国際政治分野は「強大国政治」という特徴を持つ。19世紀の近代国際政治を理解する効果的な接近法は、島国の英国が欧州大陸の国を相手に展開した勢力均衡政策を眺めることだ。20世紀後半の50年間の国際政治全般を理解するためには米国とソ連の関係を分析すればよい。現在の国際秩序を最もよく理解する方法は米中関係に目を向けることだ。100%の同意はできないとしても、このような世の中を我々はG2と呼ぶ。
コロナが多くのものを変えている。国際政治領域では強大国の利己心を刺激し、文明史的な共感と透明性を持つ国の間の連帯感がさらに強調されるだろう。結果的に「選別的関係」が強化される見通しだ。しかし筆者はコロナ事態だけで世の中の大きな変化が到来するという指摘には同意しない。
2008年のグローバル金融危機発生以降、その危機が概して解消されたように見えた2016年を前後に世界は大きな挑戦に直面し始めた。いわゆる国際自由主義秩序の危機をめぐる論争がそれだ。トランピズム(Trumpism、トランプ大統領の極端な主張に大衆が熱狂する現象)、ブレグジット(Brexit、英国の欧州連合離脱)、中国・日本の強大国利己主義、極端なグローバル化の後退のような現象がすでに出現し、コロナはいかなる形態であれこうした論争の中に吸収される可能性が高い。
◆韓国を引き込もうとする米中
問題の核心は、コロナが米中間の感情の溝をさらに深めているという事実だ。4月末に米非営利財団ピューリサーチセンターが実施した世論調査で米国人の反中感情は66%にのぼり、この調査で過去最高となった。韓国は米国と中国の影響力から抜け出すのが難しい立場であり、いかなる戦略的原則あるいは立場を取るべきかが大きな課題だ。
どの国も米国と中国のどちらか一つの国と対立することを望まないだろう。特に韓国は米中から非常に具体的なオプションの提示を受け、露骨に選択を強要されている。
米国を世界で唯一の同盟パートナーとする韓国の立場で、韓米同盟は生存的な意味を持つといっても過言でない。最近、米国政府が新しい経済協力体の経済繁栄ネットワーク(EPN)構想を出し、コロナ以降の「考えとマインド」を共有した国々の協力をすでに強調している。
中国は遠からず実現する習近平国家主席の韓国訪問をきっかけに韓中関係のアップグレードを要求することが確実視される。どの程度で要求するのか、韓国政府の応答がどの水準になるのかは予想しにくいが、韓国の外交的な立場をさらに難しくする状況が生じるのは自明だ。
しかもトランプ大統領は9月に延期された今年のG7(先進7カ国)会議に韓国を招く意向を表した。公式要請につながるにはいくつか峠があるだろうが、コロナが核心の話題となる今回のG7会議で、米国は新型コロナの責任問題を提起して中国を締めつけるグローバル連帯を図るだろう。米国には韓国をその中心軸に引き込もうという意図があるとみられる。特に韓国と共にG11参加国に挙げられたインドやオーストラリアが国際社会で占める地位と意味を考慮すると、米国の狙いはさらに鮮明になる。
韓国の地理的位置、経済資源現況、産業構造、文化的背景、北朝鮮問題などを考慮すると、米国と中国のうちどちらか一方を選択するのは不可能だ。とはいえ、特に答えがあるわけでもない。現時点で最も近い正答は外交領域で原則を定めることだ。民主主義・人権・平和・繁栄・正義・気候変動のような価値志向的な原則を先に決めることが求められる。利益を規定し、作業はその次に進めるのが順序だ。
【コラム】米中衝突と韓国の選択…確固たる外交原則を(2)
コロナが多くのものを変えている。国際政治領域では強大国の利己心を刺激し、文明史的な共感と透明性を持つ国の間の連帯感がさらに強調されるだろう。結果的に「選別的関係」が強化される見通しだ。しかし筆者はコロナ事態だけで世の中の大きな変化が到来するという指摘には同意しない。
2008年のグローバル金融危機発生以降、その危機が概して解消されたように見えた2016年を前後に世界は大きな挑戦に直面し始めた。いわゆる国際自由主義秩序の危機をめぐる論争がそれだ。トランピズム(Trumpism、トランプ大統領の極端な主張に大衆が熱狂する現象)、ブレグジット(Brexit、英国の欧州連合離脱)、中国・日本の強大国利己主義、極端なグローバル化の後退のような現象がすでに出現し、コロナはいかなる形態であれこうした論争の中に吸収される可能性が高い。
◆韓国を引き込もうとする米中
問題の核心は、コロナが米中間の感情の溝をさらに深めているという事実だ。4月末に米非営利財団ピューリサーチセンターが実施した世論調査で米国人の反中感情は66%にのぼり、この調査で過去最高となった。韓国は米国と中国の影響力から抜け出すのが難しい立場であり、いかなる戦略的原則あるいは立場を取るべきかが大きな課題だ。
どの国も米国と中国のどちらか一つの国と対立することを望まないだろう。特に韓国は米中から非常に具体的なオプションの提示を受け、露骨に選択を強要されている。
米国を世界で唯一の同盟パートナーとする韓国の立場で、韓米同盟は生存的な意味を持つといっても過言でない。最近、米国政府が新しい経済協力体の経済繁栄ネットワーク(EPN)構想を出し、コロナ以降の「考えとマインド」を共有した国々の協力をすでに強調している。
中国は遠からず実現する習近平国家主席の韓国訪問をきっかけに韓中関係のアップグレードを要求することが確実視される。どの程度で要求するのか、韓国政府の応答がどの水準になるのかは予想しにくいが、韓国の外交的な立場をさらに難しくする状況が生じるのは自明だ。
しかもトランプ大統領は9月に延期された今年のG7(先進7カ国)会議に韓国を招く意向を表した。公式要請につながるにはいくつか峠があるだろうが、コロナが核心の話題となる今回のG7会議で、米国は新型コロナの責任問題を提起して中国を締めつけるグローバル連帯を図るだろう。米国には韓国をその中心軸に引き込もうという意図があるとみられる。特に韓国と共にG11参加国に挙げられたインドやオーストラリアが国際社会で占める地位と意味を考慮すると、米国の狙いはさらに鮮明になる。
韓国の地理的位置、経済資源現況、産業構造、文化的背景、北朝鮮問題などを考慮すると、米国と中国のうちどちらか一方を選択するのは不可能だ。とはいえ、特に答えがあるわけでもない。現時点で最も近い正答は外交領域で原則を定めることだ。民主主義・人権・平和・繁栄・正義・気候変動のような価値志向的な原則を先に決めることが求められる。利益を規定し、作業はその次に進めるのが順序だ。
【コラム】米中衝突と韓国の選択…確固たる外交原則を(2)
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