青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)が大きな衝撃を受けている。青瓦台の鄭萬昊(チョン・マンホ)国民疎通首席秘書官の携帯電話は25日午前、電源がずっと切れていた。参謀も沈黙した。前日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長に対する「停職2カ月」懲戒を裁判所が停止した状況に、対応策を見いだせなかったという傍証だ。青瓦台の公式反応は午後2時20分に出てきた。
文大統領は姜ミン碩(カン・ミンソク)報道官を通じて「裁判所の決定を尊重する」とし「結果的に国民に混乱を招くことになったことについて人事権者として謝罪する」と伝えた。16日に尹総長懲戒案を裁可する際「国民に申し訳ない」と述べたが、これよりも一段階高めた。
特に「人事権者」という表現が注目される。文大統領が自ら裁判所がブレーキをかけるほど誤った人事権を行使したことを認めたという意味を込めているからだ。青瓦台関係者も「人事権者という表現には『任』と『免』の意味が共に含まれている」とし「大統領がこの辺りで自ら葛藤を終えて状況を収拾するという意向を明らかにしたものと受け止めてほしい」と話した。
このため与党では、すでに辞意を表明した秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の後任人選が加速するという見方が出ている。来年1-2月と予想される大幅な内閣改造に先立ち、秋長官だけを対象にしたワンポイントの可能性もあるという。この場合、1年間続いた「秋美愛-尹錫悦衝突」は尹総長の事実上の完勝で幕を閉じる見込みだ。
問題は「尹錫悦事態」が終わりでないという点だ。現在、新型コロナ第3波が統制範囲を超える危機に直面している。感染者が急増し、病床と医療スタッフ不足事態が現実化している。さらに世界各国が次々とワクチン接種を開始している中、韓国は早くて来年3月ごろ接種が始まると発表され、「K-防疫の成果に安住して医療スタッフ・病床・ワクチンの『3無危機』を迎えることになった」という批判も強まっている。
文大統領の執権5年目の政策構想が難関にぶつかる可能性も高まった。批判が強まった不動産問題を収拾するために卞彰欽(ビョン・チャンフム)国土交通部長官カードを取り出したが、国会人事聴聞会以降、国民の力のほか正義党までが任命に反対しているからだ。「文大統領が尹錫悦・コロナ・卞彰欽の3つの悪材料に包囲された」という分析が出てくる理由だ。国会側でも「結局、文大統領が自ら出てきて事態を収拾するしかない状況」とし「どう対処するかによってレームダック(執権末期の権力低下)を加速させるか遅らせるかが決まるだろう」という見方が出ている。
世論調査専門家のペ・ジョンチャン・インサイトケイ研究所長は「最近、尹錫悦・ワクチンなど爆発力が強いイシューが同時多発的にあふれた状況で、文大統領の支持率が35%を守れない場合、レームダックの確実な前兆となる余地が十分になる」と述べた。続いて「特に首都圏の民心が背を向ける場合、来年のソウル市長補欠選はもちろん、再来年の大統領選挙構図にも直接的な影響を及ぼすだろう」という見方を示した。
◆「尹錫悦排除」失敗、文大統領「レームダック遮断壁」崩れるのか
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は25日、謝罪と共に検察に対する要請のメッセージも出した。「裁判所の判断に留意し、検察も公正で節制された検察権の行使について省察するきっかけになることを期待する」と述べながらだ。「法務部と検察は安定的な協力関係を通じて検察改革と捜査権改革など後続措置を支障なく推進していくべき」とも話した。しかし政界では検察改革の動力はすでに喪失したという評価が多い。当初、青瓦台側は2カ月間の停職は「神の一手」と主張した。解任・免職でなく軽い懲戒なら裁判所が尹総長に軍配を上げないと予想したからだ。
しかし裁判所の判断はこうした期待とは違った。チョ・グク前法務部長官の夫人の情景芯(チョン・ギョンシム)教授が有罪判決を受けたのも青瓦台には逆風となる結果だ。与党はチョ前長官に対する捜査が「過剰・標的捜査」として「尹錫悦排除」の根拠に活用してきたが、裁判所は当時の捜査が正当だったという結論を出した。裁判所発の「2連打」に青瓦台内でも「もうプランBもない」という愚痴が出ているほどだ。
チャン・スンジン国民大教授は「問題を政治的に解決するタイミングがあったが、手が血に染まるのを避ける文大統領のスタイルのため遅々として進まず長引いてしまった」とし「大統領だけでなく与党も180議席の議会権力を持ちながら何もできなかったという理由で支持層の離脱に直面する可能性がある」と述べた。これに関連し青瓦台関係者は「このような状況になったが、誰も責任を取る人がいない」と内部の雰囲気を伝えた。続いて「今まで核心参謀は大統領の前で良いことばかりを話し、直言はすべて阻んできた」とし「良い時にはあれほど言葉が多かった人たちが、今では『自分は知らない』という態度で大統領の背中を押す状況」と話した。
盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長に対する批判の声も強まっている。別の関係者は「不動産問題でリーダーシップが崩れた盧室長から先に交代させるべきだった」と指摘した。アン・ビョンジン慶煕大教授は「運動圏特有の文化に浸った青瓦台の参謀が批判に耳をふさぎ、大統領に誤った判断をさせた」とし「直ちに秘書室長、政策室長ら参謀陣から責任を取らなければいけない」と指摘した。
民主党の立場でも「検察改革シーズン2」の動力を確保するのが容易でないと予想される。民主党は来年初め、「捜査・起訴権完全分離」を骨子とする法改正に着手する方針だ。党レベルでも金斗官(キム・ドゥグァン)議員がこの日、「尹総長弾劾案を準備する」と明らかにするなど「中断のない検察改革」と速度戦を公言しているが、今回の事態で世論の支持を期待するのは容易でなくなった。
コロナ危機も深刻だ。新型コロナ新規感染者は24日、1241人で過去最多となった。ワクチン確保に支障が生じた状況で、社会的距離の3段階引き上げまでが議論されている。これは事実上の経済シャットダウンであり、政府の防疫失敗を自認するという点で悩みが大きい。青瓦台関係者は「3段階が決定する場合、文大統領が自ら謝罪声明や談話を出さなければいけないという内部の議論があった」とし「これとは別にワクチン導入問題などについても大統領が放送の対談などで直接釈明することを検討中」と話した。
卞彰欽国土交通部長官候補ももう一つの悪材料だ。正義党までが任命に反対しているが、文大統領のスタイル上、野党が聴聞報告書の採択に応じなくても任命を強行するとみられる。しかし大統領の支持率が高い時は一方的に任命しても副作用が小さかったが、現時点ではこうした一方通行が政権の「不通」イメージを強める可能性が高い。
専門家はレームダック現象が明確になるかは結局、支持率の行方にかかっていると口をそろえる。韓国ギャラップがこの日に発表した2020年月間・年間統合世論調査の結果によると、文大統領の国政遂行評価は総選挙直後の5月まで肯定的67%、否定的25%で、肯定的な評価が圧倒的に高かった。しかし7-11月は3%ポイント内の競合が続いた(詳細事項は選挙世論調査審議委員会ホームページ参照)。肯定・否定的評価が誤差範囲内に入った7月は、秋美愛法務部長官が「チャンネルA事件」に捜査指揮権を発動し、いわゆる「秋-尹対立」が始まった時点と一致する。
尹検察総長の懲戒をめぐり対立がピークを迎えた今月は、文大統領に対する肯定的評価は39%、否定的評価は53%となり、「コンクリート支持率」と呼ばれた40%も崩れた。今後は中道層の離脱が加速するという見方も出ている。シン・ユル明知大教授は「与党の立場では支持率が落ちるしかない執権後半期を迎え、検察改革などを通じて支持層を結集させる戦略を選択した」とし「しかしワクチン普及問題と今後の検察の政権捜査の結果によって支持率が急落する可能性もある」と予想した。
文大統領は姜ミン碩(カン・ミンソク)報道官を通じて「裁判所の決定を尊重する」とし「結果的に国民に混乱を招くことになったことについて人事権者として謝罪する」と伝えた。16日に尹総長懲戒案を裁可する際「国民に申し訳ない」と述べたが、これよりも一段階高めた。
特に「人事権者」という表現が注目される。文大統領が自ら裁判所がブレーキをかけるほど誤った人事権を行使したことを認めたという意味を込めているからだ。青瓦台関係者も「人事権者という表現には『任』と『免』の意味が共に含まれている」とし「大統領がこの辺りで自ら葛藤を終えて状況を収拾するという意向を明らかにしたものと受け止めてほしい」と話した。
このため与党では、すでに辞意を表明した秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の後任人選が加速するという見方が出ている。来年1-2月と予想される大幅な内閣改造に先立ち、秋長官だけを対象にしたワンポイントの可能性もあるという。この場合、1年間続いた「秋美愛-尹錫悦衝突」は尹総長の事実上の完勝で幕を閉じる見込みだ。
問題は「尹錫悦事態」が終わりでないという点だ。現在、新型コロナ第3波が統制範囲を超える危機に直面している。感染者が急増し、病床と医療スタッフ不足事態が現実化している。さらに世界各国が次々とワクチン接種を開始している中、韓国は早くて来年3月ごろ接種が始まると発表され、「K-防疫の成果に安住して医療スタッフ・病床・ワクチンの『3無危機』を迎えることになった」という批判も強まっている。
文大統領の執権5年目の政策構想が難関にぶつかる可能性も高まった。批判が強まった不動産問題を収拾するために卞彰欽(ビョン・チャンフム)国土交通部長官カードを取り出したが、国会人事聴聞会以降、国民の力のほか正義党までが任命に反対しているからだ。「文大統領が尹錫悦・コロナ・卞彰欽の3つの悪材料に包囲された」という分析が出てくる理由だ。国会側でも「結局、文大統領が自ら出てきて事態を収拾するしかない状況」とし「どう対処するかによってレームダック(執権末期の権力低下)を加速させるか遅らせるかが決まるだろう」という見方が出ている。
世論調査専門家のペ・ジョンチャン・インサイトケイ研究所長は「最近、尹錫悦・ワクチンなど爆発力が強いイシューが同時多発的にあふれた状況で、文大統領の支持率が35%を守れない場合、レームダックの確実な前兆となる余地が十分になる」と述べた。続いて「特に首都圏の民心が背を向ける場合、来年のソウル市長補欠選はもちろん、再来年の大統領選挙構図にも直接的な影響を及ぼすだろう」という見方を示した。
◆「尹錫悦排除」失敗、文大統領「レームダック遮断壁」崩れるのか
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は25日、謝罪と共に検察に対する要請のメッセージも出した。「裁判所の判断に留意し、検察も公正で節制された検察権の行使について省察するきっかけになることを期待する」と述べながらだ。「法務部と検察は安定的な協力関係を通じて検察改革と捜査権改革など後続措置を支障なく推進していくべき」とも話した。しかし政界では検察改革の動力はすでに喪失したという評価が多い。当初、青瓦台側は2カ月間の停職は「神の一手」と主張した。解任・免職でなく軽い懲戒なら裁判所が尹総長に軍配を上げないと予想したからだ。
しかし裁判所の判断はこうした期待とは違った。チョ・グク前法務部長官の夫人の情景芯(チョン・ギョンシム)教授が有罪判決を受けたのも青瓦台には逆風となる結果だ。与党はチョ前長官に対する捜査が「過剰・標的捜査」として「尹錫悦排除」の根拠に活用してきたが、裁判所は当時の捜査が正当だったという結論を出した。裁判所発の「2連打」に青瓦台内でも「もうプランBもない」という愚痴が出ているほどだ。
チャン・スンジン国民大教授は「問題を政治的に解決するタイミングがあったが、手が血に染まるのを避ける文大統領のスタイルのため遅々として進まず長引いてしまった」とし「大統領だけでなく与党も180議席の議会権力を持ちながら何もできなかったという理由で支持層の離脱に直面する可能性がある」と述べた。これに関連し青瓦台関係者は「このような状況になったが、誰も責任を取る人がいない」と内部の雰囲気を伝えた。続いて「今まで核心参謀は大統領の前で良いことばかりを話し、直言はすべて阻んできた」とし「良い時にはあれほど言葉が多かった人たちが、今では『自分は知らない』という態度で大統領の背中を押す状況」と話した。
盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長に対する批判の声も強まっている。別の関係者は「不動産問題でリーダーシップが崩れた盧室長から先に交代させるべきだった」と指摘した。アン・ビョンジン慶煕大教授は「運動圏特有の文化に浸った青瓦台の参謀が批判に耳をふさぎ、大統領に誤った判断をさせた」とし「直ちに秘書室長、政策室長ら参謀陣から責任を取らなければいけない」と指摘した。
民主党の立場でも「検察改革シーズン2」の動力を確保するのが容易でないと予想される。民主党は来年初め、「捜査・起訴権完全分離」を骨子とする法改正に着手する方針だ。党レベルでも金斗官(キム・ドゥグァン)議員がこの日、「尹総長弾劾案を準備する」と明らかにするなど「中断のない検察改革」と速度戦を公言しているが、今回の事態で世論の支持を期待するのは容易でなくなった。
コロナ危機も深刻だ。新型コロナ新規感染者は24日、1241人で過去最多となった。ワクチン確保に支障が生じた状況で、社会的距離の3段階引き上げまでが議論されている。これは事実上の経済シャットダウンであり、政府の防疫失敗を自認するという点で悩みが大きい。青瓦台関係者は「3段階が決定する場合、文大統領が自ら謝罪声明や談話を出さなければいけないという内部の議論があった」とし「これとは別にワクチン導入問題などについても大統領が放送の対談などで直接釈明することを検討中」と話した。
卞彰欽国土交通部長官候補ももう一つの悪材料だ。正義党までが任命に反対しているが、文大統領のスタイル上、野党が聴聞報告書の採択に応じなくても任命を強行するとみられる。しかし大統領の支持率が高い時は一方的に任命しても副作用が小さかったが、現時点ではこうした一方通行が政権の「不通」イメージを強める可能性が高い。
専門家はレームダック現象が明確になるかは結局、支持率の行方にかかっていると口をそろえる。韓国ギャラップがこの日に発表した2020年月間・年間統合世論調査の結果によると、文大統領の国政遂行評価は総選挙直後の5月まで肯定的67%、否定的25%で、肯定的な評価が圧倒的に高かった。しかし7-11月は3%ポイント内の競合が続いた(詳細事項は選挙世論調査審議委員会ホームページ参照)。肯定・否定的評価が誤差範囲内に入った7月は、秋美愛法務部長官が「チャンネルA事件」に捜査指揮権を発動し、いわゆる「秋-尹対立」が始まった時点と一致する。
尹検察総長の懲戒をめぐり対立がピークを迎えた今月は、文大統領に対する肯定的評価は39%、否定的評価は53%となり、「コンクリート支持率」と呼ばれた40%も崩れた。今後は中道層の離脱が加速するという見方も出ている。シン・ユル明知大教授は「与党の立場では支持率が落ちるしかない執権後半期を迎え、検察改革などを通じて支持層を結集させる戦略を選択した」とし「しかしワクチン普及問題と今後の検察の政権捜査の結果によって支持率が急落する可能性もある」と予想した。
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