非核化には「後戻りできない段階」 日本に対しては「try me」…過去の発言から見た韓国外交部長官候補の外交観(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2021.01.26 08:25
韓国与野が、外交部長官候補の鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏の国会人事聴聞会の日程を2月初めに協議しているなか、鄭氏の政策関連の過去の発言が再び注目を集めている。文在寅(ムン・ジェイン)政府の初代国家安保室長としての発言を通じて、主な外交事案に対する認識を垣間見ることができるからだ。同時に、これは聴聞会で鄭氏の政策力量を検証する尺度になる展望だ。
(1)信じていた「トップダウン」成果はなかった
鄭氏は2018年3月平壌(ピョンヤン)とワシントンを行き来して1回目の米朝首脳会談成功のためのメッセンジャー役を果たした。契機があるたびにトランプ政府が好む「トップダウン」式アプローチ法の長所を強調した。同年12月の記者懇談会で、年間成果を評価しながら「韓半島(朝鮮半島)非核化交渉が本格的に再開されたが、これはトップダウン形式だったから可能だった」と説明した。
だが、新たに発足したバイデン政府は、トランプ政府とは異なる「ボトムアップ」式アプローチ法を好むだけでなく、従来の北朝鮮政策とは差別化された「新たな戦略」を採択する点を公式化した状態だ。鄭氏が青瓦台(チョンワデ、大統領府)国家安保室長として経験したものとは全く違う様相の米朝関係が予告されていて、非核化交渉がさらに難しくなるだろうという分析も出ている。
韓国外大国際大学院のカン・ジュニョン教授は「鄭氏はこれまで数回にわたってトランプ政府のトップダウン式を肯定評価して成果を強調したが、具体的に確認すればハノイノーディールなど顕著な成果はなかった」とし「今までの韓国は米朝関係の仲裁者というよりは単なる『伝達者』に近かった。今からでも具体的な仲裁案を出して米朝両側を説得できる戦略的思考を形成しなければならない」と話した。
鄭氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の非核化意志も数回にわたって公開的に強調していた。2018年12月「非核化プロセスはもう後戻りのできない段階に進入し始め、北朝鮮もこの過程に戻ることはできない」と話した。だが、金委員長は8次党大会で「党中央は歴史的な2017年11月大事変(長距離ミサイル発射)以降も核武力高度化のための闘争を止めることなく粘り強く領導し、巨大で新しい勝利を勝ち取った」とし、南北米首脳会談以降も核開発を継続していたことを堂々と明らかにした。
(2)存在感なく消滅した「グッド・イナフ・ディール」構想
2019年2月ハノイで金委員長は寧辺(ヨンビョン)核施設だけを出して制裁解除を勝ち取ることができると判断したが、トランプ大統領は非核化の最終目標と全体的なロードマップへの合意が優先だとして「ノーディール」を宣言した。当時、韓国が仲裁者を自任して両側の意思を伝達する過程で「配達事故」を起こしたという批判を受けたことがある。
すると韓国政府は「グッド・イナフ・ディール(十分な合意)」という概念を考案した。青瓦台高位級関係者は2019年3月17日「『All or Nothing(オール・オア・ナッシング)』戦略を再考する必要がある」と話した。「まず北朝鮮が包括的目標達成に向けたロードマップに合意するように牽引(けんいん)し、これを土台として『スモールディール』を『グッド・イナフ・ディール』にしていくべきではないか」としながらだ。
当時青瓦台の傍点は、「トランプ政府が堅持してきた『ビッグディール』だけにこだわっていては非核化協議を進展させることはできない」というところにつけられていた。「スモールディール」は、北朝鮮が非核化措置を細かく分けて見返りを最大限に取っていこうとする「サラミ戦術」の一環と見る認識が強い点を考慮して提案したのが「グッド・イナフ・ディール」ともいえたが、これは鄭氏が室長を務めていた国家安保室のアイデアだった。
だが、これはかえって韓米間の異見表出につながった。2019年4月ハリー・ハリス当時駐韓米国大使は「北核交渉は『ビッグディール』と『グッド・イナフ・ディール』の間の選択ではない『ノーディル』(決裂)と『バッドディール』(悪い合意)の間の問題」と話した。
特に「グッド・イナフ・ディール」に及んでは「それが何なのか分からない」という言葉まで残した。「グッド・イナフ・ディール」は、バイデン政府で国務長官に内定しているトニー・ブリンケン氏が北朝鮮非核化モデルとして強調したイラン核合意とも距離があるとみられる。核申告および査察などの検証を対価にした制裁緩和がイラン核合意の核心だからだ。
これに関連し、野党「国民の力」所属の国会外交統一委員会関係者は「文在寅政府の非核化交渉は悪く言えば『成果なく言うことだけ騒がしい空の台車のようなもの』だった」とし「鄭氏が青瓦台安保室長として主な時期ごとに広報してきた外交成果は水増しされたものではなかったかに対する点を聴聞会で重点的に扱う予定」と話した。
非核化には「後戻りできない段階」 日本に対しては「try me」…過去の発言から見た韓国外交部長官候補の外交観(2)
(1)信じていた「トップダウン」成果はなかった
鄭氏は2018年3月平壌(ピョンヤン)とワシントンを行き来して1回目の米朝首脳会談成功のためのメッセンジャー役を果たした。契機があるたびにトランプ政府が好む「トップダウン」式アプローチ法の長所を強調した。同年12月の記者懇談会で、年間成果を評価しながら「韓半島(朝鮮半島)非核化交渉が本格的に再開されたが、これはトップダウン形式だったから可能だった」と説明した。
だが、新たに発足したバイデン政府は、トランプ政府とは異なる「ボトムアップ」式アプローチ法を好むだけでなく、従来の北朝鮮政策とは差別化された「新たな戦略」を採択する点を公式化した状態だ。鄭氏が青瓦台(チョンワデ、大統領府)国家安保室長として経験したものとは全く違う様相の米朝関係が予告されていて、非核化交渉がさらに難しくなるだろうという分析も出ている。
韓国外大国際大学院のカン・ジュニョン教授は「鄭氏はこれまで数回にわたってトランプ政府のトップダウン式を肯定評価して成果を強調したが、具体的に確認すればハノイノーディールなど顕著な成果はなかった」とし「今までの韓国は米朝関係の仲裁者というよりは単なる『伝達者』に近かった。今からでも具体的な仲裁案を出して米朝両側を説得できる戦略的思考を形成しなければならない」と話した。
鄭氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の非核化意志も数回にわたって公開的に強調していた。2018年12月「非核化プロセスはもう後戻りのできない段階に進入し始め、北朝鮮もこの過程に戻ることはできない」と話した。だが、金委員長は8次党大会で「党中央は歴史的な2017年11月大事変(長距離ミサイル発射)以降も核武力高度化のための闘争を止めることなく粘り強く領導し、巨大で新しい勝利を勝ち取った」とし、南北米首脳会談以降も核開発を継続していたことを堂々と明らかにした。
(2)存在感なく消滅した「グッド・イナフ・ディール」構想
2019年2月ハノイで金委員長は寧辺(ヨンビョン)核施設だけを出して制裁解除を勝ち取ることができると判断したが、トランプ大統領は非核化の最終目標と全体的なロードマップへの合意が優先だとして「ノーディール」を宣言した。当時、韓国が仲裁者を自任して両側の意思を伝達する過程で「配達事故」を起こしたという批判を受けたことがある。
すると韓国政府は「グッド・イナフ・ディール(十分な合意)」という概念を考案した。青瓦台高位級関係者は2019年3月17日「『All or Nothing(オール・オア・ナッシング)』戦略を再考する必要がある」と話した。「まず北朝鮮が包括的目標達成に向けたロードマップに合意するように牽引(けんいん)し、これを土台として『スモールディール』を『グッド・イナフ・ディール』にしていくべきではないか」としながらだ。
当時青瓦台の傍点は、「トランプ政府が堅持してきた『ビッグディール』だけにこだわっていては非核化協議を進展させることはできない」というところにつけられていた。「スモールディール」は、北朝鮮が非核化措置を細かく分けて見返りを最大限に取っていこうとする「サラミ戦術」の一環と見る認識が強い点を考慮して提案したのが「グッド・イナフ・ディール」ともいえたが、これは鄭氏が室長を務めていた国家安保室のアイデアだった。
だが、これはかえって韓米間の異見表出につながった。2019年4月ハリー・ハリス当時駐韓米国大使は「北核交渉は『ビッグディール』と『グッド・イナフ・ディール』の間の選択ではない『ノーディル』(決裂)と『バッドディール』(悪い合意)の間の問題」と話した。
特に「グッド・イナフ・ディール」に及んでは「それが何なのか分からない」という言葉まで残した。「グッド・イナフ・ディール」は、バイデン政府で国務長官に内定しているトニー・ブリンケン氏が北朝鮮非核化モデルとして強調したイラン核合意とも距離があるとみられる。核申告および査察などの検証を対価にした制裁緩和がイラン核合意の核心だからだ。
これに関連し、野党「国民の力」所属の国会外交統一委員会関係者は「文在寅政府の非核化交渉は悪く言えば『成果なく言うことだけ騒がしい空の台車のようなもの』だった」とし「鄭氏が青瓦台安保室長として主な時期ごとに広報してきた外交成果は水増しされたものではなかったかに対する点を聴聞会で重点的に扱う予定」と話した。
非核化には「後戻りできない段階」 日本に対しては「try me」…過去の発言から見た韓国外交部長官候補の外交観(2)
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