理方法を検討
報告書を出したトリチウム水タスクフォースは2013年末に日本の経済産業省傘下に構成され、9人の専門家が2016年まで活動した。
このチームは2016年に出した報告書でALPS処理水に対する最終処分と関連し5種類の方法を提示した。
5種類の方法は、▽2500メートルの深部地層にパイプで注入▽海洋に薄めて放出▽加熱後60メートルの煙突を通じた蒸気放出▽水素に還元した後に放出▽トリチウム水とセメントでコンクリートを作り地中に埋め立てる――だ。
タスクフォースは5種類の方法に対し技術的妥当性と費用、規模、追加の廃棄物発生、労働者の放射線露出などの事項を評価した。
これと関連し2016年11月に政府の専門家13人で構成された多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会は深部地層注入や水素放出、地下埋却の3つに対してはこれまでに採択された前例がなく、解決すべき課題があるという評価をした。
IAEAの検討チームも「適用した事例がある2つ方法(海洋放出と蒸気放出)を選択するのが合理的。ALPS処理水を処理する時は包括的な環境モニタリングプログラムを遂行し、利害関係者と一般大衆に情報を適時に配布しなければならない」と指摘した。
日本政府や福島原発運営会社である東京電力が長く手続きを踏んできたように見えるが、実は当初からALPS処理水を海洋に放出する計画だったとの指摘も出ている。
学術誌の「国際核工学」は2012年7月号で、「東京電力が汚染水を海に放出すると発表はしていなかったが、政府が定めた基準値よりはるかに低く汚染水の放射性物質濃度を維持していることが政府の承認を受け海洋放出するのに役に立つだろう」と指摘したことがある。
◇トリチウム除去できるが費用が問題
2008年に米国とカナダの研究チームが学術誌「フュージョン科学技術」で紹介したようにトリチウムを水から取り除いて別に除去する方法もなくはない。
一般的にトリチウムは水の形態で存在する。水を構成する水素原子の代わりに三重水素が入っている。
一般的な水とトリチウム水の性質は大差なく、水とトリチウム水を分離するのは容易でない。
米国とカナダの研究チームは論文で水を繰り返し蒸留する方式でトリチウムを濃縮する方法を提示した。
普通の水は水蒸気として放出し、トリチウム水だけが溜まるようにする方法で約3ppmのトリチウムを約2000ppmまで濃縮できるという。
この方法を使うならばトリチウム濃度が低い水と高濃度の汚染水を分離できる。
一部専門家らは低濃度の汚染水は海洋に放出し、高濃度の汚染水は別に貯蔵する方法を提示したりもする。
次の段階は一酸化炭素を注入してトリチウム水を水素に還元させる段階だ。
一酸化炭素がトリチウム水の酸素原子を分離し二酸化炭素になれば水素となる。
この時出てきた水素を空気中に放出する方法もある。
熱拡散装置を利用すれば還元された水素の中からトリチウムだけで構成された水素を別に集めることもできる。
問題は処理効率と費用だ。
トリチウムを分離して別に処理する方法はトリチウムが入った水をそのまま大気放出したり海に放出する方法より多くの費用がかかり時間も長くかかるほかない。
IAEAの検討チームは報告書で「水中のトリチウムを分離すればトリチウムの全体積を減らし他の処理方法を導入できる余地ができる」としながらも、「(福島汚染水のように)トリチウムの濃度は相対的に低く体積が多い場合、既存のトリチウム分離技術は適用するのは難しい」と評価した。
米ウッズホール海洋研究所のケン・ベッセラー博士は昨年8月に学術誌「サイエンス」への寄稿で、「トリチウムは半減期が12.3年と短いため、60年過ぎればトリチウムの97%が消える。汚染水を60年間保存しなければならない」と主張していた。
その間にトリチウムを効率的に分離する技術が開発され、その技術を適用すればさらに早く放出することもできるだろう。
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