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【コラム】宇宙開発・占有に動く強国…「平和的共有」原則は崩れた(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

米国スペースXの次世代有人宇宙船スターシップが国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングする場面を描いた想像図。開発が進行中のスターシップ宇宙船は、地球軌道だけでなく月や火星の探査にも参加する。[写真 スペースX]

「国連の外気圏条約は誤りであり、米国はこれを改定するか、脱退を考慮しなければいけない」。

2019年8月、米ワシントンのジョージ・ワシントン大宇宙政策研究センターで行われた著名宇宙法学者の講義の内容だ。宇宙活動の自由の原則、宇宙の平和的利用の原則、宇宙空間専有禁止の原則などを核心とする外気圏条約をバイブルと考えていた筆者には大きな衝撃だった。

講義の内容はすぐに現実として表れた。当時、トランプ米大統領は行政命令と宇宙政策指針などを通じて、宇宙軍の創設、宇宙資源の商業的活用などを米国の宇宙政策として宣言した。世界の宇宙現実は大きく変わっていた。米国で見た宇宙は「1950年代に始まった宇宙競争はまだ進行中」というものだった。宇宙は未知の世界に対する探求を越え、未来の資源の宝庫であり、国家安全保障および自主国防の核心であると同時に、民間企業による新市場競争の場だ。ニュースペース(New space)は民間主導の宇宙開発だけを意味するのではなかった。世界は宇宙をめぐり大きく変化していた。


◆急変するグローバル宇宙競争

世界の宇宙開発はもう新しいパラダイムの変化を迎えている。急変するグローバル宇宙競争の中で韓国宇宙開発の現在と未来を診断することは極めて重要だ。韓国の民間宇宙企業セトレックアイから人工衛星開発技術を伝授されたアラブ首長国連邦(UAE)が、わずか10年ほどで地球から4億8000万キロ離れた火星の軌道に探査船「アマル(希望)」を進入させ、火星の映像を送ってきた。米国・ロシア・欧州・インドに続き、世界5番目の火星軌道進入国となった。UAEは英国から独立して建国50周年を迎える今年は火星探査船の成功、建国100周年となる2071年に火星に人類定着村を建設するという遠大な目標を発表している。

◆中東の小国UAEも宇宙隊列合流

UAEの宇宙関係者は、中東のポスト石油時代を牽引し、青少年の科学的な関心を引き出し、挑戦的な目標を通じて未来を見せたいと明らかにした。米国・ロシア・中国など巨大強国だけが可能だと思われた宇宙探査に、我々が考えもしなかった間、我々から技術を受けた中東の小国が宇宙探査国に仲間入りしたのだ。

翌日、中国も火星着陸船「天問1号」を火星の軌道に載せ、米国も19日に5番目の火星探査船「パーサヴィアランス」を火星に着陸させ、人類の火星居住の可能性を調査し、火星のサンプルを採取して帰還する予定だ。さらに米国の民間企業スペースXの創立者イーロン・マスクは今後100年以内に100万人を火星に送ると主張している。隣国の日本も2005年の「はやぶさ」に続き、昨年12月6日には「はやぶさ2」を通じて地球から3億キロ離れた小惑星「リュウグウ」から表土を採集して地球に帰還する快挙を成し遂げた。日本は人類で最初に小惑星からサンプルを持ち帰った国になった。

世界主要国の活発な宇宙探査にはどのような意味があるのだろうか。宇宙探査は青少年に科学技術に対する関心と希望を与え、難しい目標の実現過程で国家の科学技術力を向上させたりもする。さらに注目すべきことは宇宙資源の商業的活用が迫っている点だ。その間、国連をはじめとする国際社会では宇宙資源は人類共同の遺産であり特定国が所有・占有することはできないという原則を共有していたが、こうした原則はもはや有効でないということだ。

2018年当時、米国のマイク・ペンス副大統領は「宇宙は陸上・海上・空中と同じく戦闘(war-fighting)の領域」と宣言した。数年前、米国務省との会議で、米国は重要軍事情報の70%以上を宇宙資産を通じて取得すると明らかにした。衛星航法システムの衛星利用測位システム(GPS)による位置情報のほか、各種偵察衛星を通じた光学および全天候レーダー映像、通信衛星を利用した通信傍受、世界の隅々の戦時作戦のためのリアルタイム気象情報など、すでに宇宙は国防力の核心的な位置を占めている。

2007年の中国の衛星迎撃実験、2019年のインドの衛星迎撃実験などは、宇宙資産に依存してきた米国の国防力を脅かす重要な要素として作用した。さらに中国とロシアは地上からだけでなく、宇宙で人工衛星を直接迎撃したり作動不能にするための宇宙武器開発および試験が進行中であることが伝えられ、米国は宇宙軍創設を公式宣言した。

隣国の日本もこれに歩調を合わせて従来の平和憲法の精神から抜け出し、2008年に宇宙基本法に宇宙安全保障を含め、昨年は航空自衛隊の中に「宇宙作戦隊」を創設した。今年中に航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改編することも推進中だ。日本は速いペースで宇宙国防力を強化している。

もう一つの大きな変化はニュースペース時代の到来だ。ニュースペースという宇宙分野で民間による商業化が拡大することを意味する。その間、宇宙開発は政府が独占してきた。しかし再利用が可能なファルコンロケットを開発し、民間の宇宙商業化を先導しているスペースXは、宇宙開発の大きな障害だった打ち上げ費用を10分の1水準に画期的に引き下げている。こうした費用削減は、民間企業の宇宙ビジネス参入障壁を大幅に低め、民間宇宙旅行と衛星インターネット事業など宇宙の商業化を加速化している。イーロン・マスクは地球の低軌道に人工衛星1万2000個を打ち上げ、インターネットの死角地帯がない超高速インターネットを普及させる事業を進めるなど、民間の宇宙開発参加は日々増えている。それでも政府の宇宙開発投資が減るわけではない。NASAの宇宙開発予算は依然として韓国政府の科学技術R&D予算規模に匹敵する年間230億ドルを超える。


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