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【コラム】苦しいアパート共和国=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
過去最長の梅雨とコロナに疲れた庶民に打撃を与えたのは「住宅価格戦争」だった。誰がどのように作ったのか把握できない金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官式の答案である賃貸借保護法と不動産関連税の引き上げ。金長官は住宅価格をついに抑えるかのように宣言したが、それがまたどんな禍根になるか恐れた市民は各自の計算に入った。いくら計算しても見えなかった。我が家の夢は可能なのだろうか。税金は驚くほど増えた。税理士に問い合わせしたところ「勉強中」という言葉が返ってきた。市民は悩みながら過ごし、金賢美師団は「神薬」を探して行軍中だ。我が家の準備に切歯腐心していた40代の頃を思い出した。それは悪夢だった。

韓国の40代はつらい。人生の壮大な夢と厳酷な現実が衝突する10年が人生の成敗を決める。「四十は不惑」と考えていれば、人生が失敗に終わったりもする。必ず越えなければならない誘惑の三峰は出世、教育、アパートだ。課長、次長、部長に向かって肉弾突進を敢行し、店の主は中型店舗、営業職は販売神話に挑戦する。その間、子どもはどんどん成長する。夫婦の時間は入試教育を中心に回る。子どもが大学に入っても一息つく間もない。アパートはどうか。

20年前にソウルに来た筆者は高徳洞(コドクトン)から鉢山洞(パルサンドン)まで、竹田(ジュクジョン)から葛ヒョン洞(カルヒョンドン)まで回ったが、我が家を確保できるところはなかった。結局、一山(イルサン)で機会を待つことになった。40代半ばを過ぎた年齢でソウルでの生活を始め、かなり遅くなった。伝貰(チョンセ、入居時に当該不動産売買価格の70-90%程度の高額の保証金を賃貸人に預託し、契約期間中は家賃などの賃借料を支払わない)金の融資を受けて家を確保するのは概して40代初め、ところが喜びもつかの間、そこで行軍をやめる人は馬鹿だ。大きなアパート、ブランドアパートへと2回ほど引っ越しをしてこそ財産・威信競争で遅れない。アパートは第2の年俸、いや年俸より力が強い。40代はニッチ戦略と投機で始まる。


3峰をかろうじて越えた40代は中産層に合流する。夫婦はしわが増える。羅勲児(ナ・フナ)の歌が胸に響く。「光化門(クァンファムン)から奉天洞(ボンチョンドン)まで/電車を2度乗り換えて/うとうとしながら家に帰る」。それでもマイホームならまだいい。「弘大(ホンデ)から双門洞(サンムンドン)まで/39の停留所/疲れ果てて家に帰る」。疲れてもマイホームならかまわない。ところが奉天洞も双門洞も住宅価格が上がった。ソウルのアパート平均価格は10億ウォン(約9000万円)、中位価格は8億ウォンにもなる。もう奉天洞から軍浦(クンポ)まで、双門洞から議政府(ウィジョンブ)まで行かなければいけない。子どもが結婚をすればまた負債が増える。小さな我が家を締めつける借金トンネルを抜け出すのは概して50代末、天命を分からず老後の準備に入る。50代は「債務との戦争」期間だ。

地方は状況が異なる。いくつかの広域市を除いて地方のアパート中位価格は2億ウォンにもならない。過去3年間、ソウルのアパート価格は平均3億ウォン上昇した半面、慶尚北道(キョンサンブクド)・慶尚南道(キョンサンナムド)・江原(カンウォン)・全羅北道(チョンラブクド)は下落した。値上がりしたとしても2000万-3000万ウォンにすぎず、投機どころか価格が維持されれば良い方だ。アパートは全国民を苦しめる不平等の元凶になった。「アパート共和国」(チョン・サンイン教授が命名)で階層を左右する最も確実な指標が不動産だ。ソウルと首都圏所在のマンション所有者は中産層になる確率が急上昇する。ニッチ戦略と運が重要だ。

地方の住民が相対的剥奪感に不安を抱く理由だ。10億ウォンのアパート資産家になったソウルの友人の声は決してうれしいものではない。3、4億ウォンのアパートで生活に余裕があるが、なぜか落伍者という思いが消えない。23回目の不動産対策の税金爆弾が地方住民の気持ちをなだめるかもしれないが、共に爆弾を浴びた。税金はソウルと地方を区別しない。賃貸人奨励の恩恵はすべて抹消され、不動産関連税金が暴騰した。税金爆弾が「住宅の正義」と「分配の正義」を同時に達成する唯一の方式だろうか。多住宅者所有の物件が出てくるだろうか。市場の反応は違った。伝貰金が暴騰し、伝貰物件も減少した。

「水害の時、新鮮食品価格が一斉に上がるのと同じ」という政策首席秘書官、住宅価格が安定傾向という大統領の言葉に希望を抱きたいが、政府の実力を信じる人は少ない。実力よりも負けん気が光る政府が今度は供給対策を出した。ソウルと首都圏に場所を見つけて26万戸を建設しようとすれば5年は十分にかかるだろう。その期間に庶民はこの不動産市場に適応するのに苦しむしかない。30代、40代には何の天罰だろうか。7月の家計の貸出が過去最高となった。さらに遅れる前に中産層に合流しようと苦闘する。税金は所有権の移動経路を狙う。これが左派の様式だ。税金爆弾が住宅分配にそれほど役に立たないというのはかなり以前に立証されている。総合不動産税の投下で意気揚揚だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はむしろ住宅価格の暴騰に苦しんだ。

税金経済学は政権交代の政治学だ。「増税政府」がする「住宅の正義」戦争に自滅の厄運がちらつく。住宅価格の上昇も、庶民の苦難の行軍も、終わる兆しが見えない。ああ、苦しいアパート共和国よ。

宋虎根(ソン・ホグン)/中央日報コラムニスト/POSTEC客員教授



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