未来の事業として「バイオ」を育成してきた3つのグループの明暗が分かれている。SKとサムスンは長期間のバイオ投資で成果を出し始めたが、新薬開発のトップ走者だったLGは存在感が薄れている。3つのグループの「バイオ」部門は何が違っていたのだろうか。
(1)SK、「油公プロジェクト」と30年後の結実
SKグループがバイオ事業を始めたのはSKの前身の油公時代だ。1993年に故崔鍾賢(チェ・ジョンヒョン)会長の指示で始まった、いわゆる「P(ファーマシューティカルズ:医薬品)プロジェクト」は25-30年後、SKバイオファームの相次ぐ新薬開発と上場で実を結んだ。
その間の過程は順調でなかった。最初の 抗てんかん薬「カリスバメート」は2008年の発売の前に挫折した。臨床第1相後にジョンソンアンドジョンソンに技術を輸出したが、米国食品医薬品局(FDA)の壁を越えることができなかった。内部では「バイオ懐疑論」が浮上したという。しかしSKはグループレベルの投資をあきらめなかった。こうしてSKバイオファームの1号新薬「YKP10A(ソルリアムフェトル)」と2号新薬「YKP309(セノバメイト)」が開発された。「YKP」は「油公プロダクト(Yu Kong Product)」の頭文字だ。SKの執念が感じられる。
SKは国内ではほとんど見られないバイオ水平・垂直系列化も進めた。持ち株会社のSKの傘下には合成医薬品などを開発するSKバイオファームとSKファームテコがある。ファームテコは、バイオ医薬品委託生産(CMO)をするSKバイオテックとSKバイオテックアイルランド、2018年に買収したエムテックを統合した法人だ。また、SKディスカバリーの子会社のSKケミカルは2015年に血液製剤事業を分社してSKプラズマを設立し、2018年にはワクチン事業部門を切り離してSKバイオサイエンスを設立した。業界関係者は「バイオ分野は根気強い研究と投資があってこそ可能」とし「失敗のリスクを負いながらも根気強く進めた崔泰源(チェ・テウォン)会長の代表的な業績になるだろう」と話した。
(2)サムスン、戦略的投資でCMO強者に浮上
サムスンは2010年、5大新事業の一つを「バイオ」とし、2020年までに2兆ウォン(約1810億円)を投資すると明らかにした。李健熙(イ・ゴンヒ)会長の決断だった。翌年2月、サムスンはCMOとバイオシミラー事業を本格的に推進すると発表した。早期事業化が可能な分野から先に育成するという戦略的な選択だった。製薬・バイオ業界の専門家は「グローバル巨大製薬会社との技術レベル差が大きくリスクが高い新薬開発よりも、CMOとバイオシミラーを育成するという戦略が現在としては的中した」と話した。
10年が経過した現在、サムスンのバイオ事業は本軌道に乗ったという評価を受ける。CMOのサムスンバイオロジクスは今年「売上1兆クラブ」入りが確実視される。今年の受注額だけで1兆8127億ウォンにのぼる(9月末現在)。昨年1年間の受注額(3084億ウォン)の6倍近い金額だ。バイオシミラーを開発するサムスンバイオエピスの昨年の売上高は前年比で2倍以上増えた7659億ウォン、営業利益は1228億ウォンと、設立8年目で初めて黒字を出した。バイオエピスはサムスンバイオロジクスが株式50%+1株、米バイオジェンが50%-1株を保有している。
サムスンバイオロジクスは2035年までにCMOのシェアを50%まで高める計画だ。このため最近は生産量25万6000リットル規模の第4工場の建設を発表した。2022年まで約1兆7000億ウォンが投入される予定だ。第4工場が稼働すれば、サムスンバイオロジクスの全体生産能力は62万リットルに増える。世界のCMO生産量の30%に相当する規模だ。
(3)LG、生命科学を分社して合併
製薬・バイオ業界でLGはよく「K-バイオ士官学校」と呼ばれる。響きは良いが、LGには痛恨の言葉だ。バイオ業界にチョ・ジュンミョン・クリスタルジェノミクス会長、キム・ヨンジュ・レゴケムバイオ代表、パク・スンジェ・アルテオジェン代表などLG出身者が多いからだが、LGの立場では逃した人材だ。
LGは早くから製薬・バイオ事業を始めた。1979年に設立した「ラッキー中央研究所」が母胎だ。成果も少なくなかった。91年に開発に着手してから12年後の2003年、国内で初めて米国米食品医薬品局(FDA)新薬承認を受けた。しかしグループの核心事業が「電子-通信-化学」に整理され、バイオは後まわしになった。関連業界では特に2002年に持ち株会社からLG生命科学を分社させた点を決定打とみている。業界関係者は「新薬組織を持ち株会社の傘下に置いて資金を全幅支援したSKとは違い、LGはそれぞれ自立させる形で生命科学を分社した」とし「この時から抗がん新薬の開発も中断するなど生命科学の暗黒期が始まった」と分析した。核心の研究人材が会社を出て行ったのもこの時期からだ。
LG生命科学は2016年にLG化学とまた合併したが、バイオ市場ではもちろんLG化学の中でも存在感は薄い。昨年のLG化学の売上高で「生命科学部門」が占める比率は2%ほどだ。LG化学のチャ・ドンソク最高財務責任者(CFO、副社長)は先月15日のカンファレンスコールで「(バッテリー部門の分社以降)LG化学の存続事業は石油化学、先端素材、バイオの方により多くの資源を投資でき、この事業の価値をさらに増大させることができる」とし「新薬開発に集中する生命科学まで成長の機会が多い」と強調した。バッテリーに隠れているバイオ事業の価値が可視化するということだ。
LG関係者は「2016年の合併後、研究開発費もかなり増え、新薬候補物質も40個まで増やした」とし「内部ではもう一度やってみようという雰囲気」と説明した。昨年、LG化学の生命科学部門の売上高は6222億ウォン、営業利益は372億ウォンだった。今年上半期の売上高は3180億ウォン、営業利益は376億ウォン。
(1)SK、「油公プロジェクト」と30年後の結実
SKグループがバイオ事業を始めたのはSKの前身の油公時代だ。1993年に故崔鍾賢(チェ・ジョンヒョン)会長の指示で始まった、いわゆる「P(ファーマシューティカルズ:医薬品)プロジェクト」は25-30年後、SKバイオファームの相次ぐ新薬開発と上場で実を結んだ。
その間の過程は順調でなかった。最初の 抗てんかん薬「カリスバメート」は2008年の発売の前に挫折した。臨床第1相後にジョンソンアンドジョンソンに技術を輸出したが、米国食品医薬品局(FDA)の壁を越えることができなかった。内部では「バイオ懐疑論」が浮上したという。しかしSKはグループレベルの投資をあきらめなかった。こうしてSKバイオファームの1号新薬「YKP10A(ソルリアムフェトル)」と2号新薬「YKP309(セノバメイト)」が開発された。「YKP」は「油公プロダクト(Yu Kong Product)」の頭文字だ。SKの執念が感じられる。
SKは国内ではほとんど見られないバイオ水平・垂直系列化も進めた。持ち株会社のSKの傘下には合成医薬品などを開発するSKバイオファームとSKファームテコがある。ファームテコは、バイオ医薬品委託生産(CMO)をするSKバイオテックとSKバイオテックアイルランド、2018年に買収したエムテックを統合した法人だ。また、SKディスカバリーの子会社のSKケミカルは2015年に血液製剤事業を分社してSKプラズマを設立し、2018年にはワクチン事業部門を切り離してSKバイオサイエンスを設立した。業界関係者は「バイオ分野は根気強い研究と投資があってこそ可能」とし「失敗のリスクを負いながらも根気強く進めた崔泰源(チェ・テウォン)会長の代表的な業績になるだろう」と話した。
(2)サムスン、戦略的投資でCMO強者に浮上
サムスンは2010年、5大新事業の一つを「バイオ」とし、2020年までに2兆ウォン(約1810億円)を投資すると明らかにした。李健熙(イ・ゴンヒ)会長の決断だった。翌年2月、サムスンはCMOとバイオシミラー事業を本格的に推進すると発表した。早期事業化が可能な分野から先に育成するという戦略的な選択だった。製薬・バイオ業界の専門家は「グローバル巨大製薬会社との技術レベル差が大きくリスクが高い新薬開発よりも、CMOとバイオシミラーを育成するという戦略が現在としては的中した」と話した。
10年が経過した現在、サムスンのバイオ事業は本軌道に乗ったという評価を受ける。CMOのサムスンバイオロジクスは今年「売上1兆クラブ」入りが確実視される。今年の受注額だけで1兆8127億ウォンにのぼる(9月末現在)。昨年1年間の受注額(3084億ウォン)の6倍近い金額だ。バイオシミラーを開発するサムスンバイオエピスの昨年の売上高は前年比で2倍以上増えた7659億ウォン、営業利益は1228億ウォンと、設立8年目で初めて黒字を出した。バイオエピスはサムスンバイオロジクスが株式50%+1株、米バイオジェンが50%-1株を保有している。
サムスンバイオロジクスは2035年までにCMOのシェアを50%まで高める計画だ。このため最近は生産量25万6000リットル規模の第4工場の建設を発表した。2022年まで約1兆7000億ウォンが投入される予定だ。第4工場が稼働すれば、サムスンバイオロジクスの全体生産能力は62万リットルに増える。世界のCMO生産量の30%に相当する規模だ。
(3)LG、生命科学を分社して合併
製薬・バイオ業界でLGはよく「K-バイオ士官学校」と呼ばれる。響きは良いが、LGには痛恨の言葉だ。バイオ業界にチョ・ジュンミョン・クリスタルジェノミクス会長、キム・ヨンジュ・レゴケムバイオ代表、パク・スンジェ・アルテオジェン代表などLG出身者が多いからだが、LGの立場では逃した人材だ。
LGは早くから製薬・バイオ事業を始めた。1979年に設立した「ラッキー中央研究所」が母胎だ。成果も少なくなかった。91年に開発に着手してから12年後の2003年、国内で初めて米国米食品医薬品局(FDA)新薬承認を受けた。しかしグループの核心事業が「電子-通信-化学」に整理され、バイオは後まわしになった。関連業界では特に2002年に持ち株会社からLG生命科学を分社させた点を決定打とみている。業界関係者は「新薬組織を持ち株会社の傘下に置いて資金を全幅支援したSKとは違い、LGはそれぞれ自立させる形で生命科学を分社した」とし「この時から抗がん新薬の開発も中断するなど生命科学の暗黒期が始まった」と分析した。核心の研究人材が会社を出て行ったのもこの時期からだ。
LG生命科学は2016年にLG化学とまた合併したが、バイオ市場ではもちろんLG化学の中でも存在感は薄い。昨年のLG化学の売上高で「生命科学部門」が占める比率は2%ほどだ。LG化学のチャ・ドンソク最高財務責任者(CFO、副社長)は先月15日のカンファレンスコールで「(バッテリー部門の分社以降)LG化学の存続事業は石油化学、先端素材、バイオの方により多くの資源を投資でき、この事業の価値をさらに増大させることができる」とし「新薬開発に集中する生命科学まで成長の機会が多い」と強調した。バッテリーに隠れているバイオ事業の価値が可視化するということだ。
LG関係者は「2016年の合併後、研究開発費もかなり増え、新薬候補物質も40個まで増やした」とし「内部ではもう一度やってみようという雰囲気」と説明した。昨年、LG化学の生命科学部門の売上高は6222億ウォン、営業利益は372億ウォンだった。今年上半期の売上高は3180億ウォン、営業利益は376億ウォン。
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