昨年2月に南漢江で行われた訓練で在韓米軍陸軍工兵隊員が川を渡るため浮き桟橋を設置している。[写真 米陸軍]
米陸軍シンクタンクの陸軍戦略大学(AWC)付設戦略問題研究所(SSI)が17日に出した「陸軍の変貌:米インド太平洋司令部の超競争と米陸軍戦区の設計」と題する報告書の主要内容だ。
この報告書は2018年当時陸軍長官だったエスパー国防長官の指示で作られた。もちろん米国防総省が報告書を根拠にただちに在韓米軍の規模と性格に変化を与える可能性は低い。
しかし最近米国が在韓米軍縮小を考慮している背景に韓米防衛費分担金特別協定(SMA)で韓国の増額を圧迫する交渉用カードを超え、インド太平洋地域で中国を相手にする戦略を再設計する必要性があるということを報告書が示していると評価される。
報告書は、中国が軍事だけでなく政治、経済、外交力を拡大してインド太平洋地域を掌握するだろうと警告し、「こうした状況で米国の失敗や敗北が必然的なものではないがあり得ること」と懸念する。その上で「米国の決断力ある行動がなければこうした傾向が続くだろう」として具体的な政策対案を提示した。
報告書は「物理的に米国の領域内地域的態勢は北東アジアに集中しており、これは2度目の朝鮮戦争を効率的に行うための配置」と指摘した。こうした配置が中国との競争に有利ではないという意味だ。在韓米軍は2万8500人で、このうち米本土から循環配備される戦闘旅団を中心にした地上軍兵力は2万人水準だ。海軍・空軍中心の在日米軍5万5000人のうち陸軍は2500人だ。在韓米軍と在日米軍の陸軍が米太平洋陸軍の核心だ。
「少数の基地に米軍を集中的に配置するのは費用の側面では効率的だが戦略的には無責任だ」ともした。その理由として、「ハワイを除いた地域の米軍は中国の在来式弾道ミサイルと巡航ミサイルなどの射程圏内にあるため」と説明した。
報告書はその上で、「さらに広く分散した配置がもっと持続的で弾力的であり、海外作戦遂行能力に役立つ」と代案を提示した。日本、東南アジア、グアムなど米領太平洋諸島に米軍をもっと多く分散配備するよう勧告した。
報告書はまた、韓国にもっと大きな防衛分担を要求しながらも、米国のインド太平洋戦略で韓国の位置付けに対しては留保的に評価した。
報告書は「韓国が在来式地上防衛にもっと大きな責任を持つだろう。戦時作戦権転換と韓国軍近代化で進展を得ながら韓国の自信が高まるもので、大規模地上戦闘で米軍兵力の需要は実質的に減るだろう」とも予想する。
北朝鮮と関連し、報告書は在来式戦力が減少するが、代わりに核や生化学など大量破壊兵器(WMD)の実戦配備が続くので北朝鮮は依然として米国の戦略的懸念事項だとみた。北朝鮮はこうした能力を米国と韓国、日本に強要できるレバレッジとして使うだろうと付け加えた。
報告書は米国のインド太平洋地域核心パートナーとして韓国と日本、オーストラリア、フィリピン、シンガポール、台湾を挙げた。また、米国の対中戦略に対する韓国の役割と関連しては相当な潜在力があると評価した。
だが懸念事項も盛り込んだ。「韓米の安保協力関係は韓半島(朝鮮半島)の戦略的・運用的状況が変わるならばある程度用途が変更する可能性がある。韓半島安保に対する集中、中国との近接性と政治・軍事・経済的影響力、日本との緊張悪化のため韓米軍事戦略を包括的に転換するのに障害になっている」と分析した。
韓国は北朝鮮にだけ神経を使い中国と近いため、米国のインド太平洋戦略に積極的に参加しないだろうと予想する。
研究陣は報告書に提示された観点が米政府の公式的立場を反映するものではないと強調した。しかしエスパー長官は21日、「在韓米軍縮小関連指示を与えたことはない」としながらも「全世界の米軍兵力最適化に向けた検討を継続している」と話した。米国政府が報告書の内容を将来現実化する可能性があるという意味だ。
この記事を読んで…