「コロナ冷戦」に入った米中が暴言を浴びせながら激しい舌戦を繰り広げている。
21日にはトランプ米大統領がツイッターで中国を「おかしなやつ(Wacko)」「バカ(dope)」と表現した。ポンペオ米国務長官を「嘘つき」と批判した中国国営テレビの映像が発端となった。
ところがこうしたトランプ政権と中国の舌戦は今回が初めてではない。特定の時期に水位が高まるパターンも表れている。まずは今年の状況から見てみよう。
◆新型コロナが火をつけた米中の攻防
年初から米中両国は新型コロナウイルス感染症をめぐり衝突した。米国は新型コロナが中国に由来すると非難し、中国はこれを否定した。始まりは今年1月末だ。米共和党のトム・コットン上院議員が「新型コロナは武漢の実験室から流出した生物兵器」という発言をした。これに対し崔天凱・駐米中国大使は「馬鹿げている」と反論した。
2月はしばらく小康状態だった。中国は自国内の感染拡大防止に追われ、米国ではまだコロナ事態が深刻でなかった時期だ。しかし2月29日に米国で最初の死者が発生し、ワシントン州で非常事態宣言が発令されると、また両国間の対立は激しくなった。
3月6日にポンペオ国務長官が新型コロナを「武漢ウイルス」と呼び始めた。「外国ウイルス」と話していたトランプ大統領までが16日から「中国ウイルス(Chinese virus)」と言葉を使い始めた。トランプ大統領が自ら原稿まで書き直した事実が明らかになり、米中間の神経戦に火がつき始めた。
しばらく落ちついていた攻防は4月15日に再開した。トランプ大統領が武漢実験室流出説に関する質問を受け、「私もそのような話を何度も聞いている」と答えたからだ。中国は反発した。中国外務省の趙立堅報道官は17日、「米国は自国のコロナ拡大でもうまく防ぐべき」と批判した。世界がコロナの影響から抜け出すまでこうした攻防は続くと予想される。
◆舌戦、昨日今日のことでない
トランプ大統領と中国の悪縁はかなり以前に始まった。時計の針をトランプ大統領が大統領選挙出馬を考慮していた時期の2010年10月5日に戻してみよう。この日、トランプ大統領は保守性向のFOXニュースに出演し、「このまま10-20年過ぎれた中国に追い越される」と語った。
大統領候補になってからも同じだ。トランプ大統領は「私なら習近平主席が訪米すればマクドナルドのハンバーガーでも投げつける」と発言し、波紋を呼んだ。実際、2017年に最初の首脳会談をした当時、ステーキとワインで接待した。激しく叩いて少しもてなす形で相手を当惑させる戦略だ。
大統領になる前にはトランプ大統領が一方的に中国を非難したとすれば、大統領になった後には中国も反撃の程度を強めた。環球時報は「トランプ大統領が『一つの中国』原則を破れば断交も可能」と主張した。2020年5月14日にはトランプ大統領が「中国とのすべての関係を断つこともできる」と発言した。
◆なぜトランプ大統領は中国を叩くのか
答えは一つだ。また選挙が近づいているからだ。今年11月に選挙を控えたトランプ大統領は勝利を確信するようだった。低い失業率、高い成長率と株価が原動力だった。しかし新型コロナで状況は変わった。
英経済分析機関オックスフォード・エコノミクスは21日、トランプ大統領の有権者投票得票率が35%にすぎず、11月の選挙で惨敗すると予測した。新型コロナで経済が崩れ、トランプ大統領が敗れるという予想だ。この機関の予測技法は、1968年と1976年を除いて比較的正確だった。このため焦りを感じたトランプ大統領がついに「伝家の宝刀」を抜いたとみる分析家が多い。
トランプ大統領が2016年に当選した直後、ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「中国から輸入品が大きく増えた地域でトランプ候補が多くの票を獲得した」とし「中国産物品の輸入率が半分でも低ければヒラリー候補が当選しただろう」と報じた。
ちょうど新型コロナで中国に対する米国内の世論も悪化した状態だ。トランプ大統領は最近、バイデン元副大統領を非難する映像で「中国はバイデンが大統領選挙で勝利し、米国から金を巻き上げることを望んでいる」と語った。
中国も今度は強く反撃している。最大の政治行事「両会」(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議)が開かれる時期であるからだ。トランプ大統領の代わりにポンペオ国務長官に向けたが、「むやみに嘘をつく」と批判した。
世界を率いるリーダーシップが消えているいわゆる「G0」の時代、両大国の激しい舌戦はいつまで続くのか、どういう結果を招くのか、世界が注目している。
21日にはトランプ米大統領がツイッターで中国を「おかしなやつ(Wacko)」「バカ(dope)」と表現した。ポンペオ米国務長官を「嘘つき」と批判した中国国営テレビの映像が発端となった。
ところがこうしたトランプ政権と中国の舌戦は今回が初めてではない。特定の時期に水位が高まるパターンも表れている。まずは今年の状況から見てみよう。
◆新型コロナが火をつけた米中の攻防
年初から米中両国は新型コロナウイルス感染症をめぐり衝突した。米国は新型コロナが中国に由来すると非難し、中国はこれを否定した。始まりは今年1月末だ。米共和党のトム・コットン上院議員が「新型コロナは武漢の実験室から流出した生物兵器」という発言をした。これに対し崔天凱・駐米中国大使は「馬鹿げている」と反論した。
2月はしばらく小康状態だった。中国は自国内の感染拡大防止に追われ、米国ではまだコロナ事態が深刻でなかった時期だ。しかし2月29日に米国で最初の死者が発生し、ワシントン州で非常事態宣言が発令されると、また両国間の対立は激しくなった。
3月6日にポンペオ国務長官が新型コロナを「武漢ウイルス」と呼び始めた。「外国ウイルス」と話していたトランプ大統領までが16日から「中国ウイルス(Chinese virus)」と言葉を使い始めた。トランプ大統領が自ら原稿まで書き直した事実が明らかになり、米中間の神経戦に火がつき始めた。
しばらく落ちついていた攻防は4月15日に再開した。トランプ大統領が武漢実験室流出説に関する質問を受け、「私もそのような話を何度も聞いている」と答えたからだ。中国は反発した。中国外務省の趙立堅報道官は17日、「米国は自国のコロナ拡大でもうまく防ぐべき」と批判した。世界がコロナの影響から抜け出すまでこうした攻防は続くと予想される。
◆舌戦、昨日今日のことでない
トランプ大統領と中国の悪縁はかなり以前に始まった。時計の針をトランプ大統領が大統領選挙出馬を考慮していた時期の2010年10月5日に戻してみよう。この日、トランプ大統領は保守性向のFOXニュースに出演し、「このまま10-20年過ぎれた中国に追い越される」と語った。
大統領候補になってからも同じだ。トランプ大統領は「私なら習近平主席が訪米すればマクドナルドのハンバーガーでも投げつける」と発言し、波紋を呼んだ。実際、2017年に最初の首脳会談をした当時、ステーキとワインで接待した。激しく叩いて少しもてなす形で相手を当惑させる戦略だ。
大統領になる前にはトランプ大統領が一方的に中国を非難したとすれば、大統領になった後には中国も反撃の程度を強めた。環球時報は「トランプ大統領が『一つの中国』原則を破れば断交も可能」と主張した。2020年5月14日にはトランプ大統領が「中国とのすべての関係を断つこともできる」と発言した。
◆なぜトランプ大統領は中国を叩くのか
答えは一つだ。また選挙が近づいているからだ。今年11月に選挙を控えたトランプ大統領は勝利を確信するようだった。低い失業率、高い成長率と株価が原動力だった。しかし新型コロナで状況は変わった。
英経済分析機関オックスフォード・エコノミクスは21日、トランプ大統領の有権者投票得票率が35%にすぎず、11月の選挙で惨敗すると予測した。新型コロナで経済が崩れ、トランプ大統領が敗れるという予想だ。この機関の予測技法は、1968年と1976年を除いて比較的正確だった。このため焦りを感じたトランプ大統領がついに「伝家の宝刀」を抜いたとみる分析家が多い。
トランプ大統領が2016年に当選した直後、ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「中国から輸入品が大きく増えた地域でトランプ候補が多くの票を獲得した」とし「中国産物品の輸入率が半分でも低ければヒラリー候補が当選しただろう」と報じた。
ちょうど新型コロナで中国に対する米国内の世論も悪化した状態だ。トランプ大統領は最近、バイデン元副大統領を非難する映像で「中国はバイデンが大統領選挙で勝利し、米国から金を巻き上げることを望んでいる」と語った。
中国も今度は強く反撃している。最大の政治行事「両会」(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議)が開かれる時期であるからだ。トランプ大統領の代わりにポンペオ国務長官に向けたが、「むやみに嘘をつく」と批判した。
世界を率いるリーダーシップが消えているいわゆる「G0」の時代、両大国の激しい舌戦はいつまで続くのか、どういう結果を招くのか、世界が注目している。
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