北極圏地域で地対空ミサイル発射訓練中のロシア軍[写真 ロシア国防部]
グリーンランドにある米チューレ空軍基地の核心施設である弾道ミサイル早期警報レーダー[写真 米空軍]
◇中国、北極圏に軍事基地の野心も
一帯一路政策を通じ東南アジア、西南アジア、そしてアフリカまで進出した中国は北極圏まで手を伸ばしている。中国は氷上シルクロードまたは北極シルクロードと呼んでいる北極航路を通って欧州に出て行こうとしている。
中国は2018年に北極圏政策を盛り込んだ白書を発表し進出努力を強化している。中国はアイスランドとノルウェー一帯に砕氷船を送り、民間研究基地を建設して平和的利用を主張しているが、米国は軍事的利用につながるとみている。
中国はグリーンランドにも進出しようとした。2016年に中国企業がグリーンランドの旧米軍基地を買い入れようとしたが、デンマーク政府が介入して取引を中止させた。2018年には中国国営企業が新たな空港を建設するための優先交渉者に選ばれた。単純に空港建設のほか運営権まで獲得する契約だったことから米国とデンマーク政府が懸念を示し、デンマーク政府の財政支援を受けることにして他の企業と契約を結んだ。
◇中国の北極海進出ルート「東海」
北極に隣接したロシアと米国と違い中国は隣接していない。だが自国を北極圏近接国と呼んでおり、北極圏諸国の協議体である北極評議会にオブザーバーとして参加している。中国が北極圏で活動を増やすことになれば、必然的に東海(日本名・日本海)を経なければならない。
中国が単純に貨物船の通行だけするとみるのは難しい。少なくとも巡航訓練に向けた小規模艦隊で、多ければロシアと合同演習に向けた大規模艦隊まで東海を出入りするだろう。これは東シナ海と南シナ海一帯で起きた米中間の衝突が東海にまで拡大する可能性があるということを意味する。
中国の東海進出は韓国の防空識別圏を無視してきた行動に見るように軍事的緊張が高まることは明らかだ。軍の役割は未来の可能な紛争を予想し備えることにもある。こうした未来の脅威にどのように対応するのか計画が立っていることを願う。
チェ・ヒョンホ/軍事コラムニスト、ミリドム代表
中国は旧米軍基地も狙う…北極で熱くなる新冷戦(1)
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