朴槿恵(パク・クネ)前大統領は2013年2月の就任辞で「政府に対する国民の不信を拭い去り信頼の資本を積み上げます」と話した。だが朴槿恵政権で起きた大統領の知人女性の国政介入スキャンダルでむしろ国民の不信は大きくなり信頼は崩れた。このように歴代大統領の就任辞は任期末にはむしろ罠になったりもした。不正腐敗事件が起きるたびに国民は希望に満ちた約束であふれた就任辞を取り上げて大統領を批判したりした。韓国土地住宅公社(LH)職員の投機疑惑などがふくらみ文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任辞が改めて俎上に上がっている。
◇「過程は公正であるでしょう」
2017年5月の文大統領の就任辞で最も多く注目を浴びた部分は「機会は平等であるでしょう。過程は公正であるでしょう。結果は正当であるでしょう」だった。だが翌年1月からこの部分は否定的な意味で振り返られ始めた。平昌(ピョンチャン)冬季五輪女子アイスホッケー合同チーム構成をめぐる議論のためだ。
韓国政府が五輪を控えて急に南北合同チーム構成を推進し、20~30代を中心に「韓国の選手らが出場機会を失うことになる。不公正だ」という批判を提起した。政治的な目的のために個人が犠牲になる姿が青年層の鋭敏な「公正感受性」を逆なでしたのだ。結局文大統領は「選手たちの立場をしっかりとくみ取れていなかった」として遺憾の意を明らかにした。
その後も不公正問題は現政権の足をしばしば引っ張った。仁川(インチョン)国際空港公社の保安検査要員の正規職転換の際に青年層は採用の手続き的非公正性を批判した。ソウル交通公社の親族特恵採用、期間制教師の正規職化なども青年の就職難とかみ合わさり不公正問題として拡大した。
頂点はチョ・グク元法務部長官をめぐるスキャンダルだった。チョ元長官の子女の入試不正疑惑は国論分裂にまで拡大した。結局チョ元長官の妻のチョン・ギョンシム教授の子女入試不正容疑に対して1審裁判所は有罪を宣告した。野党「国民の力」は「これから政権は『公正』を口にするな」と批判した。最近LH投機疑惑がふくらむと再び「過程は公正だろう」という就任辞がしばしば言及されている。
◇「一度も経験したことのない国」
文大統領は就任辞の冒頭で「私の胸は一度も経験したことのない国を作るという情熱で熱いです」と述べた。過去の政権と線を引き、より良い政府を作るという誓いだった。だが任期後半にこの文は逆説的に文在寅政権を狙うための反語的文章として多く使われた。
「国民の力」の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表は昨年7月の国会交渉団体代表演説でこの就任辞を取り上げて現政権を批判した。彼は「大統領は『国民が幸せな国』『暮らしが良くなる国』を作ると述べたが、実際には国民にはますます挫折と憤怒ばかり積もっていきつつある。大統領就任辞のうち唯一守られたのは『一度も経験したことのない国』だけだと国民は冷笑している」と話した。
チン・ジュングォン元東洋大学教授と檀国(タングク)大学のソ・ミン教授らが著した『一度も経験したことのない国』も文大統領の就任辞を反語的に使った。「民主主義はどのように終わるのか」という副題が付いたこの本の著者は文在寅政権で正義と公正の価値が崩れたと主張し、そうした意味から「一度も経験したことのない国」と批判した。最近では現政権を偽善的だと批判する『もう二度と経験したくない国』(キム・ジョンヒョク著)も出版された。
◇「国民と随時疎通する大統領」
文大統領は就任しながら「君臨し統治する大統領ではなく、対話し疎通する大統領になります」と話した。朴前大統領には疎通不足という批判があったことから文大統領の疎通を期待する声も高かった。
だが約4年が過ぎた現在の文大統領の疎通成績も良い方ではない。文大統領は就任辞でまず疎通に言及し、「光化門(クァンファムン)時代の大統領になり国民の近くにいます」と約束したが、結局なかったことになった。「帰り道には市場に立ち寄って出会った市民たちと格式張らない対話をします。時には光化門広場で大討論会を開きます」とも話したが、国民はそうした姿を見ることはできなかった。
文大統領は就任第一声で「主要懸案は大統領が直接メディアにブリーフィングします」と述べた。任期初めには実際に文大統領が青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)で立場を発表したりもした。だが任期半ばを過ぎて不動産急騰や新型コロナウイルスワクチン問題、秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官と尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長の対立状況などが起きた時に文大統領は沈黙するか参謀を通じて代わりに立場を明らかにした。
◇「過程は公正であるでしょう」
2017年5月の文大統領の就任辞で最も多く注目を浴びた部分は「機会は平等であるでしょう。過程は公正であるでしょう。結果は正当であるでしょう」だった。だが翌年1月からこの部分は否定的な意味で振り返られ始めた。平昌(ピョンチャン)冬季五輪女子アイスホッケー合同チーム構成をめぐる議論のためだ。
韓国政府が五輪を控えて急に南北合同チーム構成を推進し、20~30代を中心に「韓国の選手らが出場機会を失うことになる。不公正だ」という批判を提起した。政治的な目的のために個人が犠牲になる姿が青年層の鋭敏な「公正感受性」を逆なでしたのだ。結局文大統領は「選手たちの立場をしっかりとくみ取れていなかった」として遺憾の意を明らかにした。
その後も不公正問題は現政権の足をしばしば引っ張った。仁川(インチョン)国際空港公社の保安検査要員の正規職転換の際に青年層は採用の手続き的非公正性を批判した。ソウル交通公社の親族特恵採用、期間制教師の正規職化なども青年の就職難とかみ合わさり不公正問題として拡大した。
頂点はチョ・グク元法務部長官をめぐるスキャンダルだった。チョ元長官の子女の入試不正疑惑は国論分裂にまで拡大した。結局チョ元長官の妻のチョン・ギョンシム教授の子女入試不正容疑に対して1審裁判所は有罪を宣告した。野党「国民の力」は「これから政権は『公正』を口にするな」と批判した。最近LH投機疑惑がふくらむと再び「過程は公正だろう」という就任辞がしばしば言及されている。
◇「一度も経験したことのない国」
文大統領は就任辞の冒頭で「私の胸は一度も経験したことのない国を作るという情熱で熱いです」と述べた。過去の政権と線を引き、より良い政府を作るという誓いだった。だが任期後半にこの文は逆説的に文在寅政権を狙うための反語的文章として多く使われた。
「国民の力」の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表は昨年7月の国会交渉団体代表演説でこの就任辞を取り上げて現政権を批判した。彼は「大統領は『国民が幸せな国』『暮らしが良くなる国』を作ると述べたが、実際には国民にはますます挫折と憤怒ばかり積もっていきつつある。大統領就任辞のうち唯一守られたのは『一度も経験したことのない国』だけだと国民は冷笑している」と話した。
チン・ジュングォン元東洋大学教授と檀国(タングク)大学のソ・ミン教授らが著した『一度も経験したことのない国』も文大統領の就任辞を反語的に使った。「民主主義はどのように終わるのか」という副題が付いたこの本の著者は文在寅政権で正義と公正の価値が崩れたと主張し、そうした意味から「一度も経験したことのない国」と批判した。最近では現政権を偽善的だと批判する『もう二度と経験したくない国』(キム・ジョンヒョク著)も出版された。
◇「国民と随時疎通する大統領」
文大統領は就任しながら「君臨し統治する大統領ではなく、対話し疎通する大統領になります」と話した。朴前大統領には疎通不足という批判があったことから文大統領の疎通を期待する声も高かった。
だが約4年が過ぎた現在の文大統領の疎通成績も良い方ではない。文大統領は就任辞でまず疎通に言及し、「光化門(クァンファムン)時代の大統領になり国民の近くにいます」と約束したが、結局なかったことになった。「帰り道には市場に立ち寄って出会った市民たちと格式張らない対話をします。時には光化門広場で大討論会を開きます」とも話したが、国民はそうした姿を見ることはできなかった。
文大統領は就任第一声で「主要懸案は大統領が直接メディアにブリーフィングします」と述べた。任期初めには実際に文大統領が青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)で立場を発表したりもした。だが任期半ばを過ぎて不動産急騰や新型コロナウイルスワクチン問題、秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官と尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長の対立状況などが起きた時に文大統領は沈黙するか参謀を通じて代わりに立場を明らかにした。
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