米国のバイデン政権の発足を受け、各国がホワイトハウスの動きに注目している。前任のトランプ大統領に密着していた日本も同じだ。特に安倍晋三前首相はトランプ前大統領と「ブロマンス」という言葉が出るほどの相性を誇示した。日米両国の指導者がともに交代した状況で、日米関係、さらに韓日米の構図にはどのような変化が生じるのだろうか。
日米関係専門家の中山俊宏慶応大教授(54)は19日、中央日報のインタビューで、「『安倍-トランプ』の組み合わせは特別なケースであり、『菅-バイデン』の組み合わせの下では通常の日米関係に回帰するだろう」と述べた。ただ、日米同盟は国際秩序に基づいてその必要性が維持されるため、指導者が交代しても大きな変化はないと話した。中国牽制などのための日米同盟の役割はバイデン時代にむしろ大きくなるということだ。
中山教授は「同盟国に金銭的な寄与を要求したトランプ氏とは違い、バイデン政権は『責任の分担』を要求する可能性が高い」と予想した。バイデン氏の米国も主要同盟国の韓国・日本の協力を望むのは確かだが、韓日関係には容易に介入しないだろうという見方を示した。以下は一問一答。
--トランプ時代の日米関係はいつよりも良かったという評価だが。
「首脳間の個人的な関係と国家間の関係が重なってそのように見えたところがある。実際、安倍首相とトランプ大統領の『ケミストリー』が良かったのは事実であり、問題が発生すれば首脳間の対話で解決できるというのは強みだったといえる。トランプ大統領は就任前には日本に向けて強硬な発言もしていたが、就任後はすぐに中国を最も大きな脅威と規定し、日本の重要性を認識したとみられる」
--米国の政権交代期に菅義偉首相の外交能力が問われている。
「バイデン大統領も外交的には『アジア派』より『大西洋派』に分類される。しかし中国の覇権的な野望に米国が対応しようとする時、そのプラットホームを提供するのが日米同盟であり、首脳の個人的な特性がここに大きな影響を与えることはできない。バイデン大統領が東アジア状況をよく知るカート・キャンベル元国務次官補(東アジア・太平洋担当)をホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官に内定し、菅首相も民主党政権と関係が深い富田浩司前駐韓日本大使を駐米大使として送った。新しいモードで日米関係を始めるという意志が反映されたとみている」
--バイデン政権はトランプ政権に比べて中国に相対的に融和的だという予測もある。
「オバマ政権1期目に中国と比較的よい関係だったため、そのような予想もあるようだ。しかしその間に国際情勢は変わり、民主党も共和党に劣らず中国を脅威の対象とみている。トランプ政権のように『中国人留学生入国制限』など目立った反中政策はないかもしれないが、中国に対する基本姿勢はそれほど変わらないだろう」
--東アジアの同盟国に対する米国の態度はどう変わるだろうか。
「トランプ氏が防衛費分担金を4倍、5倍に引き上げる形で金銭的な寄与に圧力を加えたとすれば、バイデン政権は『責任と行動の分担』を要求する可能性が高い。日本が地域の安全保障でより一層積極的な役割をすることを望むはずだ。日本はこうした要求を受け入れるうえで憲法など国内的な制約があるため議論が必要だとみている。しかし長期的には同盟内での日本の役割は増えるだろう」
--米国は環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰するだろうか。
「難しいとみられる。実際にはTPP復帰が米国に利益になるとしても、トランプ大統領が脱退の理由とした『米国の製造業が滅びる』『雇用が流出する』などの主張が米国人の記憶にはっきりと残っている。したがって一部の業界の反対を押し切ってバイデン氏がTPPに復帰することに政治的なメリットはない」
--バイデン政権の発足で韓日関係も変化すると思うか。
「バイデン政権はもちろん日韓の間の関係改善を望むだろう。しかし現在の両国間のイシューや国内状況を見ると、米国が主導権を握って圧力を加えても変化の余地は大きくない。米国も役割が限られていることを把握し、慎重な接近をすると予想する」
--多国間主義を前に出すバイデン政権では、韓日米の連携の重要性がさらに高まるのでは。
「1990年代半ばまでは共産圏に対応するという意味での『日米韓三角同盟』などの表現が説得力を持ったが、現在は違う。米国の立場でも日米同盟は中国向け、韓米同盟は北朝鮮向けの性格が強い。実際、北朝鮮と中国を眺める日韓の視点の違いもある。韓国は中国と米国の間でバランスを取ることが重要である半面、日本は米国にはるかに近く立っている。もちろん3カ国が歩調を合わせるケースも存在するだろうが、このように戦略的な利益が異なる状況で日米韓の連携というのは虚しく聞こえるところがある」
◆中山俊宏=慶応大総合政策学部教授。青山学院大で国際政治学博士学位を取得。防衛省諮問委員、NHKなど日本メディアで日米関係関連の評論家として活動。著書に『介入するアメリカ--理念国家の世界観』(勁草書房、2013年)などがある。
日米関係専門家の中山俊宏慶応大教授(54)は19日、中央日報のインタビューで、「『安倍-トランプ』の組み合わせは特別なケースであり、『菅-バイデン』の組み合わせの下では通常の日米関係に回帰するだろう」と述べた。ただ、日米同盟は国際秩序に基づいてその必要性が維持されるため、指導者が交代しても大きな変化はないと話した。中国牽制などのための日米同盟の役割はバイデン時代にむしろ大きくなるということだ。
中山教授は「同盟国に金銭的な寄与を要求したトランプ氏とは違い、バイデン政権は『責任の分担』を要求する可能性が高い」と予想した。バイデン氏の米国も主要同盟国の韓国・日本の協力を望むのは確かだが、韓日関係には容易に介入しないだろうという見方を示した。以下は一問一答。
--トランプ時代の日米関係はいつよりも良かったという評価だが。
「首脳間の個人的な関係と国家間の関係が重なってそのように見えたところがある。実際、安倍首相とトランプ大統領の『ケミストリー』が良かったのは事実であり、問題が発生すれば首脳間の対話で解決できるというのは強みだったといえる。トランプ大統領は就任前には日本に向けて強硬な発言もしていたが、就任後はすぐに中国を最も大きな脅威と規定し、日本の重要性を認識したとみられる」
--米国の政権交代期に菅義偉首相の外交能力が問われている。
「バイデン大統領も外交的には『アジア派』より『大西洋派』に分類される。しかし中国の覇権的な野望に米国が対応しようとする時、そのプラットホームを提供するのが日米同盟であり、首脳の個人的な特性がここに大きな影響を与えることはできない。バイデン大統領が東アジア状況をよく知るカート・キャンベル元国務次官補(東アジア・太平洋担当)をホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官に内定し、菅首相も民主党政権と関係が深い富田浩司前駐韓日本大使を駐米大使として送った。新しいモードで日米関係を始めるという意志が反映されたとみている」
--バイデン政権はトランプ政権に比べて中国に相対的に融和的だという予測もある。
「オバマ政権1期目に中国と比較的よい関係だったため、そのような予想もあるようだ。しかしその間に国際情勢は変わり、民主党も共和党に劣らず中国を脅威の対象とみている。トランプ政権のように『中国人留学生入国制限』など目立った反中政策はないかもしれないが、中国に対する基本姿勢はそれほど変わらないだろう」
--東アジアの同盟国に対する米国の態度はどう変わるだろうか。
「トランプ氏が防衛費分担金を4倍、5倍に引き上げる形で金銭的な寄与に圧力を加えたとすれば、バイデン政権は『責任と行動の分担』を要求する可能性が高い。日本が地域の安全保障でより一層積極的な役割をすることを望むはずだ。日本はこうした要求を受け入れるうえで憲法など国内的な制約があるため議論が必要だとみている。しかし長期的には同盟内での日本の役割は増えるだろう」
--米国は環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰するだろうか。
「難しいとみられる。実際にはTPP復帰が米国に利益になるとしても、トランプ大統領が脱退の理由とした『米国の製造業が滅びる』『雇用が流出する』などの主張が米国人の記憶にはっきりと残っている。したがって一部の業界の反対を押し切ってバイデン氏がTPPに復帰することに政治的なメリットはない」
--バイデン政権の発足で韓日関係も変化すると思うか。
「バイデン政権はもちろん日韓の間の関係改善を望むだろう。しかし現在の両国間のイシューや国内状況を見ると、米国が主導権を握って圧力を加えても変化の余地は大きくない。米国も役割が限られていることを把握し、慎重な接近をすると予想する」
--多国間主義を前に出すバイデン政権では、韓日米の連携の重要性がさらに高まるのでは。
「1990年代半ばまでは共産圏に対応するという意味での『日米韓三角同盟』などの表現が説得力を持ったが、現在は違う。米国の立場でも日米同盟は中国向け、韓米同盟は北朝鮮向けの性格が強い。実際、北朝鮮と中国を眺める日韓の視点の違いもある。韓国は中国と米国の間でバランスを取ることが重要である半面、日本は米国にはるかに近く立っている。もちろん3カ国が歩調を合わせるケースも存在するだろうが、このように戦略的な利益が異なる状況で日米韓の連携というのは虚しく聞こえるところがある」
◆中山俊宏=慶応大総合政策学部教授。青山学院大で国際政治学博士学位を取得。防衛省諮問委員、NHKなど日本メディアで日米関係関連の評論家として活動。著書に『介入するアメリカ--理念国家の世界観』(勁草書房、2013年)などがある。
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