人類は鉄を開発した後、絶えず軽い素材を求めてきた。鉄に続いてアルミニウムが出てきた。軽いが弱いため限界が多かった。この時に登場した炭素の活用は素材の革命だった。すべての物体の軽量化が可能だからだ。飛行機と船舶はもちろん、第4次産業革命の寵児に浮上したドローンの大衆化も炭素繊維なしには想像できない。炭素繊維がなければ第4次産業革命も遅滞するしかない。
このように重要な炭素製品で悔しい思いをする企業がある。世界最高の製品はいくらでも作り出すことができるが、国内市場が狭くて売り上げを増やせないからだ。大韓民国が世界的に締結した自由貿易協定(FTA)を生かして海外に目を向ければよいという声が出るかもしれない。だが、隣国の中国に輸出するのも難しい。韓中両国は2015年12月、市場を互いに開放するFTAを発効した。
悪魔は細部に宿る。農産物など争点品目に交渉が集中したため、炭素製品の関税はまともに議論されなかった。その結果、韓国の炭素繊維産業が危機を迎えた。製品開発と製造能力は優れているが、FTAのために成長が遮断されているという逆説だ。
こうした悩みを抱える韓国カーボンの趙文秀(チョ・ムンス)代表(62)に会った。日本と素材・部品・装備戦争をする国で企業が良い製品を生産しても売ることができなければ素材・部品・装備の独立は水の泡になるしかない。素材・部品・装備も日本企業のようにグローバル市場に出して販売できるほど市場が確保されてこそ持続的な成長が可能だ。市場が狭い国内の需要だけを眺めて成長できる素材・部品・装備製品はない。
--これほど重要な製品がなぜこのような状況になっているのか。
「韓中FTAを締結する時に穴が生じた。炭素繊維複合材の比率が小さいため、主な交渉対象に含まれなかった。FTA締結当時、輸出量が多くないため、韓国交渉団が中国に関税引き下げの要求をしなかった。その結果、炭素繊維製品の関税は17.5%にのぼる。売り上げのほぼ20%を関税として支払うということだ。中国に炭素繊維、関連中間素材、最終製品を輸出できなくなった背景だ」
--苦労して育てた産業ではないのか。
「炭素繊維産業は歴代政権が重点的に投資してきた。すぐ隣に中国という大きな市場が存在するからだ。そのような投資が水の泡になっている。国内で炭素繊維原材料はヒョソンと東レ先端素材がそれぞれ5000トンを生産する。韓国カーボンはこれを加工して中間素材プリプレグを作る。炭素繊維の国内需要は1000トンにすぎない。高い関税のために中国に売れば20%の損失が発生する」
--中国の生産力はどうか。
「中国は国内で生産を始めた。品質は劣る。ところがむしろ低価格を前に出して国内市場に進出している。関税さえ下がれば我々の製品にも競争力が生じる」
--今からでも関税を調整できないか。中国と交渉した通商交渉本部の失策ではないのか。
「当時、政府は先を見通すことができなかった。5年ごとに協議案を調整できるというので、次期交渉で調整されなければいけない。いま炭素製品の需要は爆発的に増えている。水素経済が本格化し、燃料電池自動車1台に炭素繊維50キロが入る。しかし1万台を生産しても炭素繊維の需要量は500トンにすぎない。輸出は不可避だ」
--素材・部品・装備は育成も難しいのでは。
「素材の開発は途中でほとんどが失敗する。10年で結果が出れば奇跡であり、15年かかっても非常にうまくいったと言える。韓国カーボンは炭素・ガラス繊維複合材製品を生産するのに独歩的な効率化技術も持っている。すでに数時間かかる生産方式から数分で生産できる工法(PCM)を開発している」
先端素材生産の韓国CEO「問題ある韓中FTAのためベトナムに行く」(2)
このように重要な炭素製品で悔しい思いをする企業がある。世界最高の製品はいくらでも作り出すことができるが、国内市場が狭くて売り上げを増やせないからだ。大韓民国が世界的に締結した自由貿易協定(FTA)を生かして海外に目を向ければよいという声が出るかもしれない。だが、隣国の中国に輸出するのも難しい。韓中両国は2015年12月、市場を互いに開放するFTAを発効した。
悪魔は細部に宿る。農産物など争点品目に交渉が集中したため、炭素製品の関税はまともに議論されなかった。その結果、韓国の炭素繊維産業が危機を迎えた。製品開発と製造能力は優れているが、FTAのために成長が遮断されているという逆説だ。
こうした悩みを抱える韓国カーボンの趙文秀(チョ・ムンス)代表(62)に会った。日本と素材・部品・装備戦争をする国で企業が良い製品を生産しても売ることができなければ素材・部品・装備の独立は水の泡になるしかない。素材・部品・装備も日本企業のようにグローバル市場に出して販売できるほど市場が確保されてこそ持続的な成長が可能だ。市場が狭い国内の需要だけを眺めて成長できる素材・部品・装備製品はない。
--これほど重要な製品がなぜこのような状況になっているのか。
「韓中FTAを締結する時に穴が生じた。炭素繊維複合材の比率が小さいため、主な交渉対象に含まれなかった。FTA締結当時、輸出量が多くないため、韓国交渉団が中国に関税引き下げの要求をしなかった。その結果、炭素繊維製品の関税は17.5%にのぼる。売り上げのほぼ20%を関税として支払うということだ。中国に炭素繊維、関連中間素材、最終製品を輸出できなくなった背景だ」
--苦労して育てた産業ではないのか。
「炭素繊維産業は歴代政権が重点的に投資してきた。すぐ隣に中国という大きな市場が存在するからだ。そのような投資が水の泡になっている。国内で炭素繊維原材料はヒョソンと東レ先端素材がそれぞれ5000トンを生産する。韓国カーボンはこれを加工して中間素材プリプレグを作る。炭素繊維の国内需要は1000トンにすぎない。高い関税のために中国に売れば20%の損失が発生する」
--中国の生産力はどうか。
「中国は国内で生産を始めた。品質は劣る。ところがむしろ低価格を前に出して国内市場に進出している。関税さえ下がれば我々の製品にも競争力が生じる」
--今からでも関税を調整できないか。中国と交渉した通商交渉本部の失策ではないのか。
「当時、政府は先を見通すことができなかった。5年ごとに協議案を調整できるというので、次期交渉で調整されなければいけない。いま炭素製品の需要は爆発的に増えている。水素経済が本格化し、燃料電池自動車1台に炭素繊維50キロが入る。しかし1万台を生産しても炭素繊維の需要量は500トンにすぎない。輸出は不可避だ」
--素材・部品・装備は育成も難しいのでは。
「素材の開発は途中でほとんどが失敗する。10年で結果が出れば奇跡であり、15年かかっても非常にうまくいったと言える。韓国カーボンは炭素・ガラス繊維複合材製品を生産するのに独歩的な効率化技術も持っている。すでに数時間かかる生産方式から数分で生産できる工法(PCM)を開発している」
先端素材生産の韓国CEO「問題ある韓中FTAのためベトナムに行く」(2)
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