先週、米ワシントンの非営利機関ソーシャル・プログレス・インペレーティブ(Social Progress Imperative)が2020年社会進歩指標(SPI)報告書を発表した。各国の社会発展レベルを表す50の指標を調査、分析し、100点満点で評価した報告書だ。各国の「生活の質」を表す総合成績表というのが、ソーシャル・プログレス・インペレーティブ側の説明だ。グローバルコンサルティング会社デロイトがパートナーとして参加、シスコとロックフェラー財団が後援し、2014年から毎年発表している。
◆「50-30クラブ」7カ国のうちドイツ・日本の次
2020年SPI調査で韓国が受けた点数は89.06点。調査対象163カ国のうち17番目に高い。2014年に28位だった韓国は2016年に26位、2019年に23位に上がり、今年の調査ではなんと6つも順位が上昇した。SPI成績で「トップ10」に入った国は1位のノルウェー、2位のデンマーク、3位のフィンランドなど、ほとんどが人口1000万人未満の北欧国家だ。人口が5000万人以上で1人あたりの国民所得が3万ドル以上の、いわゆる「50-30クラブ」7カ国だけをみると、韓国はドイツと日本に次いで高い。社会発展水準で韓国がフランス、英国、イタリア、米国を上回っているということだ。自殺率と高齢者貧困率は韓国が世界最高だ。出生率は最も低い。青年は「ヘル朝鮮」と表現する。その韓国の生活の質が米国や欧州先進国よりも高いという調査結果をどう受け入れるべきなのか。
ソーシャル・プログレス・インペレーティブのマイケル・グリーン最高経営責任者(CEO)は「国内総生産(GDP)に代表される経済発展が重要だが、強い経済が強い社会を保証するわけではない」と指摘する。「人間の基本的な欲求を満たし、福祉の土台を築き、潜在力を発揮できる機会が個人に提供されなければ、経済的な数値とは関係なくその社会は失敗している」ということだ。こうした点で、経済指標とは関係なく社会の真の成功と失敗を測定できる新しい指標が必要だという趣旨で作られたのがSPIということだ。指標の開発にはマイケル・ポーター米ハーバード大ビジネススクール教授とノーベル経済学賞を受賞した数人の学者が参加した。
SPIは人間の基本欲求充足程度を表す4つの項目、福祉の土台構築程度を表す4つの項目、個人に提供される機会の幅を表す4つの項目の計12項目で構成される。また各項目は3-5個の細部指標で構成されている。計50の細部指標には、その社会の発展水準と生活の質を包括的かつ体系的に評価できる要素が網羅されているというのが、グリーンCEOの説明だ。
◆12項目・50指標で総合評価
例えば人間の基本欲求充足程度を表す細部指標は、栄養不足人口比率、5歳以下の成長遅滞児童比率、人口10万人あたり感染病死者数、不安定な飲み水を使用する人口比率、料理時の清浄燃料使用比率、人口10万人あたり交通事故死者数、人口10万人あたり殺人事件死者数など計15種類で構成される。福祉の土台を表す細部指標には25歳人口の中等教育履修人口比率、25-29歳女性の無学人口比率、インターネット使用人口比率、100人あたりモバイルフォン加入者数、人口10万人あたり非伝染性疾病死者数、公共医療保険加入比率、人口10万人あたり温室効果ガス・粒子状物質排出量、人口10万人あたり大気汚染死者数などが含まれる。
個人に提供される機会を表す細部指標には、専門家グループが評価した政治的権利付与の程度、表現の自由の程度、司法救済の可能性、女性の財産権行使の程度、全体経済活動人口のうち自営業従事者比率、専門家グループが評価した腐敗水準、社会経済的な地位や階層、性別による政治的権利不平等の程度、少数者に対する差別と暴力の程度、3つの世界大学評価機関調査で上位400位圏に入る大学の数、25-29歳女性の高等教育履修人口比率などがある。これら50の細部事項に対するSPI調査でその社会の長所・短所を把握し、今後の政策の優先順位決定に参考にできるということだ。
韓国は人間の基本欲求充足部門で96.92点を受け、世界7位だった。特に個人の安全項目では世界5位だった。福祉の土台構築部門(90.12点)は17位。特に情報と通信の接近性項目は99.7点と、世界で断然トップだった。一方、環境の質は80位(79.78点)と、環境分野に対する政策的考慮の必要性を表している。個人の機会部門(22位)の場合、高等教育の接近性は世界3位と高いが、包容性(39位)項目は似た水準の他国に比べて遅れていることが分かった。
【コラム】韓国の生活水準、米国やフランスより高いというが…(2)
◆「50-30クラブ」7カ国のうちドイツ・日本の次
2020年SPI調査で韓国が受けた点数は89.06点。調査対象163カ国のうち17番目に高い。2014年に28位だった韓国は2016年に26位、2019年に23位に上がり、今年の調査ではなんと6つも順位が上昇した。SPI成績で「トップ10」に入った国は1位のノルウェー、2位のデンマーク、3位のフィンランドなど、ほとんどが人口1000万人未満の北欧国家だ。人口が5000万人以上で1人あたりの国民所得が3万ドル以上の、いわゆる「50-30クラブ」7カ国だけをみると、韓国はドイツと日本に次いで高い。社会発展水準で韓国がフランス、英国、イタリア、米国を上回っているということだ。自殺率と高齢者貧困率は韓国が世界最高だ。出生率は最も低い。青年は「ヘル朝鮮」と表現する。その韓国の生活の質が米国や欧州先進国よりも高いという調査結果をどう受け入れるべきなのか。
ソーシャル・プログレス・インペレーティブのマイケル・グリーン最高経営責任者(CEO)は「国内総生産(GDP)に代表される経済発展が重要だが、強い経済が強い社会を保証するわけではない」と指摘する。「人間の基本的な欲求を満たし、福祉の土台を築き、潜在力を発揮できる機会が個人に提供されなければ、経済的な数値とは関係なくその社会は失敗している」ということだ。こうした点で、経済指標とは関係なく社会の真の成功と失敗を測定できる新しい指標が必要だという趣旨で作られたのがSPIということだ。指標の開発にはマイケル・ポーター米ハーバード大ビジネススクール教授とノーベル経済学賞を受賞した数人の学者が参加した。
SPIは人間の基本欲求充足程度を表す4つの項目、福祉の土台構築程度を表す4つの項目、個人に提供される機会の幅を表す4つの項目の計12項目で構成される。また各項目は3-5個の細部指標で構成されている。計50の細部指標には、その社会の発展水準と生活の質を包括的かつ体系的に評価できる要素が網羅されているというのが、グリーンCEOの説明だ。
◆12項目・50指標で総合評価
例えば人間の基本欲求充足程度を表す細部指標は、栄養不足人口比率、5歳以下の成長遅滞児童比率、人口10万人あたり感染病死者数、不安定な飲み水を使用する人口比率、料理時の清浄燃料使用比率、人口10万人あたり交通事故死者数、人口10万人あたり殺人事件死者数など計15種類で構成される。福祉の土台を表す細部指標には25歳人口の中等教育履修人口比率、25-29歳女性の無学人口比率、インターネット使用人口比率、100人あたりモバイルフォン加入者数、人口10万人あたり非伝染性疾病死者数、公共医療保険加入比率、人口10万人あたり温室効果ガス・粒子状物質排出量、人口10万人あたり大気汚染死者数などが含まれる。
個人に提供される機会を表す細部指標には、専門家グループが評価した政治的権利付与の程度、表現の自由の程度、司法救済の可能性、女性の財産権行使の程度、全体経済活動人口のうち自営業従事者比率、専門家グループが評価した腐敗水準、社会経済的な地位や階層、性別による政治的権利不平等の程度、少数者に対する差別と暴力の程度、3つの世界大学評価機関調査で上位400位圏に入る大学の数、25-29歳女性の高等教育履修人口比率などがある。これら50の細部事項に対するSPI調査でその社会の長所・短所を把握し、今後の政策の優先順位決定に参考にできるということだ。
韓国は人間の基本欲求充足部門で96.92点を受け、世界7位だった。特に個人の安全項目では世界5位だった。福祉の土台構築部門(90.12点)は17位。特に情報と通信の接近性項目は99.7点と、世界で断然トップだった。一方、環境の質は80位(79.78点)と、環境分野に対する政策的考慮の必要性を表している。個人の機会部門(22位)の場合、高等教育の接近性は世界3位と高いが、包容性(39位)項目は似た水準の他国に比べて遅れていることが分かった。
【コラム】韓国の生活水準、米国やフランスより高いというが…(2)
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