トランプ大統領が選挙結果に従わず追従者に議事堂を流血占拠するように教唆した容疑で2回も弾劾される極端な情勢の中で発足したバイデン政権が「変曲点」を作るのは確実だ。4年間のアブノーマルをニューノーマルに変える米国新政権は果たして、韓国に重要な米中戦略的競争と北朝鮮の核問題でどのような持続性と変化をもたらすだろうか。
トランプ政権の米国益優先主義、国際的孤立主義、反民主的ポピュリズムなど極右的国政運営に対し、バイデン政権は国際関与主義とリーダーシップ回復、民主主義連合などトランプ時代に対する全面的反命題を強調する。このような対立にもかかわらず、米国が超党派的に共有する国益領域は持続性を持つだろう。そのうちのひとつが対中政策だ。
韜光養晦で和平崛起していた中国は2008年に米国が金融危機でふらつくと2010年には日本を追い越しGDP世界2位に上り、すべきことをするという主動作為に旋回した。中国は有利になった勢力バランスに力づけられ台湾、東シナ海、南シナ海などで威圧的に「核心利益」を追求し始め、核心利益争奪に向け空母配備、情報基盤統合軍指揮体系(ISSSO)構築、接近阻止/領域拒否(A2/AD)戦略など軍事能力高度化に拍車をかけている
バイデン政権は中国を「修正主義」、米中関係を「戦略競争」と規定する一方、米国は自由で開放されたインド太平洋を維持するために尽力すべきというトランプ政権の認識に基本的に同意する。だが保護貿易主義と一国主義的対応を選択したトランプ政権とは違いバイデン大統領は自由、開放、民主主義、人権などの価値に基づいた広範な国際連帯と国際体制による体系的対応を提示する。
バイデン政権は米中競争を単純な覇権競争ではなく自由主義対権威主義の体制対決に引き上げ、中国の不公正経済行為、修正主義的野心などに対し世界貿易機関(WTO)など現在の自由主義国際機関と規範を動員しようと考える。そして中国の安保脅威にはクアッド、民主主義首脳会議など国際的価値連帯に基づいた多国間主義で抑止しながらこれを通じて再度国際的リーダーシップを回復しようと考える。
このような政策方向は中国の和平崛起を可能にした根本要因を除去する甚大な含意を持つ。最初に、特に民主党が支援した対中包容政策は終息した。米国はこれ以上中国が国際規範に違反して行った為替操作、違法補助金、知的財産権などの不公正行為を包容せず、「自由で公正な」経済に進むよう最大限圧迫するだろう。2番目に、根本的にバイデン政権は民主主義、人権、自由などを圧迫することによって高度経済成長と修正主義対外政策を主導した開発独裁の根幹を脅かすだろう。
ボールは中国に渡った。中国の選択は2つのうちひとつだ。自由主義国際規範を受け入れ核心利益争奪を遅らせる韜光養晦に回帰したり、核心利益を追求し続けることによりバイデン政権の集団主義的新インド太平洋戦略に正面から対抗することだ。だが前者の選択は中国共産党にアイデンティティと正当性の危機をもたらしかねず、後者は劣勢な中国に国家危機を呼び起こす危険をもたらしかねないということに中国のジレンマが置かれている。
大量破壊武器を保有した米中が覇権戦争というトゥキディデスの罠に陥るようには見えないが、両国と両体制の競争は次第により多くの問題領域を描き、さらに多くの国を二者択一に追い込むだろう。このような見通しは米国に安保を依存し中国と経済交流を拡大してきた韓国が米中対立の十字砲火を浴び中国により韓国の対中経済が人質に取られたり、米国によって韓国の安保が人質に取られかねない中間地帯を早く消滅させるだろう。選択の瞬間がくるほかないならば自由主義国際秩序で高度成長と民主化の二大奇跡を成し遂げた韓国の選択は自明だ。
このような見通しに立つと米中が韓国と北朝鮮に自分たちの陣営に入るよう圧迫するのは自明だが、それでも韓半島(朝鮮半島)が必ずしも米中対立の現場になる理由はない。米中対立の主戦場が東シナ海と南シナ海であるためだ。だが北朝鮮の核と南北分断という「国際的」対立により米中対立が韓半島に移る可能性を先制的に遮断することは必須だ。
9・19合意(2005)と米朝シンガポール共同声明(2019)で見られるように、対北朝鮮「敵対視政策」の破棄と北朝鮮の非核化(CVID)を交換すれば北朝鮮の核問題は解決される。だがこれまでの交渉失敗が見せるようにこれを具体化するのは非常に複雑難解で、履行を担保する相互信頼はほとんどない。バイデン政権が対北朝鮮政策の検討に入り文在寅政権の任期が1年ほど残った事情を考慮すれば、韓国政府としては米国と北朝鮮が互いに性急な解決策を圧迫するより新たな脅威を提起せずに交渉条件を作るよう説得することが当面の課題であろう。米中対立と北朝鮮の核が提起するジレンマが深いほど韓国の洞察と知恵が要求される。
権万学(クォン・マンハク)/慶熙(キョンヒ)大学名誉教授
トランプ政権の米国益優先主義、国際的孤立主義、反民主的ポピュリズムなど極右的国政運営に対し、バイデン政権は国際関与主義とリーダーシップ回復、民主主義連合などトランプ時代に対する全面的反命題を強調する。このような対立にもかかわらず、米国が超党派的に共有する国益領域は持続性を持つだろう。そのうちのひとつが対中政策だ。
韜光養晦で和平崛起していた中国は2008年に米国が金融危機でふらつくと2010年には日本を追い越しGDP世界2位に上り、すべきことをするという主動作為に旋回した。中国は有利になった勢力バランスに力づけられ台湾、東シナ海、南シナ海などで威圧的に「核心利益」を追求し始め、核心利益争奪に向け空母配備、情報基盤統合軍指揮体系(ISSSO)構築、接近阻止/領域拒否(A2/AD)戦略など軍事能力高度化に拍車をかけている
バイデン政権は中国を「修正主義」、米中関係を「戦略競争」と規定する一方、米国は自由で開放されたインド太平洋を維持するために尽力すべきというトランプ政権の認識に基本的に同意する。だが保護貿易主義と一国主義的対応を選択したトランプ政権とは違いバイデン大統領は自由、開放、民主主義、人権などの価値に基づいた広範な国際連帯と国際体制による体系的対応を提示する。
バイデン政権は米中競争を単純な覇権競争ではなく自由主義対権威主義の体制対決に引き上げ、中国の不公正経済行為、修正主義的野心などに対し世界貿易機関(WTO)など現在の自由主義国際機関と規範を動員しようと考える。そして中国の安保脅威にはクアッド、民主主義首脳会議など国際的価値連帯に基づいた多国間主義で抑止しながらこれを通じて再度国際的リーダーシップを回復しようと考える。
このような政策方向は中国の和平崛起を可能にした根本要因を除去する甚大な含意を持つ。最初に、特に民主党が支援した対中包容政策は終息した。米国はこれ以上中国が国際規範に違反して行った為替操作、違法補助金、知的財産権などの不公正行為を包容せず、「自由で公正な」経済に進むよう最大限圧迫するだろう。2番目に、根本的にバイデン政権は民主主義、人権、自由などを圧迫することによって高度経済成長と修正主義対外政策を主導した開発独裁の根幹を脅かすだろう。
ボールは中国に渡った。中国の選択は2つのうちひとつだ。自由主義国際規範を受け入れ核心利益争奪を遅らせる韜光養晦に回帰したり、核心利益を追求し続けることによりバイデン政権の集団主義的新インド太平洋戦略に正面から対抗することだ。だが前者の選択は中国共産党にアイデンティティと正当性の危機をもたらしかねず、後者は劣勢な中国に国家危機を呼び起こす危険をもたらしかねないということに中国のジレンマが置かれている。
大量破壊武器を保有した米中が覇権戦争というトゥキディデスの罠に陥るようには見えないが、両国と両体制の競争は次第により多くの問題領域を描き、さらに多くの国を二者択一に追い込むだろう。このような見通しは米国に安保を依存し中国と経済交流を拡大してきた韓国が米中対立の十字砲火を浴び中国により韓国の対中経済が人質に取られたり、米国によって韓国の安保が人質に取られかねない中間地帯を早く消滅させるだろう。選択の瞬間がくるほかないならば自由主義国際秩序で高度成長と民主化の二大奇跡を成し遂げた韓国の選択は自明だ。
このような見通しに立つと米中が韓国と北朝鮮に自分たちの陣営に入るよう圧迫するのは自明だが、それでも韓半島(朝鮮半島)が必ずしも米中対立の現場になる理由はない。米中対立の主戦場が東シナ海と南シナ海であるためだ。だが北朝鮮の核と南北分断という「国際的」対立により米中対立が韓半島に移る可能性を先制的に遮断することは必須だ。
9・19合意(2005)と米朝シンガポール共同声明(2019)で見られるように、対北朝鮮「敵対視政策」の破棄と北朝鮮の非核化(CVID)を交換すれば北朝鮮の核問題は解決される。だがこれまでの交渉失敗が見せるようにこれを具体化するのは非常に複雑難解で、履行を担保する相互信頼はほとんどない。バイデン政権が対北朝鮮政策の検討に入り文在寅政権の任期が1年ほど残った事情を考慮すれば、韓国政府としては米国と北朝鮮が互いに性急な解決策を圧迫するより新たな脅威を提起せずに交渉条件を作るよう説得することが当面の課題であろう。米中対立と北朝鮮の核が提起するジレンマが深いほど韓国の洞察と知恵が要求される。
権万学(クォン・マンハク)/慶熙(キョンヒ)大学名誉教授
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