河野太郎防衛相[河野太郎氏ツイッター]
「金正恩委員長の状態に関連して重大な情報があるのかを確認するために訪問しました。ひょっとして何か知っている内容があるのか答えてください」。
ベテランの対北朝鮮情報関係者L氏は先月中旬、ソウルに来た日本情報当局の知人と会った。日本側の関心事は金正恩委員長の健康に関する内容だった。あたかも、何か重大な機密情報を入手し、これを確認しようと訪韓したようだった。L氏は「衛星を通じた断片的ではあるが決定的な諜報の意味を把握し、『認められた情報』(事実関係が確認されたという意味)にしようという意図が感知された」と語った。日本がソウルで活動する要員のほか、複数の対北朝鮮情報関係者を東京から直派したのも尋常でない雰囲気を感じさせたという。
◆河野防衛相「金正恩氏の健康状態疑われる」
今年6月25日、河野太郎防衛相は金正恩委員長の健康状態について「疑われる」と述べた。日本外国特派員協会(FCCJ)の招請記者会見でだ。新型コロナウイルスのためか金正恩委員長の健康に問題があり得ると述べた河野防衛相は、記者の追加の質問に対し「情報事案を論じるのは許されていない」として言葉を控えた。しかし韓国のベテラン対北朝鮮情報関係者は河野防衛相のこうした発言について「聞き流すには引っかかる」と評価した。何よりも内閣情報調査室など日本の情報担当部署を中心に金正恩委員長の健康に関する諜報収集活動が増えた直後に河野防衛相の発言が出てきたという点でだ。わずか2カ月前に金正恩委員長の健康不安説が過ぎ去ったが、再び言及した河野防衛相の発言の背景をめぐりさまざまな観測が出てきた。
金正恩委員長関連のソウル発諜報に特別の関心を見せるのは日本だけでない。中国・台湾・モンゴルなどが活発な情報収集をしているというのが、韓国防諜担当者の話だ。ある関係者は「中国の場合、中朝親善関係に基づいて情報交流が行われ、北を広々と眺めていると考えることかもしれないが、現実とは差がある」と語った。最高指導者の健康や権力核心の動向など敏感な情報は「取引」対象でないということだ。元幹部は「中朝間には通知制度というシステムがあり、大半の情報は相手側に知らせる」とし「このためお互い平壌(ピョンヤン)と北京を舞台で情報戦をすることはほとんどない」と述べた。2011年の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去当時、韓国が中国側に迅速に関連情報を伝え、これに対し中国情報当局が謝意を表したということだ。台湾の場合、軍情報機関が迅速かつ正確に処理するという点で、国際情報機関の間では「忍者のように仕事をこなす」という評価を受ける。モンゴルの場合もソウルを舞台で北朝鮮関連情報収集に注力し、最近は注目されているという。
河野防衛相の「金正恩氏の健康疑われる」発言 なぜ?(2)
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