アップルのような巨大企業だけでなく世界的有名人も中国の不興を買えば苦しむことになる。英サッカースターのベッカムは4月にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ台湾のファンに自身の安否を伝える書き込みをした後、中国ネットユーザーの攻撃を受けた。台湾を「中国領台湾」とせず単に「台湾」と表記したことが口実だった。白いものを白、黒いものを黒といっても中国には容認されない。
BTS(防弾少年団)が米国のコリアソサエティーからバン・フリート賞を贈られて発表した受賞所感も是非を論じる内容ではなかった。所感は「今年が韓国戦争(朝鮮戦争)70周年でさらに意味深い。(韓米)両国がともに体験した苦難の歴史を永遠に記憶する」という儀礼的内容だった。目新しいものもない歴史的回顧にすぎなかった。こうした話すらできないならば、洪吉童(ホン・ギルドン)が父親をお父さんと呼ぶことができないのと変わらない。
インターネットで万里のファイアウォールを積み上げた中国ネットユーザーの攻撃的姿勢はますます激しくなる。BTS問題はまだ始まりにすぎないかもしれない。なぜそうなのか。過去を振り返り未来を想像してみれば十分に知ることがきる。まず2000年のニンニク問題を振り返ろう。当時紛争が起きるとすぐ中国は力を誇示した。韓国政府は何も言えずひざまずいた。2016年の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備時は中国が遠慮なく腕力を振るった。THAAD用地を提供したという理由でロッテは店をたたみ中国から離れなければならなかった。国全体にも韓国旅行禁止令が下され多くの韓国の旅行会社が廃業し従業員は職を失った。
想像してみよう。今回BTSでなかったならばどうだっただろうか。そうだったなら猛烈なネットユーザーの関心を引くこともできなかっただろうが、もしターゲットになったならば生き残りにくかっただろう。それでもBTSほどだから全世界のファン軍団「アーミー」が反発し、世界の有数メディアが中国の偏狭な民族主義を叱責し一方的屈服は避けることができた。こうした雰囲気のため中国外交部も激烈ネットユーザーの自制の誘導に出た。しかし新中華主義を露骨化する中国当局と盲目的愛国主義の威力はますます大きくなっている。ロッテの撤退を見守ったサムスン電子と現代自動車は怖じ気づいて議論直後にBTSを起用した広告を下げなければならなかった。
この騒動は結局何を意味するか。中国という市場は機会であり鎖になっているという事実だ。韓国だけがそうなのではない。オーストラリアは中国に対する輸出依存度が30%に達する。しかし最近露骨化する新中華主義に対抗して自由という価値とは交換しないと明らかにした。中国はオーストラリアに対し無差別的な報復を加えている。最近ではオーストラリア産石炭の輸入中断を発表し締め付けを強めている。
韓国はオーストラリアよりさらに弱い。北朝鮮の後ろ盾の役割をする中国の等距離外交でも生き残らなければならないためだ。この渦中に駐米大使は「70年前選択したからと今後も米国を選択するのではない」という趣旨の発言をした。韓米同盟があったから最貧国から先進国の敷居を越えた韓国の駐米大使の発言なのか耳を疑わせた。BTSバッシングでも米国メディアの支援がなければBTSは生き残ることができただろうか。だからと大統領が守ってくれるだろうか。青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)にBTSを呼んだ文在寅(ムン・ジェイン)大統領は何の言葉もない。羅勲児(ナフナ)の言葉のように王や大統領が国民に向け何をしてくれるのか冷静に尋ねている。
結局大韓民国を守るのは中国も無視することができない自衛力だ。その自衛力は軍事力でなく、まさに超格差企業から出る。残念なことにいまはサムスン電子だけだ。中国はその壁を超えるため必死に半導体開発に注力している。サムスン電子の権五鉉(クォン・オヒョン)顧問が繰り返し超格差を強調する理由もここにある。BTSはアーミーとグローバルメディアが守ったが、韓国を守るのは超格差企業しかない。今後さらに激しくなる新中華主義の横暴を防ぐ道は、より多くのサムスン電子とBTSを作るだけだ。だれが違うと言えるだろうか。
キム・ドンホ/論説委員
BTS(防弾少年団)が米国のコリアソサエティーからバン・フリート賞を贈られて発表した受賞所感も是非を論じる内容ではなかった。所感は「今年が韓国戦争(朝鮮戦争)70周年でさらに意味深い。(韓米)両国がともに体験した苦難の歴史を永遠に記憶する」という儀礼的内容だった。目新しいものもない歴史的回顧にすぎなかった。こうした話すらできないならば、洪吉童(ホン・ギルドン)が父親をお父さんと呼ぶことができないのと変わらない。
インターネットで万里のファイアウォールを積み上げた中国ネットユーザーの攻撃的姿勢はますます激しくなる。BTS問題はまだ始まりにすぎないかもしれない。なぜそうなのか。過去を振り返り未来を想像してみれば十分に知ることがきる。まず2000年のニンニク問題を振り返ろう。当時紛争が起きるとすぐ中国は力を誇示した。韓国政府は何も言えずひざまずいた。2016年の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備時は中国が遠慮なく腕力を振るった。THAAD用地を提供したという理由でロッテは店をたたみ中国から離れなければならなかった。国全体にも韓国旅行禁止令が下され多くの韓国の旅行会社が廃業し従業員は職を失った。
想像してみよう。今回BTSでなかったならばどうだっただろうか。そうだったなら猛烈なネットユーザーの関心を引くこともできなかっただろうが、もしターゲットになったならば生き残りにくかっただろう。それでもBTSほどだから全世界のファン軍団「アーミー」が反発し、世界の有数メディアが中国の偏狭な民族主義を叱責し一方的屈服は避けることができた。こうした雰囲気のため中国外交部も激烈ネットユーザーの自制の誘導に出た。しかし新中華主義を露骨化する中国当局と盲目的愛国主義の威力はますます大きくなっている。ロッテの撤退を見守ったサムスン電子と現代自動車は怖じ気づいて議論直後にBTSを起用した広告を下げなければならなかった。
この騒動は結局何を意味するか。中国という市場は機会であり鎖になっているという事実だ。韓国だけがそうなのではない。オーストラリアは中国に対する輸出依存度が30%に達する。しかし最近露骨化する新中華主義に対抗して自由という価値とは交換しないと明らかにした。中国はオーストラリアに対し無差別的な報復を加えている。最近ではオーストラリア産石炭の輸入中断を発表し締め付けを強めている。
韓国はオーストラリアよりさらに弱い。北朝鮮の後ろ盾の役割をする中国の等距離外交でも生き残らなければならないためだ。この渦中に駐米大使は「70年前選択したからと今後も米国を選択するのではない」という趣旨の発言をした。韓米同盟があったから最貧国から先進国の敷居を越えた韓国の駐米大使の発言なのか耳を疑わせた。BTSバッシングでも米国メディアの支援がなければBTSは生き残ることができただろうか。だからと大統領が守ってくれるだろうか。青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)にBTSを呼んだ文在寅(ムン・ジェイン)大統領は何の言葉もない。羅勲児(ナフナ)の言葉のように王や大統領が国民に向け何をしてくれるのか冷静に尋ねている。
結局大韓民国を守るのは中国も無視することができない自衛力だ。その自衛力は軍事力でなく、まさに超格差企業から出る。残念なことにいまはサムスン電子だけだ。中国はその壁を超えるため必死に半導体開発に注力している。サムスン電子の権五鉉(クォン・オヒョン)顧問が繰り返し超格差を強調する理由もここにある。BTSはアーミーとグローバルメディアが守ったが、韓国を守るのは超格差企業しかない。今後さらに激しくなる新中華主義の横暴を防ぐ道は、より多くのサムスン電子とBTSを作るだけだ。だれが違うと言えるだろうか。
キム・ドンホ/論説委員
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