1.安倍首相が28日、辞任の意向を表明しました。持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、首相の職を遂行できないという理由です。7年8カ月という最長寿記録を残しました。日本は内閣制なので与党内で次期首相を選定します。自民党総裁になればそのまま首相となります。実質的には党内の派閥間の交渉で決定されますが、遅くとも9月中には新しい首相が決まる予定です。ところが安倍首相の党総裁任期は来年9月です。次期首相はもしかすると来年9月に党総裁から退く短命になるかもしれません。内閣制であるうえ、派閥が複雑な自民党の長期政権システムがあり、日本の政治は複雑です。
2.病気で退く安倍首相には申し訳ないことですが、我々には良い機会です。日本との外交関係を改善できる糸口になるかもしれないからです。安倍首相は実際、わが国には最悪の首相でした。安倍首相は日本の正統保守の貴公子出身です。安倍首相は母方の祖父の膝で政治を学びました。母方の祖父の岸信介は当時の首相でした。岸は第2次世界大戦当時に満州国を作り、米国との戦争に署名したA級戦犯です。岸が死刑を免れたのは、米国がソ連との冷戦のため日本を同盟に育てたからです。岸は1960年に米国との安全保障条約に署名した首相です。米国との同盟を通じた日本の影響力拡大を冷戦時代の生きる道と確信した現代日本政治の大物です。安倍首相は日米安保条約を「不滅の柱」と絶賛しました。
3.安倍首相は祖父の夢を引き継ぎました。米国との同盟をさらに強化し、日本の影響力をさらに強化する道です。具体的に日本の再武装を事実上実現させました。日本は第2次世界大戦の敗戦国として独自の軍事力を持ってはいけません。米国が占領当時に作った「平和憲法9条」に刻んでおきました。米国が武力を許容したのは韓国戦争(朝鮮戦争)のためです。当時認めた警察が今日の自衛隊につながりました。自衛隊という言葉も「防御だけをする」という意味です。
4.自衛隊を事実上攻撃までできる軍隊に変える改憲が安倍首相の念願事業でした。国内に反対の世論もありましたが国際的に問題が深刻であるため、改憲は8年間実現しませんでした。その代わり便法で成功しました。2014年の自衛隊創設60周年記念日に「憲法9条の解釈変更」を内閣で議決します。「日本と密接な関係の他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされて明白な危険がある場合」に武力を使用できるという内容です。攻撃型武力を使用するきっかけが生じたということです。「密接な関係の他国」がどこか、「明白な危険」が何かは日本の解釈しだいですから。安倍首相はこれに関連したいくつかの法と条約をすべて整備して岸の墓参りをしました。「報告」したと自ら話しました。
5.安倍首相のこうした保守の本性はわが国の利害と衝突します。それで安倍首相が2度目の執権をした2012年末以降、両国関係は悪化の一途をたどりました(安倍首相が最初に執権した2006年は期間も短く政治色も強くなかった)。問題は安倍首相のこうした政治色と戦略が「最長寿首相」を可能にしたという点です。すなわち、日本国内で世論の支持を得るだけでなく、国際政治的に米国の支持を受けます。安倍首相が再武装の道を開くことができたのは新冷戦時代が始まったからです。米国が中国の挑戦に正面から対応する新冷戦です。第2次世界大戦直後の米国とソ連の冷戦のおかげで岸が生きたのに続き、21世紀の新冷戦のおかげで安倍首相が祖父の遺志を完成したということです。
6.安倍首相式の再武装と同盟強化は相対的に韓国の疎外を招きます。安倍首相は米国に代わってアジア太平洋の前線を担う新冷戦主導国であることを自負しています。中国を大陸にとどめておく先鋒です。ここで北朝鮮は中国の代わりに挑発する可能性がある前進基地、韓国は信頼できないパートナーとなります。それで安倍首相は文在寅(ムン・ジェイン)政権とは相性が合いません。両政権ともに民族主義的な性格が強いので歴史めぐる和解が難しくなります。さらに外交安保哲学でも中国と北朝鮮を見る目が正反対です。
7.その安倍首相が退くことになったので、文在寅政権は日本との関係改善のきっかけにしなければいけません。容易なことではありません。安倍首相は日本国内の保守世論と新冷戦という国際情勢の変化を背負っていたからです。それでも後任の首相は安倍首相のように強硬派ではないでしょう。今から準備して先に手を差し出さなければいけません。失われた20年といわれますが、日本はまだ経済大国です。経済から解決すればよいはずです。歴史は最後に解決しても…。
オ・ビョンサン記者
2.病気で退く安倍首相には申し訳ないことですが、我々には良い機会です。日本との外交関係を改善できる糸口になるかもしれないからです。安倍首相は実際、わが国には最悪の首相でした。安倍首相は日本の正統保守の貴公子出身です。安倍首相は母方の祖父の膝で政治を学びました。母方の祖父の岸信介は当時の首相でした。岸は第2次世界大戦当時に満州国を作り、米国との戦争に署名したA級戦犯です。岸が死刑を免れたのは、米国がソ連との冷戦のため日本を同盟に育てたからです。岸は1960年に米国との安全保障条約に署名した首相です。米国との同盟を通じた日本の影響力拡大を冷戦時代の生きる道と確信した現代日本政治の大物です。安倍首相は日米安保条約を「不滅の柱」と絶賛しました。
3.安倍首相は祖父の夢を引き継ぎました。米国との同盟をさらに強化し、日本の影響力をさらに強化する道です。具体的に日本の再武装を事実上実現させました。日本は第2次世界大戦の敗戦国として独自の軍事力を持ってはいけません。米国が占領当時に作った「平和憲法9条」に刻んでおきました。米国が武力を許容したのは韓国戦争(朝鮮戦争)のためです。当時認めた警察が今日の自衛隊につながりました。自衛隊という言葉も「防御だけをする」という意味です。
4.自衛隊を事実上攻撃までできる軍隊に変える改憲が安倍首相の念願事業でした。国内に反対の世論もありましたが国際的に問題が深刻であるため、改憲は8年間実現しませんでした。その代わり便法で成功しました。2014年の自衛隊創設60周年記念日に「憲法9条の解釈変更」を内閣で議決します。「日本と密接な関係の他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされて明白な危険がある場合」に武力を使用できるという内容です。攻撃型武力を使用するきっかけが生じたということです。「密接な関係の他国」がどこか、「明白な危険」が何かは日本の解釈しだいですから。安倍首相はこれに関連したいくつかの法と条約をすべて整備して岸の墓参りをしました。「報告」したと自ら話しました。
5.安倍首相のこうした保守の本性はわが国の利害と衝突します。それで安倍首相が2度目の執権をした2012年末以降、両国関係は悪化の一途をたどりました(安倍首相が最初に執権した2006年は期間も短く政治色も強くなかった)。問題は安倍首相のこうした政治色と戦略が「最長寿首相」を可能にしたという点です。すなわち、日本国内で世論の支持を得るだけでなく、国際政治的に米国の支持を受けます。安倍首相が再武装の道を開くことができたのは新冷戦時代が始まったからです。米国が中国の挑戦に正面から対応する新冷戦です。第2次世界大戦直後の米国とソ連の冷戦のおかげで岸が生きたのに続き、21世紀の新冷戦のおかげで安倍首相が祖父の遺志を完成したということです。
6.安倍首相式の再武装と同盟強化は相対的に韓国の疎外を招きます。安倍首相は米国に代わってアジア太平洋の前線を担う新冷戦主導国であることを自負しています。中国を大陸にとどめておく先鋒です。ここで北朝鮮は中国の代わりに挑発する可能性がある前進基地、韓国は信頼できないパートナーとなります。それで安倍首相は文在寅(ムン・ジェイン)政権とは相性が合いません。両政権ともに民族主義的な性格が強いので歴史めぐる和解が難しくなります。さらに外交安保哲学でも中国と北朝鮮を見る目が正反対です。
7.その安倍首相が退くことになったので、文在寅政権は日本との関係改善のきっかけにしなければいけません。容易なことではありません。安倍首相は日本国内の保守世論と新冷戦という国際情勢の変化を背負っていたからです。それでも後任の首相は安倍首相のように強硬派ではないでしょう。今から準備して先に手を差し出さなければいけません。失われた20年といわれますが、日本はまだ経済大国です。経済から解決すればよいはずです。歴史は最後に解決しても…。
オ・ビョンサン記者
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