「まだ量子コンピューターを使っていなければ、あなた企業は今後の競争で劣勢になるしかない」。
世界的な情報技術(IT)企業IBMの量子コンピューター事業を率いるロバート・シューター・クオンタム総括副社長は27日、「ストロングコリアフォーラム2020」で演説し、「量子コンピューターを使用すれば幾何級数的に増えるデータ演算をスーパーコンピューターよりはるかに速くできる」と述べ、このように明らかにした。
科学技術情報通信部と韓国経済新聞社が毎年共同主催するこのフォーラムは今年、「壁を越える科学技術:量子コンピューターと数学」をテーマに京畿道高陽市(キョンギ・コヤンシ)ビッマル放送支援センターで開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「社会的距離」を考慮し、無観客ユーチューブ生中継で進行された。
シューター副社長は「0と1が固定されたビット(bit)で動く現在の(スーパー)コンピューターとは違い、量子コンピューターは0と1を踊るように行き来するキュービット(quantum bit)で作動する」とし「5年後には量子コンピューターがスーパーコンピューターを超える」と予想した。半導体、化学、フィンテック(金融技術)、新素材、自動車、航空宇宙など全産業で量子コンピューターが活躍するという説明だ。シューター副社長は「電気自動車、燃料電池自動車など未来型自動車に使用されるバッテリーも量子コンピューターで効率を100倍以上高めることができる」とし「量子コンピューターが(スーパーコンピューターを超える)段階になるためには数学的な知識がさらに多く蓄積されなければいけない」と述べた。
次に演説をしたグナー・カールソン米スタンフォード大教授は「純粋数学と応用数学を区別するのは非効率的」とし「境界を崩さなければいけない」と強調した。カールソン教授は世界経済フォーラム(WEF)が「次世代グーグル」として注目するスタートアップ、アヤスディの創業者だ。世間とかけ離れた純粋数学分野と見なされた位相数学を使って、糖尿病、がん、脳疾患など難治性疾病の診断技術などを世界で初めて開発した。
この日のフォーラムは最大同時接続者が922人、アップロードされた動画の累積接続者が6000人(午後6時基準)にのぼるほど盛況だった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はストロングコリアフォーラムに送った祝辞で「量子コンピューターと数学は我々を新しい時代で案内する核心技術と学問」とし「よりいっそう優れた想像力でポストコロナ時代を準備しよう」と述べた。
「IBMが量子コンピューターを開発する理由は企業をサポートするためです。企業が大量のデータの中で最適な結果を見つけるためには量子コンピューターの演算能力が必要です」。
ロバート・シューターIBMクオンタム総括副社長は27日に開かれた「ストロングコリアフォーラム2020」の基調演説でこのように述べた。今年のフォーラムは新型コロナの感染拡大を防ぐための社会的距離を考慮し、オンラインフォーラムで進行された。シューター副社長は米ニューヨークから遠隔でフォーラムに参加した。
シューター副社長はIBMで37年間勤務し、医療、保険、石油およびガス、流通、農業など産業の全方向にわたり機械学習(マシンラーニング)と最適化サービスを提供してきた数学者だ。2016年からIBM量子コンピューター事業を総括している。クラウド基盤の汎用量子コンピューターサービスを世界で初めて公開した。
◆「量子コンピューターで新素材・金融など改善」
量子コンピューターとは、自然に存在する量子力学の原理を適用した新概念コンピューターをいう。ビット(0または1)単位で計算する従来のコンピューターとは違い、キュービット単位(0でありながら1)を利用して情報処理速度を画期的に高めることができる。量子コンピューターの開発にはIBMをはじめ、マイクロソフト、グーグル、インテル、サムスン電子などグローバル情報技術(IT)企業が「ゲームチェンジャー」を狙って参入している。
シューター副社長は「自然を巨大なコンピューターと見るなら、自然の原理に基づく量子コンピューターは我々が直面した大きな問題を解決するのに大きく役立つ」と強調した。量子コンピューターで改善できる主な分野に新素材、金融、マシンラーニングなどを挙げた。シューター副社長は「現在、メルセデスベンツ、三菱ケミカルなどと共にリチウムイオンバッテリーを改善するために協力している」とし「電池の化学的反応を量子コンピューターでモデリングして実現すれば、効率が高い電池を作ることができる」と説明した。
金融分野でもリスク分析、オプション価格策定などに量子コンピューターを活用中だ。IBMは昨年、JPモルガンと「量子コンピューターを活用したオプション価格決定」論文を発表した。バークレイズとは有価証券市場での価値最適化技法を研究した。
シューター副社長は「人工知能(AI)の核心であるマシンラーニングは数学演算をどれほど速くするかがカギ」とし「量子コンピューターの属性を活用し、多くのデータの中からパターンをより速やかに見つけることができる」と述べた。
◆「5分あればIBM量子コンピューターを使用できる」
シューター副社長はIBMが量子コンピューター産業に参入したことについて「企業の発展をサポートするため」と断言した。量子コンピューターの性能改善に劣らず、実質的な適用事例(use case)が出てくるよう努力している。このために量子コンピューター開発ネットワークを構築した。現在、サムスン電子をはじめJPモルガン、エクソンモービル、ダイムラー、アクセンチュア、ゴールドマンサックスなど11の戦略的協業企業とスタートアップ、大学、研究所など約100カ所と「IBM Q(クオンタム)ネットワーク」を結成した。サービス4周年を記念して先月開かれた「IBMクオンタムチャレンジ」には、世界45カ国の1745人が量子コンピューターを活用した問題解決競争に参加した。
シューター副社長は「多くの人が量子コンピューターを使用できるようにこの行事を開催した」とし「実際、5分あれば誰でもIBMクラウドで量子コンピューターを使用できる」と述べた。続いて「未来の時代の企業と組織が成功するためには、より多くの人に量子コンピューティングを知らせて教えなければいけない」と強調した。
基調演説の後、韓国国内の量子コンピューター生態系構築を指揮するイ・ジュングKAIST(韓国科学技術院)AI量子コンピューティングITRC(大学情報通信技術研究センター)センター長が対談をした。イ氏は量子コンピューターが従来のコンピューターの「頂点」といえるスーパーコンピューターの性能をいつ超えるのかと質問した。シューター副社長は「ハードウェアがどれほど発展するかによって変わるだろうが、楽観的にみて2025年ごろにはスーパーコンピューターを超えるとみている」と答えた。IBMは2016年に5個のキュービットで始め、現在50個以上のキュービットを使っている。シューター副社長は「キュービットが一つ増えれば一度に処理できる演算の量が自乗数に増える」とし「300個以上キュービットが入れば観察可能な宇宙のすべての原子より多い数を演算できる」と説明した。
世界的な情報技術(IT)企業IBMの量子コンピューター事業を率いるロバート・シューター・クオンタム総括副社長は27日、「ストロングコリアフォーラム2020」で演説し、「量子コンピューターを使用すれば幾何級数的に増えるデータ演算をスーパーコンピューターよりはるかに速くできる」と述べ、このように明らかにした。
科学技術情報通信部と韓国経済新聞社が毎年共同主催するこのフォーラムは今年、「壁を越える科学技術:量子コンピューターと数学」をテーマに京畿道高陽市(キョンギ・コヤンシ)ビッマル放送支援センターで開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「社会的距離」を考慮し、無観客ユーチューブ生中継で進行された。
シューター副社長は「0と1が固定されたビット(bit)で動く現在の(スーパー)コンピューターとは違い、量子コンピューターは0と1を踊るように行き来するキュービット(quantum bit)で作動する」とし「5年後には量子コンピューターがスーパーコンピューターを超える」と予想した。半導体、化学、フィンテック(金融技術)、新素材、自動車、航空宇宙など全産業で量子コンピューターが活躍するという説明だ。シューター副社長は「電気自動車、燃料電池自動車など未来型自動車に使用されるバッテリーも量子コンピューターで効率を100倍以上高めることができる」とし「量子コンピューターが(スーパーコンピューターを超える)段階になるためには数学的な知識がさらに多く蓄積されなければいけない」と述べた。
次に演説をしたグナー・カールソン米スタンフォード大教授は「純粋数学と応用数学を区別するのは非効率的」とし「境界を崩さなければいけない」と強調した。カールソン教授は世界経済フォーラム(WEF)が「次世代グーグル」として注目するスタートアップ、アヤスディの創業者だ。世間とかけ離れた純粋数学分野と見なされた位相数学を使って、糖尿病、がん、脳疾患など難治性疾病の診断技術などを世界で初めて開発した。
この日のフォーラムは最大同時接続者が922人、アップロードされた動画の累積接続者が6000人(午後6時基準)にのぼるほど盛況だった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はストロングコリアフォーラムに送った祝辞で「量子コンピューターと数学は我々を新しい時代で案内する核心技術と学問」とし「よりいっそう優れた想像力でポストコロナ時代を準備しよう」と述べた。
「IBMが量子コンピューターを開発する理由は企業をサポートするためです。企業が大量のデータの中で最適な結果を見つけるためには量子コンピューターの演算能力が必要です」。
ロバート・シューターIBMクオンタム総括副社長は27日に開かれた「ストロングコリアフォーラム2020」の基調演説でこのように述べた。今年のフォーラムは新型コロナの感染拡大を防ぐための社会的距離を考慮し、オンラインフォーラムで進行された。シューター副社長は米ニューヨークから遠隔でフォーラムに参加した。
シューター副社長はIBMで37年間勤務し、医療、保険、石油およびガス、流通、農業など産業の全方向にわたり機械学習(マシンラーニング)と最適化サービスを提供してきた数学者だ。2016年からIBM量子コンピューター事業を総括している。クラウド基盤の汎用量子コンピューターサービスを世界で初めて公開した。
◆「量子コンピューターで新素材・金融など改善」
量子コンピューターとは、自然に存在する量子力学の原理を適用した新概念コンピューターをいう。ビット(0または1)単位で計算する従来のコンピューターとは違い、キュービット単位(0でありながら1)を利用して情報処理速度を画期的に高めることができる。量子コンピューターの開発にはIBMをはじめ、マイクロソフト、グーグル、インテル、サムスン電子などグローバル情報技術(IT)企業が「ゲームチェンジャー」を狙って参入している。
シューター副社長は「自然を巨大なコンピューターと見るなら、自然の原理に基づく量子コンピューターは我々が直面した大きな問題を解決するのに大きく役立つ」と強調した。量子コンピューターで改善できる主な分野に新素材、金融、マシンラーニングなどを挙げた。シューター副社長は「現在、メルセデスベンツ、三菱ケミカルなどと共にリチウムイオンバッテリーを改善するために協力している」とし「電池の化学的反応を量子コンピューターでモデリングして実現すれば、効率が高い電池を作ることができる」と説明した。
金融分野でもリスク分析、オプション価格策定などに量子コンピューターを活用中だ。IBMは昨年、JPモルガンと「量子コンピューターを活用したオプション価格決定」論文を発表した。バークレイズとは有価証券市場での価値最適化技法を研究した。
シューター副社長は「人工知能(AI)の核心であるマシンラーニングは数学演算をどれほど速くするかがカギ」とし「量子コンピューターの属性を活用し、多くのデータの中からパターンをより速やかに見つけることができる」と述べた。
◆「5分あればIBM量子コンピューターを使用できる」
シューター副社長はIBMが量子コンピューター産業に参入したことについて「企業の発展をサポートするため」と断言した。量子コンピューターの性能改善に劣らず、実質的な適用事例(use case)が出てくるよう努力している。このために量子コンピューター開発ネットワークを構築した。現在、サムスン電子をはじめJPモルガン、エクソンモービル、ダイムラー、アクセンチュア、ゴールドマンサックスなど11の戦略的協業企業とスタートアップ、大学、研究所など約100カ所と「IBM Q(クオンタム)ネットワーク」を結成した。サービス4周年を記念して先月開かれた「IBMクオンタムチャレンジ」には、世界45カ国の1745人が量子コンピューターを活用した問題解決競争に参加した。
シューター副社長は「多くの人が量子コンピューターを使用できるようにこの行事を開催した」とし「実際、5分あれば誰でもIBMクラウドで量子コンピューターを使用できる」と述べた。続いて「未来の時代の企業と組織が成功するためには、より多くの人に量子コンピューティングを知らせて教えなければいけない」と強調した。
基調演説の後、韓国国内の量子コンピューター生態系構築を指揮するイ・ジュングKAIST(韓国科学技術院)AI量子コンピューティングITRC(大学情報通信技術研究センター)センター長が対談をした。イ氏は量子コンピューターが従来のコンピューターの「頂点」といえるスーパーコンピューターの性能をいつ超えるのかと質問した。シューター副社長は「ハードウェアがどれほど発展するかによって変わるだろうが、楽観的にみて2025年ごろにはスーパーコンピューターを超えるとみている」と答えた。IBMは2016年に5個のキュービットで始め、現在50個以上のキュービットを使っている。シューター副社長は「キュービットが一つ増えれば一度に処理できる演算の量が自乗数に増える」とし「300個以上キュービットが入れば観察可能な宇宙のすべての原子より多い数を演算できる」と説明した。
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