サムスン電子の李在鎔（イ・ジェヨン）副会長の起訴をめぐる決定が今月中に決まる見通しだ。大検察庁（最高検）捜査審議委員会で「捜査中断と不起訴」に意見が集まっただけに、一部では起訴猶予処分が出る可能性もあるとの観測も出ている。

◇「起訴対起訴猶予など」、選択肢は

１年８カ月間続いたサムスン経営権不正継承疑惑事件を捜査してきたソウル中央地検経済犯罪刑事部内では李副会長を起訴すべきという意見が優勢だという。


しかし審議委員会の専門家らが１０対３という圧倒的な票差で李副会長の手を挙げた点は少なくない負担だ。これに先立ち裁判所は李副会長に対する拘束令状を棄却し、市民委員会は李副会長を起訴するかどうかを専門家が確かめるべきと審議委員会に案件を回付したりもした。

捜査チームは審議委員会の決定に従う義務はないが、これに先立ち進められた８回の審議委員会の決定にはすべて従った。

これに対し一部では起訴猶予処分の可能性が議論される。検事が該当事件に対し容疑があると判断しながらも被疑者の性格、環境などを考慮し公訴を提起しない形態だ。事実上の不起訴だが無罪ではないとの意が込められた形だ。法曹界では「捜査を中断しながら同時に捜査を再開することもできる折衷案」との評価が出ている。

しかし検察は「李副会長に対し起訴猶予処分で暫定結論を下した」という一部報道に対し、「事実でない」と反論した。その後参与連帯など市民団体と「共に民主党」のパク・ヨンジン議員が李副会長に対する起訴を促したりもした。

◇８月の部長検事人事前に結論か

これに対し法曹界と財界では検察が自分たちの便宜に沿って制度を利用するという批判を受けないようにするには今回も審議委員会の勧告に従うべきとの指摘が出ている。検察もやはり組織改革次元で自ら作った制度を否定すれば批判世論が高くなりかねなという点を意識し長考を繰り返している。

このため捜査チームは先月から経済学者など専門家らを呼んで起訴に関する意見を聞いているという。検察は１年８カ月にわたりサムスン経営陣３０人余りを１００回以上召喚調査し、５０回以上家宅捜索をした。

捜査の最終結論が遅れたのは尹錫悦（ユン・ソクヨル）検事総長と李盛潤（イ・ソンユン）ソウル中央地検長の対面報告による週間定例会議が先月１日から今月６日まで６週にわたり書面で代替されたことも影響を及ぼしたという話も出ている。週間会議は毎週水曜日午後に大検察庁で開かれるが状況によってしばしば書面で代替される。

事件指揮ラインにあったシン・ソンシク第３検事補が検事長昇進人事を控えていたという点も言及される。主要人事を控えた検事補の立場ではどちらであれ批判世論に直面しかねない事件処理が負担になったかもしれないという判断からだ。彼は７日の人事で最高検察庁反腐敗・強力部長（検事長）に昇進した。

検察は部長検事人事が予想される今月末までに事件を終結すると予想される。該当事件捜査のため１年半以上にわたり中央地検に残留してきたイ・ボクヒョン経済犯罪刑事部長の人事異動の可能性が大きいだけに、それまでに李副会長らに対する起訴の可否が決定されるという観測のためだ。サムスン事件捜査チームと最高検察庁は継続して緊密に意見を調整しているという。

今回の事件の処理結果は強要未遂疑惑事件処理にも影響を及ぼす「先例」となる見通しだ。審議委員会はハン・ドンフン検事長に対しても「捜査中団・不起訴」の意見を出した。