◆イラン外務省より革命防衛隊に実権
問題はイランがこのように開き直り式で反発しても、韓国政府には「実弾」がそれほど多くないということだ。韓国が米国とイラン間の衝突のスケープゴートのように映って世界の注目を引いたことが、かえって韓国政府には大きな負担となっている。通常、このような形の自国民救出交渉は水面下で静かに行うのが効果的だからだ。このような状況を利用してかえって宣伝扇動に熱を上げているのはイランのほうだ。
イランが公式的には「技術的問題」と言いながら凍結した70億ドルに繰り返し言及しているのも、結局は「韓国が米国を説得して金だけ出せば解決できるのではないか」というフレームに引っ張っていこうとする狙いが透けて見える。
また別の問題は政府の公式交渉相手であるイラン外務省の影響力だ。7日、韓国外交部から緊急状況報告を受けた国会外交統一委員会関係者は、今回の事件はイラン革命防衛隊(IRGC)による独自行動の可能性が高いと話した。この関係者は中央日報の電話取材に対して「革命防衛隊はイラン政府の位階秩序に従わない場合が多い。今回も言葉通り独自の突出的な行動だったものと考えられる」と話した。船舶を拿捕したのはIRGCだが、崔次官がイラン外務省の関係者と会って交渉することにどれほど実効性があるかという懸念の声が聞こえるのもこのためだ。
事実、当初崔次官のイラン訪問は米国バイデン政府発足以降、米国とイラン間の関係が回復する可能性などを念頭に置いて推進されたという。そうなればイラン市場は再び開かれ、韓国にも経済的な機会が巡ってくることもあり「先行獲得」効果を狙う必要があるためだ。事実、昨年8月に着任した崔次官の初めての海外出張は米国だった(同年9月)ほか、イランが2番目の訪問国となる。韓国外交次官が米国の次に中国でも日本でもないイランを訪れること自体が破格だ。
◆試験台に載せられた文政府の外交力
だが、現在としては、このような「大きな絵」よりも船舶拿捕事件の解決が優先となった。イラン訪問の重量感そのものが変わった。特に拿捕事件にもかかわらず、予定通り崔次官がイランに訪問することにした背景は、「取りうるすべての努力を尽くす」という青瓦台(チョンワデ、大統領府)の立場が反映された結果だとみることができる。権限と責任を与えられた崔次官としては、真剣勝負を避けることができず、政府の外交力も試験台に上がることになった。
元高位外交官は「行くか行かないかを悩む段階なら分からないが、訪問を決めた以上は拿捕問題を必ず解決してこなければならない。次官が動いたが、釈放問題に何の進展もないなら非常に困った立場に陥り、批判を避けることは難しくなるだろう」と話した。
現在、外交部の攻撃論理はイラン当局の国際法違反の有無に焦点が合わせられている。国連海洋法条約は外国船舶が「故意的で重大な汚染行為」をしない限り、領海も自由に行き来することができる「無害通航権」を保障している。イランは条約当事国ではないが、無害通航権はすでに国際規範として定着している概念なので簡単に無視することができない問題だ。峨山(アサン)政策研究院国際法センターのイ・ギボム・センター長は「イランが海洋環境汚染を拿捕の根拠として、無差別的・無制限に使用することは国際海洋法の趣旨に反する可能性が高い」とし「国際法違反の素地が大きい」と話した。
これに対して韓国政府は、イランが主張する環境汚染容疑に対する根拠を要求し、イラン軍の乗船過程で国際法違反行為はなかったか確認していく計画だ。イランは拿捕映像や写真などを多数公開しながらも、船舶の環境汚染行為を証明できる資料はまだ提示しないでいる。
イラン「来なくてもいい」反抗に…それでも行くという韓国外交次官「勝負の一手」(1)
問題はイランがこのように開き直り式で反発しても、韓国政府には「実弾」がそれほど多くないということだ。韓国が米国とイラン間の衝突のスケープゴートのように映って世界の注目を引いたことが、かえって韓国政府には大きな負担となっている。通常、このような形の自国民救出交渉は水面下で静かに行うのが効果的だからだ。このような状況を利用してかえって宣伝扇動に熱を上げているのはイランのほうだ。
イランが公式的には「技術的問題」と言いながら凍結した70億ドルに繰り返し言及しているのも、結局は「韓国が米国を説得して金だけ出せば解決できるのではないか」というフレームに引っ張っていこうとする狙いが透けて見える。
また別の問題は政府の公式交渉相手であるイラン外務省の影響力だ。7日、韓国外交部から緊急状況報告を受けた国会外交統一委員会関係者は、今回の事件はイラン革命防衛隊(IRGC)による独自行動の可能性が高いと話した。この関係者は中央日報の電話取材に対して「革命防衛隊はイラン政府の位階秩序に従わない場合が多い。今回も言葉通り独自の突出的な行動だったものと考えられる」と話した。船舶を拿捕したのはIRGCだが、崔次官がイラン外務省の関係者と会って交渉することにどれほど実効性があるかという懸念の声が聞こえるのもこのためだ。
事実、当初崔次官のイラン訪問は米国バイデン政府発足以降、米国とイラン間の関係が回復する可能性などを念頭に置いて推進されたという。そうなればイラン市場は再び開かれ、韓国にも経済的な機会が巡ってくることもあり「先行獲得」効果を狙う必要があるためだ。事実、昨年8月に着任した崔次官の初めての海外出張は米国だった(同年9月)ほか、イランが2番目の訪問国となる。韓国外交次官が米国の次に中国でも日本でもないイランを訪れること自体が破格だ。
◆試験台に載せられた文政府の外交力
だが、現在としては、このような「大きな絵」よりも船舶拿捕事件の解決が優先となった。イラン訪問の重量感そのものが変わった。特に拿捕事件にもかかわらず、予定通り崔次官がイランに訪問することにした背景は、「取りうるすべての努力を尽くす」という青瓦台(チョンワデ、大統領府)の立場が反映された結果だとみることができる。権限と責任を与えられた崔次官としては、真剣勝負を避けることができず、政府の外交力も試験台に上がることになった。
元高位外交官は「行くか行かないかを悩む段階なら分からないが、訪問を決めた以上は拿捕問題を必ず解決してこなければならない。次官が動いたが、釈放問題に何の進展もないなら非常に困った立場に陥り、批判を避けることは難しくなるだろう」と話した。
現在、外交部の攻撃論理はイラン当局の国際法違反の有無に焦点が合わせられている。国連海洋法条約は外国船舶が「故意的で重大な汚染行為」をしない限り、領海も自由に行き来することができる「無害通航権」を保障している。イランは条約当事国ではないが、無害通航権はすでに国際規範として定着している概念なので簡単に無視することができない問題だ。峨山(アサン)政策研究院国際法センターのイ・ギボム・センター長は「イランが海洋環境汚染を拿捕の根拠として、無差別的・無制限に使用することは国際海洋法の趣旨に反する可能性が高い」とし「国際法違反の素地が大きい」と話した。
これに対して韓国政府は、イランが主張する環境汚染容疑に対する根拠を要求し、イラン軍の乗船過程で国際法違反行為はなかったか確認していく計画だ。イランは拿捕映像や写真などを多数公開しながらも、船舶の環境汚染行為を証明できる資料はまだ提示しないでいる。
イラン「来なくてもいい」反抗に…それでも行くという韓国外交次官「勝負の一手」(1)
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