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米国人が米国を捨てる…税金の恐怖に今年の国籍放棄10倍に増える

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
1-3月期に米国籍を放棄した市民権者が過去最多を記録した。15日に中国環球時報がインターナショナル・ビジネス・タイムズなどを引用して報道したものによると、1-3月期に米国籍者2909人が国籍を放棄した。これは前四半期の261人の10倍以上に増えたものだ。

米バンブリッジ会計事務所によると、昨年の米国籍放棄者は2072人だった。昨年1年間より今年1-3月期の放棄者が多かったという話だ。これまでの最多記録は2016年10-12月期で、当時2365人が米国籍を放棄した。

◇米国籍放棄…その背景には「税金」


米国籍放棄者がこのように急増した背景は何だろうか。「税金の恐怖」のためという解釈が多い。

バンブリッジ会計事務所のパートナーであるアリスター・バンブリッジは「米国市民権者は海外に住んでいても米国税金申告書を提出して米国政府に税金を払わなければならない。国外に保有する外国銀行口座、投資内容、年金保険などをすべて報告しなければならない」と説明した。彼は「海外に居住する多くの市民権者にこれはわずらわしい問題だ」と付け加えた。現在約900万人の米国人が海外に住んでいる。

米財務省は新型コロナウイルスにより経済活動が事実上中断されたことを受け所得税などの納税期間を4月から7月に延期した。これを機に先送りしていた国籍放棄を実行に移す海外市民権者が増えたのではないかというのが現地の分析だ。

KOTRAの分析によると米国では2010年以降国籍放棄者が増え続けている。同年に発表された海外金融口座申告法の影響だ。

2007年に米国は金融危機の余波で国の負債が増えると、追加税収確保に乗り出した。こうした背景で登場したのが海外金融口座申告法だ。この法律で毎年1600億ドルに達した富裕層の域外脱税を押さえるのには成功した。米国市民権者が国税庁に税金をしっかりと申告せず摘発されれば年間1万ドルから最大5万ドルの罰金と未納税金の40%まで加算税を払わなければならない。故意性があると判断されれば処罰も受ける。

このため米国人は自主的に納税したり、5万ドル以下に資産を分けて管理する。あれもこれもだめだとなれば最後には国籍を放棄する。

環球時報は「米国市民権を放棄するためには2350ドルの費用を払わなければならず、海外にいる米国僑民は直接米国駐在大使館に行かなければならないが、多くの人々がこうした手続きを甘受している」と付け加えた。米国政府は国籍を放棄する人が続出すると、過去に450ドルだった国籍放棄手数料を2350ドルまで引き上げたが大きな効果を出していない。

◇税金引き上げ前に国籍放棄? 米4月の財政赤字過去最大

「国籍放棄ラッシュ」には新型コロナウイルスのため資金に窮した米国政府が今後税金をさらに引き上げるだろうという観測も一役買った。実際に米国の財政赤字状況はますます深刻化している。ワシントンポストによると米連邦政府の4月の財政赤字は7380億ドルを記録した。1カ月基準では過去最大水準だ。税収が前年同期より55%減ったのに対し新型コロナ対応で支出は161%急増したためだ。

フォーブスは世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオ氏が自身の顧客に税金引き上げに備えるよう警告したと報道した。ダリオ氏は米国の財政赤字が深刻化し、結局11月の大統領選挙でだれが勝利しようが赤字を埋めるための税金引き上げは避けられないという分析を出している。ブルームバーグによるとブラックロックのラリー・フィンク代表も顧客に「米国の法人税負担が現行の21%から28~29%まで増加する」との見通しを出した。



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