軍が2年ぶりに出した『2020国防白書』でも北朝鮮軍を「主敵」と明示しなかった。一方、「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が南北関係改善に対する意志を表した」という内容が入った。軍が白書で北朝鮮指導者の「南北関係改善意志」を表明したのは今回が初めて。今回の国防白書は文在寅(ムン・ジェイン)政権での最後の白書だ。
◆「北、9・19軍事合意を遵守」
韓国国防部は2日に公開した白書で、北朝鮮の軍事的な脅威が高まったと強調しながらも、過去の白書に見られた「主敵」「敵」という表現は使わなかった。その代わり2年前と同じく「北朝鮮の大量破壊兵器は韓半島(朝鮮半島)の平和と安定に対する脅威」とだけ記述した。
国防部は金泳三(キム・ヨンサム)政権当時の1995年から「主敵」という表現を国防白書に入れた。金大中(キム・デジュン)政権でも「主敵」を維持したが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代には「直接的な軍事脅威」(2004年版)、「深刻な脅威」(2006年版)と表現した。李明博(イ・ミョンバク)政権と朴槿恵(パク・クネ)政権は「敵」とした。
今回の白書は北朝鮮の対南政策について「全般的に『9・19軍事合意』を遵守している」と評価した。また、西海(ソヘ、黄海)北方限界線(NLL)近隣海上で発生した公務員殺害事件に関しては「金正恩国務委員長は通知文を通じて遺憾を表明し、謝罪の意を伝えた」とし「党設立75周年閲兵式(軍事パレード)の演説では南北関係改善に対する意志を表明した」と記述した。
北朝鮮の対外政策については「『自主・平和・親善』の外交原則に基づき、韓半島周辺国との首脳外交を通じて対外環境改善のための努力を続けている」と説明した。これに対し軍内外からは「北が主張する『正常国家』イメージを代弁するような表現」という批判が出ている。
◆韓中は「友好」、韓日は「葛藤」を強調
新しい国防白書では周辺国に対する表現の程度も変わった。特に中国については友好的に記述された半面、日本に対しては葛藤状況が強調された。
中国の場合、2018年版に見られたTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐる韓中葛藤状況がまるごと抜けた。2年前には「THAAD配備決定の発表後、中国は自国と地域の戦略的安保利益を害するという理由で強く反対した」とし「その後、多くの国防交流協力が中断したりした」という内容があった。
これに関連し国防部関係者は「特別な理由はない」とし「2018年に白書を出した当時はTHAAD問題が深刻だったが、その後は一段落して正常化段階に入ったと判断し、含めなかった」と説明した。
半面、今回の白書では「中国軍遺骨送還式」など全般的に韓中間の友好的な雰囲気が強調された。「両国関係の安定的発展」という表現も初めて登場した。康ジュン栄(カン・ジュンヨン)韓国外大国際地域研究センター長は「典型的な中国式表現であり、国防白書になぜこのような表現を入れるのか理解しがたい」とし「国防部が外交的なニュアンスを前に出すのは問題だ。政府が強調する自主国防にも問題になる」と述べた。
日本は2年ぶりに「パートナー」から「近隣諸国」に格下げされた。これに関し国防部関係者は「外交部とも協議し、輸出規制などの懸案を考慮し、国防部の立場では『近隣諸国』という表現が合うと判断した」と述べた。
白書はこれまでに発生した自衛隊哨戒機威嚇飛行事件、日本の輸出規制措置など韓日葛藤要素をついて「両国国防関係の未来志向的な発展に障害要素となっている」と強調した。韓日軍事秘密情報保護協定(GSOMIA)については「協定終了通知の効力停止状態」とのみ伝えた。こうした記述について外交関係者の間では「すでに米国の警告で外交的には『死んだカード』を、実質的に情報協力が必要な国防部が『生きたカード』として描写するのは問題」という指摘が出ている。
ソウル大国際学研究所の朴チョル熙(ク・チョルヒ)所長は「極端に日本を『仮想の敵』と、中国を『友好国』と映るようにする記述は問題だ」とし「均衡感を喪失すれば韓米日協力を強調するバイデン政権に誤ったシグナルを与えかねない」と指摘した。続いて「中国は西海(ソヘ、黄海)で領有権を主張しながら侵犯しているのが現実だが、本当にわが国の軍が主権を守る意志があるのか疑問を感じるほどだ」と述べた。
◆「大口径放射砲、韓半島全域が射程圏」
軍は今回の白書で、各種弾道ミサイルなど北朝鮮軍の軍事的脅威が強まった点を強調した。特に「大口径放射砲(ロケット砲)を開発、韓半島全域を打撃できる放射砲を中心に火力を補強している」と記述した。
「中部圏を射程圏とする300ミリ放射砲」と記述した2年前とは確実に異なる。ただ、先月の労働党第8回大会で言及された「戦術核兵器開発」に対する評価はなかった。
北朝鮮の「核保有」も従来のように明示しなかった。「プルトニウム50キロ保有」「核兵器小型化能力が相当な水準」など2年前と同じ内容だけを記述した。
今回の白書では北朝鮮軍の組織で「人民武力省」を「国防省」に変更した事実を公式化した。北朝鮮の特殊作戦軍を初めて別の軍種として扱い、北朝鮮が韓国浸透用として使用するAN-2航空機を追加で生産していることも初めて明らかにした。再編成された6個機械化歩兵師団が新型戦車などで老朽戦力を代替しているとも評価した。
各種弾道ミサイルが実戦配備され、戦略軍ミサイル旅団が9個(2018年版)から13個に増えたことが記述された。また、白書は昨年10月の閲兵式で公開された新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を北朝鮮軍が実際に保有する弾道ミサイルに含めた。
北極星3を準中距離弾道ミサイル(MRBM)と明示し、2年前には「新型」にのみ分類していた短距離弾道ミサイル(SRBM)を19-1・19-4SRBMなど具体的に細分化した。
◆「北、9・19軍事合意を遵守」
韓国国防部は2日に公開した白書で、北朝鮮の軍事的な脅威が高まったと強調しながらも、過去の白書に見られた「主敵」「敵」という表現は使わなかった。その代わり2年前と同じく「北朝鮮の大量破壊兵器は韓半島(朝鮮半島)の平和と安定に対する脅威」とだけ記述した。
国防部は金泳三(キム・ヨンサム)政権当時の1995年から「主敵」という表現を国防白書に入れた。金大中(キム・デジュン)政権でも「主敵」を維持したが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代には「直接的な軍事脅威」(2004年版)、「深刻な脅威」(2006年版)と表現した。李明博(イ・ミョンバク)政権と朴槿恵(パク・クネ)政権は「敵」とした。
今回の白書は北朝鮮の対南政策について「全般的に『9・19軍事合意』を遵守している」と評価した。また、西海(ソヘ、黄海)北方限界線(NLL)近隣海上で発生した公務員殺害事件に関しては「金正恩国務委員長は通知文を通じて遺憾を表明し、謝罪の意を伝えた」とし「党設立75周年閲兵式(軍事パレード)の演説では南北関係改善に対する意志を表明した」と記述した。
北朝鮮の対外政策については「『自主・平和・親善』の外交原則に基づき、韓半島周辺国との首脳外交を通じて対外環境改善のための努力を続けている」と説明した。これに対し軍内外からは「北が主張する『正常国家』イメージを代弁するような表現」という批判が出ている。
◆韓中は「友好」、韓日は「葛藤」を強調
新しい国防白書では周辺国に対する表現の程度も変わった。特に中国については友好的に記述された半面、日本に対しては葛藤状況が強調された。
中国の場合、2018年版に見られたTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐる韓中葛藤状況がまるごと抜けた。2年前には「THAAD配備決定の発表後、中国は自国と地域の戦略的安保利益を害するという理由で強く反対した」とし「その後、多くの国防交流協力が中断したりした」という内容があった。
これに関連し国防部関係者は「特別な理由はない」とし「2018年に白書を出した当時はTHAAD問題が深刻だったが、その後は一段落して正常化段階に入ったと判断し、含めなかった」と説明した。
半面、今回の白書では「中国軍遺骨送還式」など全般的に韓中間の友好的な雰囲気が強調された。「両国関係の安定的発展」という表現も初めて登場した。康ジュン栄(カン・ジュンヨン)韓国外大国際地域研究センター長は「典型的な中国式表現であり、国防白書になぜこのような表現を入れるのか理解しがたい」とし「国防部が外交的なニュアンスを前に出すのは問題だ。政府が強調する自主国防にも問題になる」と述べた。
日本は2年ぶりに「パートナー」から「近隣諸国」に格下げされた。これに関し国防部関係者は「外交部とも協議し、輸出規制などの懸案を考慮し、国防部の立場では『近隣諸国』という表現が合うと判断した」と述べた。
白書はこれまでに発生した自衛隊哨戒機威嚇飛行事件、日本の輸出規制措置など韓日葛藤要素をついて「両国国防関係の未来志向的な発展に障害要素となっている」と強調した。韓日軍事秘密情報保護協定(GSOMIA)については「協定終了通知の効力停止状態」とのみ伝えた。こうした記述について外交関係者の間では「すでに米国の警告で外交的には『死んだカード』を、実質的に情報協力が必要な国防部が『生きたカード』として描写するのは問題」という指摘が出ている。
ソウル大国際学研究所の朴チョル熙(ク・チョルヒ)所長は「極端に日本を『仮想の敵』と、中国を『友好国』と映るようにする記述は問題だ」とし「均衡感を喪失すれば韓米日協力を強調するバイデン政権に誤ったシグナルを与えかねない」と指摘した。続いて「中国は西海(ソヘ、黄海)で領有権を主張しながら侵犯しているのが現実だが、本当にわが国の軍が主権を守る意志があるのか疑問を感じるほどだ」と述べた。
◆「大口径放射砲、韓半島全域が射程圏」
軍は今回の白書で、各種弾道ミサイルなど北朝鮮軍の軍事的脅威が強まった点を強調した。特に「大口径放射砲(ロケット砲)を開発、韓半島全域を打撃できる放射砲を中心に火力を補強している」と記述した。
「中部圏を射程圏とする300ミリ放射砲」と記述した2年前とは確実に異なる。ただ、先月の労働党第8回大会で言及された「戦術核兵器開発」に対する評価はなかった。
北朝鮮の「核保有」も従来のように明示しなかった。「プルトニウム50キロ保有」「核兵器小型化能力が相当な水準」など2年前と同じ内容だけを記述した。
今回の白書では北朝鮮軍の組織で「人民武力省」を「国防省」に変更した事実を公式化した。北朝鮮の特殊作戦軍を初めて別の軍種として扱い、北朝鮮が韓国浸透用として使用するAN-2航空機を追加で生産していることも初めて明らかにした。再編成された6個機械化歩兵師団が新型戦車などで老朽戦力を代替しているとも評価した。
各種弾道ミサイルが実戦配備され、戦略軍ミサイル旅団が9個(2018年版)から13個に増えたことが記述された。また、白書は昨年10月の閲兵式で公開された新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を北朝鮮軍が実際に保有する弾道ミサイルに含めた。
北極星3を準中距離弾道ミサイル(MRBM)と明示し、2年前には「新型」にのみ分類していた短距離弾道ミサイル(SRBM)を19-1・19-4SRBMなど具体的に細分化した。
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