【グローバルアイ】デジタルをお願い
印鑑が「ハードワーク」していることは、3年前に日本に到着した時、区庁で悟った。住民登録のための書類の片隅に印鑑を押す空欄が3つ並んでいた。窓口の職員が上級者に一つひとつ印鑑をすべてもらい、書類を処理してもらうまでに20分以上待った。
韓国の地域の役場では、窓口職員がクリックいくつかで転入届が完了したことと比較すると、投入される時間や人材の面で効率性が天地の差だった。さらに最近は、韓国では自宅でもインターネットで転入・転出の申告ができるようになったので、行政の効率性だけおいてみれば日本は後進国に属する。
行政サービスが国民の暮らしに役立つどころかかえって足を引っ張っているというのは、過去新型コロナウイルス(新型肺炎)対応過程で如実に表面化した。ファックスで感染者情報を集計しようと人材を投じたが、正確な感染状況を把握することに失敗し、給付金を配ることにも数カ月かかった。
後進的な政府システムから抜け出そうと、菅義偉政権は「行政改革」の旗印を掲げる。河野太郎行政改革担当大臣を前面に出して前例主義の打破、デジタル化を推進すると言って乗り出した。河野氏は行政大臣就任と同時に「印鑑が必要な書類は理由を提出せよ」と言って、全部署に「脱印鑑」を圧迫している。印鑑の次はファックス、紙などアナログの代表選手を一つずつ廃止するという。
だが、骨の髄まで染み込んだアナログ行政が一気に変われるのか、日本国内ですら懐疑的な見方が多い。政府行政において、オンラインで完結できる比率は7.5%(日本総合研究所調査)にすぎない。デジタル化によって政府が国民一人一人の情報を統制することに対する国民の拒否感も大きい。住民登録番号に該当するマイナンバー普及率が15.5%(3月1日基準)と低調なのが代表的な証拠だ。デジタル化を専門担当しているデジタル庁が設立されるのも2022年上半期を目標にしているだけに、時間がかなりかかりそうだ。
2001年日本政府が発表した「e-Japan戦略」は「5年以内に日本を世界最先端のIT国家にする」という内容だった。それからほぼ20年が過ぎた今、日本の現住所は政府の構想とは正反対だ。今日も食卓の上に積まれる各種書類を眺めて考える。20年後には本当にあの紙の山は消えるのだろうか。
ユン・ソルヨン/東京特派員
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