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「韓国、危機はこれから」ハーバード大学の経済学者ロゴフ教授の警告

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

ハーバード大学経済学科のケネス・ロゴフ教授。金融危機のパターンを取り上げた『国家は破綻する』などを著した。

「韓国を含むアジア諸国が全般的にパンデミック1次危機に欧米よりもしっかり対処した。だがこれは短期的成果だ。長期的に見るとアジア諸国は大きな危機に直面している」。

ハーバード大学経済学科のケネス・ロゴフ教授の話だ。ロゴフ教授は中央日報とのメール インタビューで、「韓国などアジアの経済は輸出依存度が相当に高いという点で状況が良くない。これはアジア各国の経済状況が長く困難に陥るだろうという兆しだ」と指摘した。ロゴフ教授は世界的経済碩学で、エール大学卒業後、国際通貨基金(IMF)エコノミストを経てハーバード大学のスター経済学教授として在任してきた。1953年生まれだ。彼は「グリーン・ニューディール政策」に対しては「原則的には方向をうまくとらえたようだ」と評価した。

ロゴフ教授がハーバード大学の同僚であるカーメン・ラインハート教授と共著した『国家は破綻する~金融危機の800年』は英エコノミストなどが必読書に挙げる名著だ。景気好況時に人々は「今度は前と違い危機はこないだろう」とむなしい希望を抱くが結局好況の終わりは危機という点を歴史的に実証した。


ブルームバーグは19日、ロゴフ教授とラインハート教授にインタビューし、「今回の危機は本当に違う」という見出しを付けた。ロゴフ教授が今回の新型コロナウイルス危機をめぐり「急落速度が以前にないほど速い。今回の危機は本当に(良くない方向で)違う」と話したことから付けた見出しだ。韓国と世界経済に対するロゴフ教授の診断が気になって電子メールを送ったところ、「休む暇もないほど忙しかったが必ず答えたかったので時間を割いた」として回答を送ってきた。彼はハーバード大学があるマサチューセッツ州ケンブリッジの自宅でメールと映像で業務を行っている。以下は一問一答の要旨。

Q:韓国経済をどのように診断するか。

A:「韓国を含む一部アジア諸国が新型コロナウイルスのパンデミックの1次危機に欧米よりはるかにしっかり対処した。だがこれは短期的成果にすぎない。アジア経済の輸出依存度は非常に高いが、今後やってくるパンデミックによる危機でこれは良いシグナルではない。輸出は2つの理由でますます厳しくなるとみられる。景気回復が遅い速度で進むという理由と、その過程で各国が保護主義を採択する可能性が大きいためだ。アジアはもう次の質問に備えなければならない。米国が海外ではなく国内に目を向ける状況で再編される世界にどのように適応すべきか」。

Q:ブルームバーグとのインタビューで「いまわれわれは『オズの魔法使い』の主人公ドロシーのように嵐に巻き込まれどこに飛ばされるかもわからない」と話したが、嵐はいつごろ終わるだろうか。

A:「重要なことは嵐がドロシーの家をどこに連れていくかだ。新型コロナウイルスが世界化の前進と多くの長期マクロ経済の流れにブレーキをかけたということは明らかだ。今後が問題だが、世界化の後退によりこれまでわれわれが当然のことと受け止めてきたインフレとプラス金利の基調が逆転するのか、経済成長率はどれだけ落ちるのか、各国政府が直面したポピュリスト政策に対する圧迫で韓国経済のシステムそのものが変わるのか、のような根本的な質問に答えなければならない」。

Q:米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長らは「V字反騰」のような急反騰が7-9月期から可能だと主張しているが。

A:「V字反騰は可能でない。われわれの前に押し寄せる深い景気沈滞の谷において、単純な経済成長率を分析するのはとても立派な道具にはなれない。景気低迷に進入する前の1人当たり国内総生産水準を回復するのかが有効な尺度となる。7-9月期の経済成長率がV字のように反騰すると仮定してみてもこれは偽りの成長だ。すでに経済が50%急落したと仮定すると、その後に25%反騰したとして何の意味があるのか。最も重要なことはもうパンデミックがエンデミック(風土病)に進化したということで、ワクチンが開発される前に2~3次感染拡大があることという点だ。日常生活が再開されるといっても以前とは違ったスタイルで再開されるもので、中小企業は回復不可能な打撃を受けるだろう。単純な景気低迷ではない。世界経済システムの根本的改編につながるほかない打撃だ」。

◇米大統領選挙、状況悪化させることも

Q:今回の新型コロナウイルス危機を契機にFRBをはじめとする各国中央銀行の役割論に対する懐疑論も出ている。

A:「FRBはこれまで英雄のような役割をやり遂げており、欧州中央銀行(ECB)もやはり立派な役割をやり遂げた。しかし今後が問題なのに、このパンデミックによる危機がさらに長引き、さらに厳しくなるならどうだろうか。FRBとECBとも政府当局者が望む水準の措置をやり抜く道具を持っていない。もちろん景気浮揚策は必須で、さらに大きな規模でしなければならない。だが大きな政府の過度な支出に伴う問題も見逃すことはできない。いまわれわれができることは、現在の非正常がニューノーマルにならず、過去の正常に回復することを願うことだ」。

Q:11月の米国大統領選挙が世界経済に及ぼす影響に対する診断は。

A:「米国は今年大統領選挙でいつになく海外の状況に気を遣う余裕がない。パンデミック前にもそうだったが、いまはもっとそうだ。米国の融通性のあるリーダーシップがいつになく必要な時にこうなるのは残念なことだ。トランプ大統領のリーダーシップはすでに国際社会で米国がしてきた役割から抜け出しており、再選されるなら状況は悪化の一途だろう。バイデン前副大統領が当選するなら米国の役割を回復させることはできるだろうが、民主党内の派閥争いは変わらず問題として残っている。サンダース上院議員率いる民主党内の進歩陣営がトランプ大統領と同じ方式の反世界化基調を好むことも注目すべき部分だ。サンダース議員の政策は事実トランプ大統領とまったく同じだ。うわべだけ派手なだけだ」。

Q:韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「韓国式ニューディール政策」と「グリーン・ニューディール」を推進すると発表した。どのように評価するか。

A:「関連政策の細部内容のニュアンスを把握する時間が足りないのではっきり分析するのは難しい。しかし原則的に見ると、韓国のような高度に成長した経済で重要なのは経済成長動力を損ねずに景気を浮揚しなければならないということだが、そうした点で不平等問題と気候変動分野に方法を求めたのは正しい方向だ。だが先に迫るもっと大きな危機にうまく対処できるかがさらに重要だ」。



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