◇バイデン大統領、サプライチェーン再編作業で牽制
バイデン大統領はサプライチェーン再編作業をもう少し精巧に進めている。2月には今後100日間に半導体、バッテリー、レアアースなどの希少鉱物と医薬品などに対する米国のサプライチェーン現況を検討し報告するよう連邦機関に命令した。また、国防、公衆保健、情報通信技術、エネルギー、運送、農業食品の6産業に対するサプライチェーン現況を1年間調査し報告するようにした。合わせて米国と価値を共有する同盟国やパートナーと新たなサプライチェーン構築に向け協力するだろうと明確にした。
このような米国のデカップリング措置に対し中国は反撃を準備している。まず「国内外双循環」を中国の新しい発展戦略として採択した。米国とのデカップリングなど外部環境変化に対抗し、中国の巨大な内需市場を基盤に国内経済の大循環構造を構築し、これを基に内外二重循環を相互促進するという戦略だ。
中国のまた別の反撃は米国の中国企業制裁に同調する第三国企業を制裁するというものだ。中国商務部が2020年9月に公布した「不信機関目録」規定は中国企業との正常な取引を中断する外国企業に対し中国との輸出入、中国内投資、関連者の中国入国を禁止し罰金を科せるようにした。今年1月には第三国企業が中国企業に対する米国の制裁により中国企業と取引を中断すればその第三国企業に対し損害賠償を請求できるようにする規定を公布した。
こうした中国の対応措置は一言で米国と中国が衝突する場合に第三国企業は中国側に立つかそうでなければ米国側に立つか選択するよう要求するものだ。
◇米中デカップリングはどこまで拡大するか
まず対象分野の側面から見る時、中国が「中国製造2025」で10大戦略分野に指定した産業とバイデン大統領がサプライチェーン現況検討を命令した他の産業で米中デカップリングが拡大すると予想される。
米国が意図した通りに米中デカップリングが民主主義陣営と社会主義陣営間の対立に発展するかは未知数だ。日本、オーストラリア、インドのクアッド参加国が米国陣営に立つことになる可能性が大きく、欧州連合(EU)も大きな枠組みで米国に同調する可能性が大きい。中国は中国で友軍を確保しようとするだろう。しかし国別または産業別に置かれた環境と利害関係が異なるため国と企業の間に多様な対立または協力構造が形成されると予想される。
広がる米中デカップリングを阻止する国際法的装置はないのか。米国と中国は互いに相手が世界貿易機関(WTO)などの国際規範を違反していると非難している。しかし実際にWTOの規範で両国のデカップリングを統制するのとは容易でない。その理由は不完全なWTO通商規範と紛争解決手続き不備のためだ。
米国と中国はそれぞれ脱同調化措置をする名分として「国家安全保障」を掲げている。先月発表した予備国家安保戦略で米国は「今日の世界では経済的安保がすなわち国家安保」と宣言した。国家安保概念が大きく拡張されている。問題は国家安保が何なのかに対する合意された国際法的ルールがないという点だ。
国家安保を理由にした貿易制限措置がWTO紛争の対象になれるのかも議論の対象だ。関税および貿易に関する一般協定(GATT)第21条は安保上の措置をWTO規範の例外と認定している。米国は当事国が自ら国家安保のための措置だと判断して安保例外を宣言しさえすればそうした措置は最初からWTO紛争解決手続きの審理対象にならないという立場を取っている。
中国も自国のデカップリング対応措置を国家安保に向けた措置として正当化している。したがって中国は米国が国家安保概念を乱用していると非難するが、実際に自国の措置がWTOに提訴されれば米国のように安保例外を主張するだろう。
金斗植(キム・ドゥシク)/法務法人世宗代表弁護士・国際通商法センター長
【コラム】米中デカップリング後…サプライチェーン世界化退潮し地域ブロック化進行(1)
バイデン大統領はサプライチェーン再編作業をもう少し精巧に進めている。2月には今後100日間に半導体、バッテリー、レアアースなどの希少鉱物と医薬品などに対する米国のサプライチェーン現況を検討し報告するよう連邦機関に命令した。また、国防、公衆保健、情報通信技術、エネルギー、運送、農業食品の6産業に対するサプライチェーン現況を1年間調査し報告するようにした。合わせて米国と価値を共有する同盟国やパートナーと新たなサプライチェーン構築に向け協力するだろうと明確にした。
このような米国のデカップリング措置に対し中国は反撃を準備している。まず「国内外双循環」を中国の新しい発展戦略として採択した。米国とのデカップリングなど外部環境変化に対抗し、中国の巨大な内需市場を基盤に国内経済の大循環構造を構築し、これを基に内外二重循環を相互促進するという戦略だ。
中国のまた別の反撃は米国の中国企業制裁に同調する第三国企業を制裁するというものだ。中国商務部が2020年9月に公布した「不信機関目録」規定は中国企業との正常な取引を中断する外国企業に対し中国との輸出入、中国内投資、関連者の中国入国を禁止し罰金を科せるようにした。今年1月には第三国企業が中国企業に対する米国の制裁により中国企業と取引を中断すればその第三国企業に対し損害賠償を請求できるようにする規定を公布した。
こうした中国の対応措置は一言で米国と中国が衝突する場合に第三国企業は中国側に立つかそうでなければ米国側に立つか選択するよう要求するものだ。
◇米中デカップリングはどこまで拡大するか
まず対象分野の側面から見る時、中国が「中国製造2025」で10大戦略分野に指定した産業とバイデン大統領がサプライチェーン現況検討を命令した他の産業で米中デカップリングが拡大すると予想される。
米国が意図した通りに米中デカップリングが民主主義陣営と社会主義陣営間の対立に発展するかは未知数だ。日本、オーストラリア、インドのクアッド参加国が米国陣営に立つことになる可能性が大きく、欧州連合(EU)も大きな枠組みで米国に同調する可能性が大きい。中国は中国で友軍を確保しようとするだろう。しかし国別または産業別に置かれた環境と利害関係が異なるため国と企業の間に多様な対立または協力構造が形成されると予想される。
広がる米中デカップリングを阻止する国際法的装置はないのか。米国と中国は互いに相手が世界貿易機関(WTO)などの国際規範を違反していると非難している。しかし実際にWTOの規範で両国のデカップリングを統制するのとは容易でない。その理由は不完全なWTO通商規範と紛争解決手続き不備のためだ。
米国と中国はそれぞれ脱同調化措置をする名分として「国家安全保障」を掲げている。先月発表した予備国家安保戦略で米国は「今日の世界では経済的安保がすなわち国家安保」と宣言した。国家安保概念が大きく拡張されている。問題は国家安保が何なのかに対する合意された国際法的ルールがないという点だ。
国家安保を理由にした貿易制限措置がWTO紛争の対象になれるのかも議論の対象だ。関税および貿易に関する一般協定(GATT)第21条は安保上の措置をWTO規範の例外と認定している。米国は当事国が自ら国家安保のための措置だと判断して安保例外を宣言しさえすればそうした措置は最初からWTO紛争解決手続きの審理対象にならないという立場を取っている。
中国も自国のデカップリング対応措置を国家安保に向けた措置として正当化している。したがって中国は米国が国家安保概念を乱用していると非難するが、実際に自国の措置がWTOに提訴されれば米国のように安保例外を主張するだろう。
金斗植(キム・ドゥシク)/法務法人世宗代表弁護士・国際通商法センター長
【コラム】米中デカップリング後…サプライチェーン世界化退潮し地域ブロック化進行(1)
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