「私には残された時間がそれほどありません。90歳を超えてもこのように判事さまの前で訴えなければならないのですか」
旧日本軍慰安婦被害者である李容洙(イ・ヨンス)さん(93)が昨年11月11日、ソウル中央地裁558号で開かれた6回目の弁論の時に裁判所に対して叫んだ言葉だ。この裁判は李さんの弁論を最後に、今月13日の最終宣告だけを残した状況だった。宣告を2日後に控えた11日、裁判所が突然宣告公判を2カ月後に延期した。追加審理の必要があるという理由でだ。
◆追加訴訟宣告…2日後に控えて突然延期
ソウル中央地裁民事合議15部(ミン・ソンチョル部長判事)はこの日、故クァク・イェナムさん・金福童(キム・ボクドン)さんと李容洙さん・吉元玉(キル・ウォノク)さんら慰安婦被害者と遺族20人が日本政府を相手取り起こしていた損害賠償訴訟に対して弁論再開を決めた。あわせて3月24日を弁論期日として指定した後、宣告期日を別途決めなかった。裁判所関係者は「追加審理が必要な事項に関し、今後裁判所の釈明権行使を通じて当事者に知らせ、弁論を準備していくようにする予定」と明らかにした。
これについて弁護人側は「(原告の一人である)李容洙さんは13日の宣告期日のために大邱(テグ)からソウルに向かう交通も調べていた」とし「6回にわたって十分に審理をしたが、特別な説明もなく2日前に弁論再開をするという裁判所の決定が残念なのは事実」と明らかにした。続いて「先週の裁判で出た判決の意味を十分生かせるように準備する」としながら「裁判所でも憲法と国際人権法に基盤を置いた判決を、できるなら速かに出してほしい」と付け加えた。
◆8日に主権免除論を破った初の判決が出たせいか
宣告が延期されたのは、これに先立ち裁判所が今月8日に故ペ・チュンヒさんら被害者12人が起こしていた別の損害賠償訴訟で、日本政府に対して1人あたり1億ウォン(約950万円)ずつ支払うよう命じる原告勝訴の判決が出たためという分析もある。ソウル中央地裁民事34部(裁判長キム・ジョンゴン)は当時、反人道的犯罪に関しては主権(または国家)免除論を適用することはできないとの判決を出した。
裁判所は、憲法第27条(裁判請求権)と国連「世界人権宣言」を根拠に「裁判を受ける権利は他の実体的基本権と共に十分に保護され、保障されるべき基本権」としながら「基本権の保障のための実効的権利である裁判を受ける権利を制限するということにおいては、極めて慎重でなければならない」とした。
この判決は韓国内では「他の国家を訴訟当事者として裁くことはできない」という主権免除の原則を破った初めての判決として、裁判所内外での波紋は大きいものにならざるをえなかった。これまで大法院(最高裁に該当)と憲法裁判所は国際慣習法である主権免除論を根拠に米国や日本など他の国政府を相手取った訴訟を認めたことがなかったためだ。
韓国裁判所の初めての判断以降、韓日関係に及ぼす悪影響に対する懸念も提起された。実際、日本外務省は南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使を呼んで今回の判決は断じて受け入れることができないという趣旨で強く抗議した。これについてソウル市立大学法学専門大学院のイ・チャンウィ教授は「8日の判決以降、CNNなど外信で該当裁判を扱うほど世論の波紋が大きく広がった」とし「(このような点を踏まえた)司法府が今回の判決を控えて苦心し、裁判を延期したものとみられる」と説明した。
◆日本政府を相手取った2つ目の訴訟、8日の裁判と類似
ソウル中央地裁民事合議15部の慰安婦被害者の損害賠償訴訟も、基本的な構造は「8日裁判」と類似している。最大の争点は韓国裁判所が「主権免除(国家免除)」論の例外を認めるかどうかだ。日本政府はこの訴訟でも主権国家は他国の法廷に立たないという国際法上主権免除論を掲げて訴訟に応じてこなかった。日本外務省が訴状送達を拒否すると、韓国裁判所は公示送達方式で裁判を開き、6回の弁論を進めた。日本は無対応の原則を守っている。
「8日裁判」との違いを挙げるなら、訴訟参加者が異なる点だ。この裁判は慰安婦生存被害者11人と亡くなった被害者5人遺族ら21人が朴槿恵(パク・クネ)政府が日本と結んだ「韓日慰安婦合意」から1周年を迎えた2016年12月28日に訴訟を出して始まった。慰安婦被害者が韓国で日本政府を相手取って起こした2つ目の訴訟だ。訴訟には李容洙さんや吉元玉(キル・ウォノク)さんらが参加している。このうちウ・ヨンジェさんが2017年1月25日に訴訟を取り下げ、訴訟人団は現在20人となっている。
旧日本軍慰安婦被害者である李容洙(イ・ヨンス)さん(93)が昨年11月11日、ソウル中央地裁558号で開かれた6回目の弁論の時に裁判所に対して叫んだ言葉だ。この裁判は李さんの弁論を最後に、今月13日の最終宣告だけを残した状況だった。宣告を2日後に控えた11日、裁判所が突然宣告公判を2カ月後に延期した。追加審理の必要があるという理由でだ。
◆追加訴訟宣告…2日後に控えて突然延期
ソウル中央地裁民事合議15部(ミン・ソンチョル部長判事)はこの日、故クァク・イェナムさん・金福童(キム・ボクドン)さんと李容洙さん・吉元玉(キル・ウォノク)さんら慰安婦被害者と遺族20人が日本政府を相手取り起こしていた損害賠償訴訟に対して弁論再開を決めた。あわせて3月24日を弁論期日として指定した後、宣告期日を別途決めなかった。裁判所関係者は「追加審理が必要な事項に関し、今後裁判所の釈明権行使を通じて当事者に知らせ、弁論を準備していくようにする予定」と明らかにした。
これについて弁護人側は「(原告の一人である)李容洙さんは13日の宣告期日のために大邱(テグ)からソウルに向かう交通も調べていた」とし「6回にわたって十分に審理をしたが、特別な説明もなく2日前に弁論再開をするという裁判所の決定が残念なのは事実」と明らかにした。続いて「先週の裁判で出た判決の意味を十分生かせるように準備する」としながら「裁判所でも憲法と国際人権法に基盤を置いた判決を、できるなら速かに出してほしい」と付け加えた。
◆8日に主権免除論を破った初の判決が出たせいか
宣告が延期されたのは、これに先立ち裁判所が今月8日に故ペ・チュンヒさんら被害者12人が起こしていた別の損害賠償訴訟で、日本政府に対して1人あたり1億ウォン(約950万円)ずつ支払うよう命じる原告勝訴の判決が出たためという分析もある。ソウル中央地裁民事34部(裁判長キム・ジョンゴン)は当時、反人道的犯罪に関しては主権(または国家)免除論を適用することはできないとの判決を出した。
裁判所は、憲法第27条(裁判請求権)と国連「世界人権宣言」を根拠に「裁判を受ける権利は他の実体的基本権と共に十分に保護され、保障されるべき基本権」としながら「基本権の保障のための実効的権利である裁判を受ける権利を制限するということにおいては、極めて慎重でなければならない」とした。
この判決は韓国内では「他の国家を訴訟当事者として裁くことはできない」という主権免除の原則を破った初めての判決として、裁判所内外での波紋は大きいものにならざるをえなかった。これまで大法院(最高裁に該当)と憲法裁判所は国際慣習法である主権免除論を根拠に米国や日本など他の国政府を相手取った訴訟を認めたことがなかったためだ。
韓国裁判所の初めての判断以降、韓日関係に及ぼす悪影響に対する懸念も提起された。実際、日本外務省は南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使を呼んで今回の判決は断じて受け入れることができないという趣旨で強く抗議した。これについてソウル市立大学法学専門大学院のイ・チャンウィ教授は「8日の判決以降、CNNなど外信で該当裁判を扱うほど世論の波紋が大きく広がった」とし「(このような点を踏まえた)司法府が今回の判決を控えて苦心し、裁判を延期したものとみられる」と説明した。
◆日本政府を相手取った2つ目の訴訟、8日の裁判と類似
ソウル中央地裁民事合議15部の慰安婦被害者の損害賠償訴訟も、基本的な構造は「8日裁判」と類似している。最大の争点は韓国裁判所が「主権免除(国家免除)」論の例外を認めるかどうかだ。日本政府はこの訴訟でも主権国家は他国の法廷に立たないという国際法上主権免除論を掲げて訴訟に応じてこなかった。日本外務省が訴状送達を拒否すると、韓国裁判所は公示送達方式で裁判を開き、6回の弁論を進めた。日本は無対応の原則を守っている。
「8日裁判」との違いを挙げるなら、訴訟参加者が異なる点だ。この裁判は慰安婦生存被害者11人と亡くなった被害者5人遺族ら21人が朴槿恵(パク・クネ)政府が日本と結んだ「韓日慰安婦合意」から1周年を迎えた2016年12月28日に訴訟を出して始まった。慰安婦被害者が韓国で日本政府を相手取って起こした2つ目の訴訟だ。訴訟には李容洙さんや吉元玉(キル・ウォノク)さんらが参加している。このうちウ・ヨンジェさんが2017年1月25日に訴訟を取り下げ、訴訟人団は現在20人となっている。
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