ワールドカップ（Ｗ杯）を主催するＦＩＦＡは、国際サッカー連盟（Ｆｅｄｅｒａｔｉｏｎ　Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌｅ　ｄｅ　Ｆｏｏｔｂａｌｌ　Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ）の頭文字だ。

機構の名称がフランス語となっている。サッカーの宗主国は英国人だが、なぜサッカーを掌握する国際機構の名前は、英語ではないのだろう。

近代サッカーの歴史をひも解いてみると、サッカーのルールを完成させたのは英国だが、サッカーを世界的スポーツに育成し、発展させたのはフランスであることが分かる。


１９０２年、オランダサッカー協会会長はイングランドサッカー協会の主導の下で、サッカーを掌握する国際機構を作ろうとアイデアを出した。

しかし、イングランドの優越的地位を好ましく思わなかった、スコットランド、ウェールズ、アイルランドのサッカー協会のはっきりしない態度で、議論は進展しなかった。

その後、ボールはドーバー海峡を渡り、ヨーロッパ大陸に移った。１９０４年５月２１日、フランス体育会館でフランス、ベルギー、デンマーク、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイスのサッカー協会代表が集い、国際機構の設立に合意した。

フランスサッカー協会会長ロバート・ギャランの主導で、ＦＩＦＡを公式名称とする国際機構が設立され、本部をフランス体育会館内に置いた（１９３２年にスイスチューリッヒに移った）。

当時、英国の４つのサッカー協会はイングランドサッカー協会会長の反対で、創立総会にも参加しなかった。彼らはしばらくしてＦＩＦＡに加入した。

フランス出身のジュール・リメＦＩＦＡ３代会長は、国際サッカー大会を創設に向けて努力し、１９３０年ウルグアイで第１回Ｗ杯が開催され、彼の夢がかなった。７０年メキシコＷ杯まで使われた優勝カップが「ジュール・リメカップ」と名付けられたのは、彼の功労を称えるためであった。