今年大学に入った二男は名実ともに引きこもりだ。一日中家でインターネット講義を聞き、ゲームをしたり携帯電話でを遊ぶ。キャンパスはコンピュータの中の画面で経験する。時々犬の散歩をするのがせめてもの外出だ。勉強はそうだとしても大学の新入生なのに遊ぶ楽しさも合コンのときめきも知らないようだ。2020年コロナ入学生は不運な世代だ。
世代名は世相の反映だ。IMF世代、88万ウォン世代、N放世代のように若年層を中心に時代の痛みとつらさを込めて表現するケースが多い。最近では断然「コロナ世代」だ。厳密な定義があるものではないが、概ね新型コロナウイルスの余波で就職難を体験する1990年代生まれを指す。多くのことをあきらめたというN放世代に新型コロナが加わった悲しい名称だ。
世代名から忘れてならないのが「ロストジェネレーション」だ。「失われた世代」「喪失の世代」などと訳されるロストジェネレーションは、第1次世界大戦直後に人生の方向感覚を喪失した若い世代を称する。小説家のアーネスト・ヘミングウェイ(1899~1961)、F.スコット・フィッツジェラルド(1896~1940)はロストジェネレーションの絶望と虚無を文学に反映した代表的作家に挙げられる。パリ社交界の大物ガートルード・スタイン(1874~1946)が「ロストジェネレーション」という名前を初めて使ったものと知られているが、より正確には自動車整備所の主人がした話だったという。スタインの自動車修理を引き受けた整備工の不誠実な態度に腹が立った主人が吐き出した言葉をスタインが聞き、悪くない表現のようだと考え使い始めたという。(キム・ウクドン『ヘミングウェイのために』)。
要するにロストジェネレーションは絶望と虚無、社会に対する不平と不満の中で進む道を見つけられない世代と言えるが、いま韓国のコロナ世代はロストジェネレーションとも境遇が似ているように見える。何よりその土台にはアルバイトさえ見つけるのが難しい就職難がある。就職ポータルのインクルートが最近会員815人を対象に調査したところ、10人中9人は自身を「コロナ世代」と認識する。心配事の1位は就職(21.6%)、2位は失業・失職(12.9%)、3位は感染・伝染(12.2%)だ。10日に発表された統計庁の雇用動向によると青年の体感失業率は26.3%で、この5年で最高水準だ。
雇用はだれにでも大切だが、青年層の雇用はどの年齢層より重要だ。青年層自身の生活のためだけでなく、韓国社会の未来を引っ張っていく世代であるためだ。もちろん政府も青年雇用を強調する。政府の第3次追加補正予算の中には青年雇用と人材養成、住宅支援などに2兆ウォンを投じるという内容が盛り込まれている。そうして青年層雇用22万1000件を作るという計画だ。地方自治体も動く。ソウル市や釜山市(プサンシ)などほとんどすべての自治体がコロナ追加補正予算に青年雇用対策を盛り込んでいる。ソウル市の2兆2390億ウォン規模の第3次追加補正予算案には青年失業解決に向け6000件の文化芸術・デジタル基盤雇用を作るという内容が含まれている。
青年雇用はきのうきょうの問題でない。文在寅(ムン・ジェイン)政権になって出したものだけでも数十種類だ。だが問題は相変わらずで実効性には疑問が提起される。政府主導の雇用はいわゆる「ティッシュインターン」を量産する短期雇用中心だ。雇用のミスマッチも引き続き提起されている。政府対策も散発的だ。だから青年庁を設立しようという法案まで出ている。未来統合党の洪文杓(ホン・ムンピョ)議員は最近政府各官庁に散らばっている青年政策を総括する青年庁の新設を骨子とする政府組織法改正案を発議した。
コロナ時代の青年雇用問題はいつになく深刻だ。韓国開発研究院がこのほど出した報告書「青年雇用の現況と政策提言」を見ると、労働市場進入段階にある青年の場合、コロナ危機による影響がどの年齢帯よりも長引き、賃金損失やキャリア喪失も相当だと予想する。
青年が望むのは未来を夢見ることができるしっかりとした雇用とこれに向けた教育だ。このためには良質の雇用を提供できる企業がなければならない。だから青年雇用対策は他の面から見れば競争力のある企業育成策でなければならない。だがこの政府が企業育成と競争力強化にどれだけ熱心なのか疑問だ。文在寅大統領は雇用委員長でもある。文委員長は「雇用が成長であり、福祉であり、幸せな暮らしの始まり」と話す。韓国の青年はいま幸せな暮らしを始めることもできず、自身をIMF世代よりさらに不幸なコロナ世代だと自嘲する。青年層に向けた細心で強力な対策が必要だ。彼らが道に迷ってさまようようにしてはならない。
ヨム・テジョン/政策副ディレクター
世代名は世相の反映だ。IMF世代、88万ウォン世代、N放世代のように若年層を中心に時代の痛みとつらさを込めて表現するケースが多い。最近では断然「コロナ世代」だ。厳密な定義があるものではないが、概ね新型コロナウイルスの余波で就職難を体験する1990年代生まれを指す。多くのことをあきらめたというN放世代に新型コロナが加わった悲しい名称だ。
世代名から忘れてならないのが「ロストジェネレーション」だ。「失われた世代」「喪失の世代」などと訳されるロストジェネレーションは、第1次世界大戦直後に人生の方向感覚を喪失した若い世代を称する。小説家のアーネスト・ヘミングウェイ(1899~1961)、F.スコット・フィッツジェラルド(1896~1940)はロストジェネレーションの絶望と虚無を文学に反映した代表的作家に挙げられる。パリ社交界の大物ガートルード・スタイン(1874~1946)が「ロストジェネレーション」という名前を初めて使ったものと知られているが、より正確には自動車整備所の主人がした話だったという。スタインの自動車修理を引き受けた整備工の不誠実な態度に腹が立った主人が吐き出した言葉をスタインが聞き、悪くない表現のようだと考え使い始めたという。(キム・ウクドン『ヘミングウェイのために』)。
要するにロストジェネレーションは絶望と虚無、社会に対する不平と不満の中で進む道を見つけられない世代と言えるが、いま韓国のコロナ世代はロストジェネレーションとも境遇が似ているように見える。何よりその土台にはアルバイトさえ見つけるのが難しい就職難がある。就職ポータルのインクルートが最近会員815人を対象に調査したところ、10人中9人は自身を「コロナ世代」と認識する。心配事の1位は就職(21.6%)、2位は失業・失職(12.9%)、3位は感染・伝染(12.2%)だ。10日に発表された統計庁の雇用動向によると青年の体感失業率は26.3%で、この5年で最高水準だ。
雇用はだれにでも大切だが、青年層の雇用はどの年齢層より重要だ。青年層自身の生活のためだけでなく、韓国社会の未来を引っ張っていく世代であるためだ。もちろん政府も青年雇用を強調する。政府の第3次追加補正予算の中には青年雇用と人材養成、住宅支援などに2兆ウォンを投じるという内容が盛り込まれている。そうして青年層雇用22万1000件を作るという計画だ。地方自治体も動く。ソウル市や釜山市(プサンシ)などほとんどすべての自治体がコロナ追加補正予算に青年雇用対策を盛り込んでいる。ソウル市の2兆2390億ウォン規模の第3次追加補正予算案には青年失業解決に向け6000件の文化芸術・デジタル基盤雇用を作るという内容が含まれている。
青年雇用はきのうきょうの問題でない。文在寅(ムン・ジェイン)政権になって出したものだけでも数十種類だ。だが問題は相変わらずで実効性には疑問が提起される。政府主導の雇用はいわゆる「ティッシュインターン」を量産する短期雇用中心だ。雇用のミスマッチも引き続き提起されている。政府対策も散発的だ。だから青年庁を設立しようという法案まで出ている。未来統合党の洪文杓(ホン・ムンピョ)議員は最近政府各官庁に散らばっている青年政策を総括する青年庁の新設を骨子とする政府組織法改正案を発議した。
コロナ時代の青年雇用問題はいつになく深刻だ。韓国開発研究院がこのほど出した報告書「青年雇用の現況と政策提言」を見ると、労働市場進入段階にある青年の場合、コロナ危機による影響がどの年齢帯よりも長引き、賃金損失やキャリア喪失も相当だと予想する。
青年が望むのは未来を夢見ることができるしっかりとした雇用とこれに向けた教育だ。このためには良質の雇用を提供できる企業がなければならない。だから青年雇用対策は他の面から見れば競争力のある企業育成策でなければならない。だがこの政府が企業育成と競争力強化にどれだけ熱心なのか疑問だ。文在寅大統領は雇用委員長でもある。文委員長は「雇用が成長であり、福祉であり、幸せな暮らしの始まり」と話す。韓国の青年はいま幸せな暮らしを始めることもできず、自身をIMF世代よりさらに不幸なコロナ世代だと自嘲する。青年層に向けた細心で強力な対策が必要だ。彼らが道に迷ってさまようようにしてはならない。
ヨム・テジョン/政策副ディレクター
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