中国海軍北海艦隊の責任地域(AOR)は西海(ソヘ、黄海)と近隣海域だ。地理的・歴史的に韓半島(朝鮮半島)と西海は中国の首都・北京と最も近く、西海は渤海湾とつながる「戦略的通路」の責任を担う。
歴史的にも「仁川(インチョン)上陸作戦」「日清戦争」に見られるように、中国と日本の韓半島侵略史は西海上の制覇がカギだった。中国は経済発展の重要性、「中国の夢」と「強軍の夢」の実現のためには韓半島と西海の安定が必要だとみている。
こうした背景から中国は海軍力を増強している。米政府省庁は中国艦艇の数量増加、戦闘体系の改善、他軍種との合同作戦能力などに焦点を置いて分析している。米国防総省の『中国軍事力報告書2020』、米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)の『年次報告書』、議会調査局(CRS)の『中国海軍現代化』、国防情報局(DIA)の『中国の軍事力2019』などで扱っている。
例えば2005年から2020年にかけて中国の艦艇総数量は216隻から333隻へと117隻増えた。これに対し米国の艦艇は同じ期間、281隻から296隻へと15隻の増加にとどまった。艦艇規模で中国海軍が世界最大という言葉は事実だ。
こうした中国海軍艦艇の量的膨張に耳目が集中する。特に空母(2隻)、巡洋艦(055型)1隻、ミサイル駆逐艦(052D型)23隻、ミサイルフリゲート艦(054型)30隻、戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)4隻、攻撃型原子力潜水艦(SSN)6隻、ヘリコプター強襲揚陸艦(075型・LHA)1隻、上陸輸送艦(071型・LPD)7隻などで増加が目立つ。
戦闘体系の発展は各種ミサイルでみられる。江凱IIフリゲート艦標準型はYJ-83(射程距離180キロ)、旅洋II駆逐艦はYJ-62(400キロ)、旅洋IIIなどの巡洋艦は最新型YJ-18A(537キロ)対艦巡航ミサイル(ASCM)を搭載している。
現段階の中国軍の改革で最も目を引く部分の一つが海兵隊(海軍陸戦隊)の拡大だ。改革以前(2015年)には約1万人にすぎなかった。現在は8個旅団に増え、総兵力は4万人と推定される。中国海軍の増強推移が今後も続くという予測はこうした現代化形態が根拠となっている。
中国海軍保有艦艇は北海・東海・南海艦隊に幅広く配備されている。米国防総省の資料によると、北海艦隊は空母1隻、攻撃型原子力潜水艦4隻、在来型潜水艦14隻、巡洋艦1隻、駆逐艦9隻、フリゲート艦12隻、コルベット艦10隻、ミサイル哨戒艇18隻および中型揚陸艦7隻を保有している。
艦隊別の差は明確であり、戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)4隻はすべて南海艦隊に配属され、台湾を向き合う東海艦隊には原子力潜水艦がなく、代わりに各種揚陸艦計25隻を保有している。
中国海軍分析資料と推定はすべて米国で作成された。理由は自明だ。米国は中国軍および中国海軍に関する最も多くの情報を保有していて、これを公開するためだ。「中国たたき」にもつながっている。
韓国は米国の資料を綿密に検討・参考にし、米国ではなく韓国の安全保障所要を基盤に分析する必要がある。中国の北海艦隊と北部戦区だけでなく、重要性が漸増している台湾海峡と南シナ海の状況変化も念頭に置かなければいけない。また、中国軍が「強軍の夢」目標を達成できないとしても、我々の安全保障に挑戦・脅威として作用するという認識が求められる。
中国海軍に関して我々が分析すべきことは少なくないが、次の2つの点は決して忘れてはいけない。一つは、中国海軍に対する具体的・細部的事案まで持続的に追跡する習慣を持つことだ。
例えば、潜水艦および主要水上艦の艦番や武装状態を把握することだ。これに関する米国防総省と米海軍情報局(ONI)の資料を総合・分析すればよい。
別の例としては旅洋(052型)級2隻、旅海(051B型)級1隻、ソブレメンヌイ級2隻など改良・最新化する最近の状況を追跡しなければならないが、これら主要水上艦の武装状態が変化している。
また別の例としては、中国海軍の合同化、軍需支援、訓練などの弱点、特に訓練状況を追跡することだ。具体的には米海軍との情報交流、航跡追跡魚雷防御、中国との「海軍会議」推進、周辺国との海洋(海軍)協力拡大などが必要だ。
もう一つは中国軍が推進する「情報化した局地戦」での海軍の役割だ。基本的に北海艦隊は北部戦区海軍であり、海軍でなく北部戦区司令部の指揮・統制(C2)を受ける。これまでの硬直で制限されたC2が海軍の役割拡大とどんな関連性を持つのかも追跡しなければいけない。
中国海軍も他軍種と同じように旅団化(旅化)と標準化を推進する。北部戦区所属の艦隊・支隊の変化はこれを反映する。最近、北海艦隊所属戦力の配備地域の変化は公開資料でも追跡できる。
例えば第5・第6海軍陸戦隊旅団はすべて山東省に配置されている。C2以外にも北海艦隊の各種合同化努力、電子戦能力および衛星基盤C4ISR体系推進に対する持続的な追跡は、周辺国の海軍の動向把握だけでなく、韓国の海洋安全保障をさらに強めることになるだろう。
キム・テホ/翰林大学院大学教教授
歴史的にも「仁川(インチョン)上陸作戦」「日清戦争」に見られるように、中国と日本の韓半島侵略史は西海上の制覇がカギだった。中国は経済発展の重要性、「中国の夢」と「強軍の夢」の実現のためには韓半島と西海の安定が必要だとみている。
こうした背景から中国は海軍力を増強している。米政府省庁は中国艦艇の数量増加、戦闘体系の改善、他軍種との合同作戦能力などに焦点を置いて分析している。米国防総省の『中国軍事力報告書2020』、米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)の『年次報告書』、議会調査局(CRS)の『中国海軍現代化』、国防情報局(DIA)の『中国の軍事力2019』などで扱っている。
例えば2005年から2020年にかけて中国の艦艇総数量は216隻から333隻へと117隻増えた。これに対し米国の艦艇は同じ期間、281隻から296隻へと15隻の増加にとどまった。艦艇規模で中国海軍が世界最大という言葉は事実だ。
こうした中国海軍艦艇の量的膨張に耳目が集中する。特に空母(2隻)、巡洋艦(055型)1隻、ミサイル駆逐艦(052D型)23隻、ミサイルフリゲート艦(054型)30隻、戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)4隻、攻撃型原子力潜水艦(SSN)6隻、ヘリコプター強襲揚陸艦(075型・LHA)1隻、上陸輸送艦(071型・LPD)7隻などで増加が目立つ。
戦闘体系の発展は各種ミサイルでみられる。江凱IIフリゲート艦標準型はYJ-83(射程距離180キロ)、旅洋II駆逐艦はYJ-62(400キロ)、旅洋IIIなどの巡洋艦は最新型YJ-18A(537キロ)対艦巡航ミサイル(ASCM)を搭載している。
現段階の中国軍の改革で最も目を引く部分の一つが海兵隊(海軍陸戦隊)の拡大だ。改革以前(2015年)には約1万人にすぎなかった。現在は8個旅団に増え、総兵力は4万人と推定される。中国海軍の増強推移が今後も続くという予測はこうした現代化形態が根拠となっている。
中国海軍保有艦艇は北海・東海・南海艦隊に幅広く配備されている。米国防総省の資料によると、北海艦隊は空母1隻、攻撃型原子力潜水艦4隻、在来型潜水艦14隻、巡洋艦1隻、駆逐艦9隻、フリゲート艦12隻、コルベット艦10隻、ミサイル哨戒艇18隻および中型揚陸艦7隻を保有している。
艦隊別の差は明確であり、戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)4隻はすべて南海艦隊に配属され、台湾を向き合う東海艦隊には原子力潜水艦がなく、代わりに各種揚陸艦計25隻を保有している。
中国海軍分析資料と推定はすべて米国で作成された。理由は自明だ。米国は中国軍および中国海軍に関する最も多くの情報を保有していて、これを公開するためだ。「中国たたき」にもつながっている。
韓国は米国の資料を綿密に検討・参考にし、米国ではなく韓国の安全保障所要を基盤に分析する必要がある。中国の北海艦隊と北部戦区だけでなく、重要性が漸増している台湾海峡と南シナ海の状況変化も念頭に置かなければいけない。また、中国軍が「強軍の夢」目標を達成できないとしても、我々の安全保障に挑戦・脅威として作用するという認識が求められる。
中国海軍に関して我々が分析すべきことは少なくないが、次の2つの点は決して忘れてはいけない。一つは、中国海軍に対する具体的・細部的事案まで持続的に追跡する習慣を持つことだ。
例えば、潜水艦および主要水上艦の艦番や武装状態を把握することだ。これに関する米国防総省と米海軍情報局(ONI)の資料を総合・分析すればよい。
別の例としては旅洋(052型)級2隻、旅海(051B型)級1隻、ソブレメンヌイ級2隻など改良・最新化する最近の状況を追跡しなければならないが、これら主要水上艦の武装状態が変化している。
また別の例としては、中国海軍の合同化、軍需支援、訓練などの弱点、特に訓練状況を追跡することだ。具体的には米海軍との情報交流、航跡追跡魚雷防御、中国との「海軍会議」推進、周辺国との海洋(海軍)協力拡大などが必要だ。
もう一つは中国軍が推進する「情報化した局地戦」での海軍の役割だ。基本的に北海艦隊は北部戦区海軍であり、海軍でなく北部戦区司令部の指揮・統制(C2)を受ける。これまでの硬直で制限されたC2が海軍の役割拡大とどんな関連性を持つのかも追跡しなければいけない。
中国海軍も他軍種と同じように旅団化(旅化)と標準化を推進する。北部戦区所属の艦隊・支隊の変化はこれを反映する。最近、北海艦隊所属戦力の配備地域の変化は公開資料でも追跡できる。
例えば第5・第6海軍陸戦隊旅団はすべて山東省に配置されている。C2以外にも北海艦隊の各種合同化努力、電子戦能力および衛星基盤C4ISR体系推進に対する持続的な追跡は、周辺国の海軍の動向把握だけでなく、韓国の海洋安全保障をさらに強めることになるだろう。
キム・テホ/翰林大学院大学教教授
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