尹美香(ユン・ミヒャン)の貪欲をありがたく思う。
自分のものではない法人・団体寄付金を個人の複数の通帳に入れておく金欲にとどまらず、与党比例代表国会議員という政治権力まで貪ったおかげで、聖域となった積弊勢力の実体が赤裸々にあらわれたから言う言葉だ。過度な欲張りさえ控えていれば、尹氏はおそらく、収益性の高い個人ビジネスに転落した日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯〔正義連、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の後身〕をこれからもずっと好き勝手しながら世間の人々を騙し続けていただろう。そして、その誰もあえてこの積弊勢力に問題を提起する意欲さえ出さないまま、韓国社会はまた莫大な費用を支払っていたに違いない。そのことを思うと、この辺りで止まってくれた彼女の貪欲に感謝せざるをえない。
尹氏は「慰安婦おばあさんを前面に出して集めたお金をどこに使ったか」という李容洙(イ・ヨンス)さんの暴露以降、連日噴出する疑惑にまともに説明するどころか、慣行と失敗、さらに親日勢力と保守メディアの謀略劇だと強弁しながらなんとしてでも国会議員をやるのだという強い意志を表明した。すでに16年前、日本の法廷で最初の慰安婦と認められた故シム・ミジャさんが「悪魔」という激しい表現まで使って同じように暴露したが、何事もなく、いやむしろ「事業」をさらに拡張した経験があるので少しの間だけなんとか乗り切ればこれからなんとかなると思っているのかもしれない。
完ぺきな錯覚だ。韓国社会が全般的に透明になり、人々が市民団体に突きつけるものさしがはるかに厳格になっただけでなく、今は無名の市民団体の一員ではなく、巨大与党の国会議員当選人に身分が変わったため、いくら与党が保護しようとしてもここまで大きくなった疑惑をそのままにして次に移ることはできない。数千万ウォンに達する政府補助金まで0ウォンとして一度に処理するなど、公示から記載を漏らした挺対協・正義連の寄付金・補助金規模は今まで知らされたものだけでも37億ウォン(約3億2250万円)にのぼるという。百歩譲ってミスだとしても、この程度の不透明さで団体を運営してきたことを容認するのは難しい。
個人通帳はまた別の話だ。尹氏は2013年ある寄付金口座を本人名義から挺対協名義に変えながら「それが透明だ」とフェイスブックに書いた。その時期、すでに個人口座を活用した寄付金募金に問題があることを知っていたということだ。それでも今までずっと個人口座で寄付金を集めながら内訳公開は拒否して、疑惑がなくなるわけがない。実際、尹氏夫婦が最近5年分で納付した所得税は643万ウォンにすぎない。特別な相続財産があるわけでもないが、マンションに住むたびに数億ウォンの多額のお金を全額現金で納め、また娘を米国留学させながらも現在3億ウォンを超える預金を持っているのであれば、誰だってその出処が気になるものだ。
寄付金流用疑惑よりもさらに悪いのは、自分たちの考えに従わないおばあさんは苛酷に排除したという点だ。シム・ミジャさんはもちろん、シムさんとともに尹美香氏の挺対協に反旗を翻したパク・ボクスンさんの名前は、挺対協が日帝蛮行を忘却せずに記憶しようと言いながら作成した「記憶の場」の造形物にはない。わざと2人のおばあさんを排除して記憶から消したのだ。
それでも青瓦台(チョンワデ、大統領府)が肩を持つ姿を見せると、与党要人は護衛武士を自ら買って出ている。金斗官(キム・ドゥグァン)議員と宋永吉(ソン・ヨンギル)議員は疑惑を提起する人々を「新親日勢力」と規定して開き直りの態度で「最小限の礼儀を守れ」と怒号まで発する。親与有名人も似たり寄ったりだ。こちら側ではない人々がおばあさんに恥をかかせるような言葉を取り出しても社会的埋葬をしていた人々が、尹美香1人を生かそうとおばあさんを侮辱するのもはばからないから言う言葉だ。チョ・グク事態に続き自称「進歩」と称する左派守旧勢力の素顔が改めてこのように顕在化している。
尹氏が青瓦台と共に民主党指導部の希望どおりに結局国会入りするか、それとも資格を剥奪されるかはわからない。ただ、もし国会議員になったとしても、それが決して尹氏や民主党に正当性を与えるものではない。むしろそのままにしておけば毒になるのは明らかだ。世間の人々はみな知っているのに尹氏本人と与党圏の人々だけがそれを知らないようだ。
とりわけ無能な野党を置いてしまったおかげで民主党は、このような幸運を信じて20年、30年、いや100年執権を夢見ているかもしれない。だが、味方だと思って適当に不正を覆い国会議員バッチをつけさせるような傲慢を続けていては結局自ら崩れるほかはない。老子道徳経はこう語っているではないか。「天の網の目は一見粗いようだが、決して罪人を見逃すことはない」と。尹氏が誰を代表するのか知ることもできない比例代表国会議員になるなら、今は天の網がとても粗いように見えても、結局天の網にすべて引っかかることになっている。尹氏も、民主党も。
アン・ヘリ/論説委員
自分のものではない法人・団体寄付金を個人の複数の通帳に入れておく金欲にとどまらず、与党比例代表国会議員という政治権力まで貪ったおかげで、聖域となった積弊勢力の実体が赤裸々にあらわれたから言う言葉だ。過度な欲張りさえ控えていれば、尹氏はおそらく、収益性の高い個人ビジネスに転落した日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯〔正義連、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の後身〕をこれからもずっと好き勝手しながら世間の人々を騙し続けていただろう。そして、その誰もあえてこの積弊勢力に問題を提起する意欲さえ出さないまま、韓国社会はまた莫大な費用を支払っていたに違いない。そのことを思うと、この辺りで止まってくれた彼女の貪欲に感謝せざるをえない。
尹氏は「慰安婦おばあさんを前面に出して集めたお金をどこに使ったか」という李容洙(イ・ヨンス)さんの暴露以降、連日噴出する疑惑にまともに説明するどころか、慣行と失敗、さらに親日勢力と保守メディアの謀略劇だと強弁しながらなんとしてでも国会議員をやるのだという強い意志を表明した。すでに16年前、日本の法廷で最初の慰安婦と認められた故シム・ミジャさんが「悪魔」という激しい表現まで使って同じように暴露したが、何事もなく、いやむしろ「事業」をさらに拡張した経験があるので少しの間だけなんとか乗り切ればこれからなんとかなると思っているのかもしれない。
完ぺきな錯覚だ。韓国社会が全般的に透明になり、人々が市民団体に突きつけるものさしがはるかに厳格になっただけでなく、今は無名の市民団体の一員ではなく、巨大与党の国会議員当選人に身分が変わったため、いくら与党が保護しようとしてもここまで大きくなった疑惑をそのままにして次に移ることはできない。数千万ウォンに達する政府補助金まで0ウォンとして一度に処理するなど、公示から記載を漏らした挺対協・正義連の寄付金・補助金規模は今まで知らされたものだけでも37億ウォン(約3億2250万円)にのぼるという。百歩譲ってミスだとしても、この程度の不透明さで団体を運営してきたことを容認するのは難しい。
個人通帳はまた別の話だ。尹氏は2013年ある寄付金口座を本人名義から挺対協名義に変えながら「それが透明だ」とフェイスブックに書いた。その時期、すでに個人口座を活用した寄付金募金に問題があることを知っていたということだ。それでも今までずっと個人口座で寄付金を集めながら内訳公開は拒否して、疑惑がなくなるわけがない。実際、尹氏夫婦が最近5年分で納付した所得税は643万ウォンにすぎない。特別な相続財産があるわけでもないが、マンションに住むたびに数億ウォンの多額のお金を全額現金で納め、また娘を米国留学させながらも現在3億ウォンを超える預金を持っているのであれば、誰だってその出処が気になるものだ。
寄付金流用疑惑よりもさらに悪いのは、自分たちの考えに従わないおばあさんは苛酷に排除したという点だ。シム・ミジャさんはもちろん、シムさんとともに尹美香氏の挺対協に反旗を翻したパク・ボクスンさんの名前は、挺対協が日帝蛮行を忘却せずに記憶しようと言いながら作成した「記憶の場」の造形物にはない。わざと2人のおばあさんを排除して記憶から消したのだ。
それでも青瓦台(チョンワデ、大統領府)が肩を持つ姿を見せると、与党要人は護衛武士を自ら買って出ている。金斗官(キム・ドゥグァン)議員と宋永吉(ソン・ヨンギル)議員は疑惑を提起する人々を「新親日勢力」と規定して開き直りの態度で「最小限の礼儀を守れ」と怒号まで発する。親与有名人も似たり寄ったりだ。こちら側ではない人々がおばあさんに恥をかかせるような言葉を取り出しても社会的埋葬をしていた人々が、尹美香1人を生かそうとおばあさんを侮辱するのもはばからないから言う言葉だ。チョ・グク事態に続き自称「進歩」と称する左派守旧勢力の素顔が改めてこのように顕在化している。
尹氏が青瓦台と共に民主党指導部の希望どおりに結局国会入りするか、それとも資格を剥奪されるかはわからない。ただ、もし国会議員になったとしても、それが決して尹氏や民主党に正当性を与えるものではない。むしろそのままにしておけば毒になるのは明らかだ。世間の人々はみな知っているのに尹氏本人と与党圏の人々だけがそれを知らないようだ。
とりわけ無能な野党を置いてしまったおかげで民主党は、このような幸運を信じて20年、30年、いや100年執権を夢見ているかもしれない。だが、味方だと思って適当に不正を覆い国会議員バッチをつけさせるような傲慢を続けていては結局自ら崩れるほかはない。老子道徳経はこう語っているではないか。「天の網の目は一見粗いようだが、決して罪人を見逃すことはない」と。尹氏が誰を代表するのか知ることもできない比例代表国会議員になるなら、今は天の網がとても粗いように見えても、結局天の網にすべて引っかかることになっている。尹氏も、民主党も。
アン・ヘリ/論説委員
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