制裁違反容疑の北朝鮮国籍者の身柄を米国に引き渡したマレーシアに対し、北朝鮮が「外交関係を断絶する」と宣言した。米国に向けても「代価を支払うことになるだろう」と警告した。
北朝鮮外務省は19日、朝鮮中央通信を通じて発表した「不義は正義の峻厳な審判を免れない」と題した声明で、「マレーシア当局は罪のない我々の公民を『犯罪者』と罵倒し、ついには米国に強圧的に引き渡すという容認できない犯罪行為を犯した」と指摘した。続いて「特大型の敵対行為を敢行したマレーシアとの外交関係を断絶することを宣言する」と明らかにした。
北朝鮮がいう「罪のない公民」とは、最近マレーシアが米国に身柄を引き渡した北朝鮮人事業家ムン・チョルミョン氏と推定される。米連邦捜査局(FBI)は2019年5月、ムン氏が対北朝鮮制裁を違反して酒や時計などのぜいたく品を北朝鮮に送り、幽霊会社を通じてマネーロンダリング(資金洗浄)をしたとして、マレーシア側に身柄引き渡しを要請していた。これを受け、マレーシア当局はムン氏をクアラルンプール郊外のマンションで逮捕した。そして同年12月、マレーシアの裁判所はムン氏の身柄引き渡しを承認した。
ムン氏は容疑を否認し続け、裁判所に身柄引き渡し決定の無効化を要請したが、マレーシア最高裁は今月9日、最終的にムン氏の要請を棄却し、米国への引き渡しを確定した。米外交専門誌ザ・ディプロマットは当時の報道で「史上初めて北朝鮮国籍者が制裁違反などの容疑で米国に引き渡されることになった」とし「北朝鮮が東南アジアなど海外で続けている不法行為に対し、制裁を強く適用する先例になるだろう」と分析した。ムン氏は判決後、実際に米国に引き渡されたことが把握された。
北朝鮮外務省はこの日の声明でマレーシア当局の判決について「とんでもないねつ造であり、完全な謀略」と主張した。外務省は「問題となった我々の公民は長年シンガポールで合法的な対外貿易活動に従事してきた幹部」とし「裁判では我々の代表部と弁護士側が繰り返し『不法資金洗浄の証拠』提示をマレーシア司法当局に強く要求したが、立証できるような物質的証拠は一度も示されなかった」と主張した。
また、今回の事件の「背後操縦者」であり「主犯」として米国を非難した。自国の国民が米国に引き渡されたことについて「米国の極悪非道な敵対視策動とマレーシア当局の親米屈辱が表した反共和国陰謀結託の直接的な産物」とし「米国も相応の代価を支払うことになるだろう」と警告した。また、米国に向けて「わが国の最大主敵である米国」と明示する一方、「地球上で最も敵対的な朝米関係は70年間にわたり技術的に戦争状態にあり、それは否定できない現実として実証されている」と主張した。
これに先立ち北朝鮮は16日の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長の談話、18日の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官の談話を通じても、米国に向けて警告メッセージを相次いで送った。17、18日の米国務・国防長官の訪韓に合わせて公開的な対米非難を始めたのだ。北朝鮮外務省のこの日の談話も、自国民が制裁違反で第3国から米国に引き渡される初の事態が発生したことを名分に対米非難戦を続けるという意図と解釈される。経済社会研究院の申範チョル(シン・ボムチョル)外交安保センター長は「バイデン政権の発足後しばらく沈黙していた北朝鮮が最近、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の承認の下、事案別に対米メッセージを出し、世論戦を本格化している」と分析した。
また、同盟関係を重視するバイデン政権が対北朝鮮制裁をさらに強化する場合、その被害はそのまま同盟および友好国に向かう可能性があるというメッセージも間接的に投じたとみられる。世宗研究所のホン・ヒョンイク首席委員は「バイデン政権の新しい対北朝鮮政策が数週以内に完成するタイミングに合わせて、米国が対北朝鮮制裁を強化する場合に備えて警告メッセージを送ったようだ」と話した。
2017年2月、金正恩国務委員長の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシア・クアラルンプール空港で暗殺された後、マレーシア当局が北朝鮮国籍者のイ・ジョンチョルを有力容疑者で逮捕した当時も、北朝鮮側は自国内のマレーシア国民を拘束しただけで断交カードまで取り出すことはなかった。しかし今月上旬のマレーシア最高裁の判決から10日後に断交を宣言したのは、東南アジアをはじめとする他国に「米国主導の対北朝鮮制裁に参加すれば黙過しない」というメッセージを送ったものと分析される。
北朝鮮外務省は19日、朝鮮中央通信を通じて発表した「不義は正義の峻厳な審判を免れない」と題した声明で、「マレーシア当局は罪のない我々の公民を『犯罪者』と罵倒し、ついには米国に強圧的に引き渡すという容認できない犯罪行為を犯した」と指摘した。続いて「特大型の敵対行為を敢行したマレーシアとの外交関係を断絶することを宣言する」と明らかにした。
北朝鮮がいう「罪のない公民」とは、最近マレーシアが米国に身柄を引き渡した北朝鮮人事業家ムン・チョルミョン氏と推定される。米連邦捜査局(FBI)は2019年5月、ムン氏が対北朝鮮制裁を違反して酒や時計などのぜいたく品を北朝鮮に送り、幽霊会社を通じてマネーロンダリング(資金洗浄)をしたとして、マレーシア側に身柄引き渡しを要請していた。これを受け、マレーシア当局はムン氏をクアラルンプール郊外のマンションで逮捕した。そして同年12月、マレーシアの裁判所はムン氏の身柄引き渡しを承認した。
ムン氏は容疑を否認し続け、裁判所に身柄引き渡し決定の無効化を要請したが、マレーシア最高裁は今月9日、最終的にムン氏の要請を棄却し、米国への引き渡しを確定した。米外交専門誌ザ・ディプロマットは当時の報道で「史上初めて北朝鮮国籍者が制裁違反などの容疑で米国に引き渡されることになった」とし「北朝鮮が東南アジアなど海外で続けている不法行為に対し、制裁を強く適用する先例になるだろう」と分析した。ムン氏は判決後、実際に米国に引き渡されたことが把握された。
北朝鮮外務省はこの日の声明でマレーシア当局の判決について「とんでもないねつ造であり、完全な謀略」と主張した。外務省は「問題となった我々の公民は長年シンガポールで合法的な対外貿易活動に従事してきた幹部」とし「裁判では我々の代表部と弁護士側が繰り返し『不法資金洗浄の証拠』提示をマレーシア司法当局に強く要求したが、立証できるような物質的証拠は一度も示されなかった」と主張した。
また、今回の事件の「背後操縦者」であり「主犯」として米国を非難した。自国の国民が米国に引き渡されたことについて「米国の極悪非道な敵対視策動とマレーシア当局の親米屈辱が表した反共和国陰謀結託の直接的な産物」とし「米国も相応の代価を支払うことになるだろう」と警告した。また、米国に向けて「わが国の最大主敵である米国」と明示する一方、「地球上で最も敵対的な朝米関係は70年間にわたり技術的に戦争状態にあり、それは否定できない現実として実証されている」と主張した。
これに先立ち北朝鮮は16日の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長の談話、18日の崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官の談話を通じても、米国に向けて警告メッセージを相次いで送った。17、18日の米国務・国防長官の訪韓に合わせて公開的な対米非難を始めたのだ。北朝鮮外務省のこの日の談話も、自国民が制裁違反で第3国から米国に引き渡される初の事態が発生したことを名分に対米非難戦を続けるという意図と解釈される。経済社会研究院の申範チョル(シン・ボムチョル)外交安保センター長は「バイデン政権の発足後しばらく沈黙していた北朝鮮が最近、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の承認の下、事案別に対米メッセージを出し、世論戦を本格化している」と分析した。
また、同盟関係を重視するバイデン政権が対北朝鮮制裁をさらに強化する場合、その被害はそのまま同盟および友好国に向かう可能性があるというメッセージも間接的に投じたとみられる。世宗研究所のホン・ヒョンイク首席委員は「バイデン政権の新しい対北朝鮮政策が数週以内に完成するタイミングに合わせて、米国が対北朝鮮制裁を強化する場合に備えて警告メッセージを送ったようだ」と話した。
2017年2月、金正恩国務委員長の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシア・クアラルンプール空港で暗殺された後、マレーシア当局が北朝鮮国籍者のイ・ジョンチョルを有力容疑者で逮捕した当時も、北朝鮮側は自国内のマレーシア国民を拘束しただけで断交カードまで取り出すことはなかった。しかし今月上旬のマレーシア最高裁の判決から10日後に断交を宣言したのは、東南アジアをはじめとする他国に「米国主導の対北朝鮮制裁に参加すれば黙過しない」というメッセージを送ったものと分析される。
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