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増えつつある国の借金をめぐる論議=韓国(2)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
実際に、国の借金がある水準を越えてはならないという絶対的な基準はない。2010年ケネス・ロゴフ氏とカーメン・ラインハート氏は「過去の事例からみると、対GDP比政府債務比率が90%以上である国の平均経済成長率が90%未満である国に比べて非常に低かった」という論文を発表した。債務比率の90%が一種の「ティッピングポイント」なので負債が多すぎる場合、緊縮政策を展開する必要があるという主張だ。

これを受け、トーマス・ハーンドン氏、マイケル・アッシュ氏、ロバート・プーリン氏は2013年「ロゴフとラインハートの論文で年度別データの一部欠落、誤った加重値反映、エクセル計算のエラーなどを是正した結果、対GDP比政府負債比率90%以上である国の経済成長率は平均-0.1%でなく2.2%だった」と批判した。もちろん、データのエラーを是正した後にも対GDP比政府債務の比率が増加するほど経済成長率が減少する様相を見せるのは事実だ。ただし「対GDP比90%」という数値自体は無意味だという指摘だ。

現在、国家債務比率をめぐる論争は「過度な負債そのものが低成長を招くわけではない」という見方に傾いている。IMF所属の経済学者アンドレア・ぺスカトリ氏、ジョン・サイモン氏は2014年論文で「政府債務比率が過度に高ければ経済状態を脆弱にする可能性があるが、一定基準(a magic threshold)以下に政府債務比率を引き下げること自体にこだわる必要はない」と主張した。もちろん、借金が多くても問題がないというわけではない。借金をしてでも経済を育てれば結局債務比率は下がるということだ。


現在の先進国は量的緩和(QE)を通じて資金をばらまいて国の借金が急増している。米議会予算局は最近「来年には第2次大戦直後(1946年)以降70余年ぶりに初めて国家債務がGDPを超えるだろう」と予測した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「共和党と民主党は1兆(約106兆円)~3兆ドル規模の5回目の景気刺激策を協議中」としながら「今後も高齢化にともなう医療支出の急増でしばらく国家負債の増加傾向が続くだろう」と報じた。

長期的な景気低迷に苦しめられている日本は大規模な刺激策を繰り返して国家債務がGDPの2倍を越えた。日本経済新聞は「コロナ禍で今年2回の補正予算を編成して政府の支出が過去最大である160兆円に達した」として「この中で90兆円を新規国債発行で埋めることにして国家財政の債務依存度が過去最大である56.3%まで増えるだろう」と報じた。

日本と米国が債務の急増にも大きく困難しない理由は基軸通貨と貿易黒字だ。米国が貿易赤字を出す分、ドルが全世界に流れる。このドルで全世界政府と民間投資家は安全資産である米国国債(財務部債権)を買い入れる。このような状況が続く間、負債が増えても大きな問題がないわけだ。日本は国債の95%程度を日本の銀行と個人投資家が持っている。さらに、毎年1500億ドル内外の貿易黒字を出して純対外債権が3兆ドルに達する。

韓国は予算規模を4年連続で7%以上増やしている。来年の予算は今年より43兆ウォン増えた555兆ウォンになる見通しだ。税金だけでは足りず90兆ウォン分の赤字国債を発行する予定だ。毎年固定的に支出される福祉・雇用分野の予算が増加しており、ややもすると「借金大国韓国」になる可能性もあるという懸念の声もある。東国(トングク)大学のミン・セジン教授(経済学)は「財政準則など健全性を確保する原則を先に立てるべきだが、その都度青瓦台(チョンワデ、大統領府)と国会が決める引き上げ」とし「新型コロナが今後どうなるのか誰も分からない今のような状況であるほど原則が重要だ」と話した。

政府がばらまいたお金が経済成長につなることができるように細心な管理も必要だ。2008年以降ずっと財政拡張政策を支持したポール・クルーグマン氏は「対GDP比政府債務比率で重要なのは借金でなくGDP」として「GDPが増加すれば債務比率は自然と引き下がる」と強調した。負債に気を遣うよりは失業率を引き下げて経済を成長させるのが重要だという論理だ。だが、専門家たちは政府の補正予算に高い点数を与えなかった。ソウル大学のホン・ソクチョル教授(経済学)は「新型コロナの支援金は景気刺激の目的が全くない見舞い金」としながら「財政投入だけで脆弱階層を救済することには根本的な限界がある」と話した。西江(ソガン)大学のイ・インシル教授(経済学)も「直ちに民心を考えるといって景気刺激の効果がほとんどない財政支出で未来世代に負債を残す典型的なポピュリズム」とし「すでに使った補正予算の効果でも点検して小商工人が維持されるように取り組む方針を考えるべきだ」と指摘した。


増えつつある国の借金をめぐる論議=韓国(1)

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