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「今の生活も厳しいのに」…超競争韓国社会、出産を避ける90年代生まれ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
◆超競争社会が出生率を落とす

会社員Aさん(33、女性、仁川市)は結婚3年目だが、子どもを持つ計画はまだないという。貧富の差や住居費などによる苦痛を子どもに感じさせたくないからだ。Aさんは「学生時代はソウル瑞草(ソチョ)や木洞(モクドン)などで暮らしたが、周囲の同窓生と学力の差、貧富の差を強く感じた」とし「準備もなく子どもが生まれて、こうした剥奪感を親子で経験することを考えれば、子どもを持つのが怖くなる」と話した。

韓国社会の激しい競争風土と貧富の差、住居費上昇などが結婚と出産に対する青年たちの意思を挫いている。専門家らは「入試や就職など激しい競争環境を経験してきた90年代生まれが平均出産年齢の30代に入り、低出産傾向が日々明確になっている」と警告する。20・30代の社会進出時期が遅くなったことで初婚と最初の出産時期も遅くなり、これがまた高齢出産の負担をもたらすという悪循環を繰り返している。さらに新型コロナが20・30代の雇用・所得環境を悪化させ、「出産よりも生存」という意識が強まっている。


行政安全部によると、昨年の月別出生登録人口は前年比で月平均10.5%減少した。1年前の2019年の月平均(7.5%減)に比べ3ポイントも減少幅が拡大した。このうち昨年4月(-15.8%)、5月(-16.2%)、10月(-19.5%)は、過去10年間の前年同月比で登録出生数が最も大きく落ちた。妊娠期間を考慮すると、この時期の出生児減少は新型コロナによる婚姻減少とは関係が少ない「基調的低出生」と見るべきというのが専門家の診断だ。

◆激しい競争を経験した90年生まれ、出産適齢期に

原因は何か。ソウル大保健大学院のチョ・ヨンテ教授は「1980-2000年に生まれたミレニアル世代の中心にいる90年代生まれが昨年から30代に入っている点が最も大きな要因になったと考える」と診断した。婚姻と出産が最も多い30-34歳の年齢帯に90年生まれが進入し、低出生傾向が加速するという判断だ。チョ教授は「同じミレニアル世代でも『82年生まれ、キム・ジヨン』に比べ『90年生まれが来る』の主人公は結婚・出産に対する価値観がさらに否定的」と話した。

若年層の価値観が変わった背景には超競争文化があると考えられている。韓国銀行(韓銀)は報告書「ポストコロナ時代の人口構造変化環境点検」で「新型コロナ以前にもすでに若年層は激しい競争環境に露出していたし、これによって肯定的な結婚観が縮小していた」と分析した。また「人口と資源の集中化で大都市・首都圏内では『生き残るため』に、その他の地域では『大都市・首都圏に進入するため』に激しく競争した」とし「未来(出産)を選択するよりも現実(生存)を選択する可能性が高い」と予想した。

◆90年生まれ「振り返ると大変なことばかり…出産よりも幸せを」

30代に入っていく未婚女性の考えもこうした分析と変わらない。1992年生まれの会社員Bさんは(女性、29)は「転職を数回繰り返して安定した職場をつかむことができた」とし「ようやく自分のためにお金と余暇を使うことができるようになったが、子どもを持てば10年以上の時間が奪われそう」と語った。Bさんは「子どもを産むことも価値のあることだが、不確かな幸せという気がする」とし「出産後は経歴が途絶える可能性が高く、未来をあきらめてでも現在の確実な幸せをつかみたい」と話した。

1990年生まれの別の会社員C(31、女性)も「振り返ると、いつも競争して結果を出さなければいけないという強迫観念のため、幸せだと感じた瞬間はほとんどなかった」とし「日々が大変な生活を子どもに相続させるよりも、自分だけでも幸せになりたいという考え」と語った。

20代、30代の結婚・出産に対する認識の変化は統計にもはっきりと表れている。昨年の統計庁の社会調査によると、30代のうち「結婚を必ずしたい」という回答は全体の42.2%だった。10年前の2008年(60.8%)に比べて肯定的な認識が大きく減った結果だ。同じ期間、20代の肯定的な反応は61.9%から35.4%へと半分近く落ちた。

◆遅れる初婚年齢…「高齢出産が負担に」

第1子を出産する年齢が毎年高まっている点も出生率の低下につながっている。昨年女性が第1子を出産した年齢は平均32.3歳と、10年前(30.1歳)に比べ2年以上も遅くなった。女性の初婚年齢が2009年の28.7歳から2019年には30.6歳と、2年近く遅くなった結果だ。「女性は満35歳以上の高齢出産に大きな負担を感じている」と専門家は話す。

人口専門家は長期的な観点で養育費・雇用・住居費など社会福祉制度に全般的に手を加えるべきという立場だ。昨年の合計特殊出生率は0.84人と世界最低だったうえ、新型コロナによる雇用減少など経済的な圧力が日々強まっているからだ。行政安全部によると、今年1・2月の全国の出生児数は4万3289人と、10年前の2011年1・2月(8万1461人)に比べ53.1%減少し、超低出生率恐怖が広がっている。

韓国開発院国際政策大学院のチェ・スルギ教授は「未就業状態や転職を考えていた青年層が新型コロナ事態を迎え、結婚・出産時期が今後さらに遅れる可能性がある」とし「教育を含む養育、住居費など全般的に出産にかかる費用を低め、養育する楽しみが感じられるよう福祉制度を拡充しなければいけない」と述べた。

漢陽大のイ・サムシク高齢社会研究院長は「少子高齢化傾向を短期間に変えるのは難しいだけに、定年延長、年金改革など社会的な議論を急いで始める必要がある」とし「雇用、教育、住居など社会システムの全般的な改善なく、従来の一過性の支援だけでは低出生率の問題を解消するのは難しい」と指摘した。



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