最近中国は西側中心の世界とは違った世界を構築しようとする動きを見せる。内需中心成長で自活力を育て、アジア・アフリカ・中南米で中国を追従する国々を糾合して自国主導の世界を構築しようとする。人民元を基軸通貨にし、西側に依存しないバリューチェーン体系を構築し、別途の技術標準を確立し、独自の情報ネットワークと衛星航法システム(GPS)を作動させようとする。
数年前だけでも中国の支配的外交論は新型大国関係だった。既存の覇権国と新興の挑戦国が衝突する過去のパターンが必然的に繰り返される理由はないという論理だ。中国が最近掲げている運命共同体論はひとつの統合された世界を指向する。しかし覇権主義と一方主義に反対し、多国間・公正・開放・包容を強調する本心は米国主導の世界秩序に対する二者択一の秩序を提示しようとするものだ。最近米中外交高位級会談で押されまいとして対立点を立てたのが代表的だ。中国の戦略は米国の反中攻勢に勝ち米中関係の安定的管理より世界秩序競争に出るということだ。
米国も中国を巨大な挑戦であり戦略的競争者と規定して米国中心の世界秩序を維持しようと考える。トランプ政権時代の米中戦略競争が自国優先主義に基づいた強大国ゲームの様相だとすれば、バイデン政権では米国が価値と同盟を掲げて世界秩序競争に出た。米国が先月3日に発表した「国家安保戦略指針」は国際規範・規則は中国ではなく米国が決めるべきで、世界秩序確立で中国と競争するという意志を見せた。
米中戦略競争が片側に決定的に傾かない限りわれわれは「ひとつの世界」ではなく「複数の世界」で生きなければならない。事実複数の世界は世界外交史の普遍的形態だった。欧州の近代国際体制が広がり単一な世界が形成される前には文明圏ごとに異なる国際秩序が存在した。中華秩序、欧州国際社会、イスラム世界が異なる組織原理で作動した。
問題はわれわれが同時にさまざまな世界に属する場合だ。韓国は韓米同盟を輪に西側世界に属している。G7会議に招請を受けるほど西側世界でも比重のある国だ。同時に中国との経済・文明的連係も無視することはできない。まだ中国と西側世界が経済・技術的につながっており耐えられているが、分節されたならばどうするのか。韓米同盟離脱は選択肢ではないが、韓国の対外貿易の25%を占める中国との断絶も想像し難い。片方の選択を要求されるジレンマに陥りかねない。しかし選択を要求されたからと必ず選択しなければならないのではない。複数の世界に二重メンバーシップを維持することが解決策になれる。
われわれは二元的国際秩序を経験した。19世紀末の西勢東漸情勢で一方では伝統的中華秩序が残存し、別の一方では西側諸国と修交し主権秩序が作動した。ひとつの組織原理が他の組織原理に干渉できないという意味で兪吉濬(ユ・ギルジュン)はこれを両截体制と呼んだ。しかし両截体制は長くは続かなかった。中華秩序が崩れてわれわれは近代国際秩序で生き残ることができず植民地に転落した。
幸い大韓民国は衰退した大韓帝国とは違う。世界10位の経済力と軍事力、日増しに成長するソフトパワーを持った国だ。弱小国ならば中途半端な綱渡りの代わりにどちらかひとつの世界を選択するのが賢明かもしれない。しかしわれわれは複数の世界で生き残れる力がある。そうするならば複数の世界で構成されるメタ世界を抱くことができる想像力と、堂々とこの中でメンバーシップを主張する政治的意志、これを政策的に実行するための精巧な外交戦略が必要だ。
キム・ソンベ/元国家情報院海外情報局長、国家安保戦略研究院首席研究委員
◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
数年前だけでも中国の支配的外交論は新型大国関係だった。既存の覇権国と新興の挑戦国が衝突する過去のパターンが必然的に繰り返される理由はないという論理だ。中国が最近掲げている運命共同体論はひとつの統合された世界を指向する。しかし覇権主義と一方主義に反対し、多国間・公正・開放・包容を強調する本心は米国主導の世界秩序に対する二者択一の秩序を提示しようとするものだ。最近米中外交高位級会談で押されまいとして対立点を立てたのが代表的だ。中国の戦略は米国の反中攻勢に勝ち米中関係の安定的管理より世界秩序競争に出るということだ。
米国も中国を巨大な挑戦であり戦略的競争者と規定して米国中心の世界秩序を維持しようと考える。トランプ政権時代の米中戦略競争が自国優先主義に基づいた強大国ゲームの様相だとすれば、バイデン政権では米国が価値と同盟を掲げて世界秩序競争に出た。米国が先月3日に発表した「国家安保戦略指針」は国際規範・規則は中国ではなく米国が決めるべきで、世界秩序確立で中国と競争するという意志を見せた。
米中戦略競争が片側に決定的に傾かない限りわれわれは「ひとつの世界」ではなく「複数の世界」で生きなければならない。事実複数の世界は世界外交史の普遍的形態だった。欧州の近代国際体制が広がり単一な世界が形成される前には文明圏ごとに異なる国際秩序が存在した。中華秩序、欧州国際社会、イスラム世界が異なる組織原理で作動した。
問題はわれわれが同時にさまざまな世界に属する場合だ。韓国は韓米同盟を輪に西側世界に属している。G7会議に招請を受けるほど西側世界でも比重のある国だ。同時に中国との経済・文明的連係も無視することはできない。まだ中国と西側世界が経済・技術的につながっており耐えられているが、分節されたならばどうするのか。韓米同盟離脱は選択肢ではないが、韓国の対外貿易の25%を占める中国との断絶も想像し難い。片方の選択を要求されるジレンマに陥りかねない。しかし選択を要求されたからと必ず選択しなければならないのではない。複数の世界に二重メンバーシップを維持することが解決策になれる。
われわれは二元的国際秩序を経験した。19世紀末の西勢東漸情勢で一方では伝統的中華秩序が残存し、別の一方では西側諸国と修交し主権秩序が作動した。ひとつの組織原理が他の組織原理に干渉できないという意味で兪吉濬(ユ・ギルジュン)はこれを両截体制と呼んだ。しかし両截体制は長くは続かなかった。中華秩序が崩れてわれわれは近代国際秩序で生き残ることができず植民地に転落した。
幸い大韓民国は衰退した大韓帝国とは違う。世界10位の経済力と軍事力、日増しに成長するソフトパワーを持った国だ。弱小国ならば中途半端な綱渡りの代わりにどちらかひとつの世界を選択するのが賢明かもしれない。しかしわれわれは複数の世界で生き残れる力がある。そうするならば複数の世界で構成されるメタ世界を抱くことができる想像力と、堂々とこの中でメンバーシップを主張する政治的意志、これを政策的に実行するための精巧な外交戦略が必要だ。
キム・ソンベ/元国家情報院海外情報局長、国家安保戦略研究院首席研究委員
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