彼の名前はイ・シグク(40、仮名)。彼は中堅衣類ベンダー会社の欧州チーム長だ。今月1日から休職している。新型コロナで衣類業界が直撃弾を受けたからだ。輸出はストップし、リストラが始まった。彼を知ったのは知人のJ氏を通じてだ。彼は自分の名前はかまわないが、会社名は伏せてほしいということだった。会社が政府の支援で不利益を受けないか心配していた。結局、彼の名前も仮名にするしかなかった。J氏はイ・シグク氏の事情が正確に伝えられることを望んだ。
「今月初め青瓦台(チョンワデ、大統領府)の国民請願に載せられた内容にシグク氏が同意してほしいと伝えてきた。『文在寅(ムン・ジェイン)大統領、新型コロナ拡大による韓国衣類ベンダー繊維産業を助けてください』という請願だ(今月末が期限のこの請願は同意が16日現在1万人を少し超えている)。当時、彼は休職中であり、会社が厳しい状況にあることを知った。政府が必要としているところではなくとんでもないところにお金を使うという気がした」。
シグク氏は30歳で就職した。半地下の部屋でアルバイトをしながら学業を終えたため、ほかの人よりも時間がかかった。10年間ほど頑張って働いてチーム長になった。彼のチームの売上高は年60万ドル程度。2月末-3月初め、すべての注文がキャンセルされた。すでに製作に入っていた注文もなくなった。一方的だった。ドイツのバイヤーC&Aは「法的責任はない」というメールを送ってきた。コロナが原因であるため賠償はしないという内容だった。欧州チームが属する営業2部の職員10人全員が直ちに在宅勤務に入った。
日々、状況は悪化した。会社の主力である営業1部アメリカチームの注文も次々とキャンセルされた。月900万ドルの売り上げがなければいけないが、今年2、3月にキャンセルされた注文は約140億ウォン(約12億円)分だった。女性服を主に製造する会社で、12月-3月に需要が多い。年間売上高の60%がこの時期に生じる。今の140億ウォンだけが問題ではない。6月まで注文が消えた。7月から注文が再開されても船積み開始は早くとも9-10月、資金の決済は船積み後3-4カ月後だ。今年の売上高が0ウォンになる可能性もある。補償を受けるところもない。米国連邦法と独セクション313は災難による契約違反に責任を問わない。いくつかの韓国企業が訴訟を準備中だが、勝訴する可能性はほとんどないという。
シグク氏は会社が要求するように職員10人と共に3カ月間の休職契約書を書いた。月給の50%を受け、辞職勧告はしないという条件だ。残りの70人の職員も今後の生活が見えない。「会社の事情を知りながら待つことはできない。ドイツのバイヤーの注文が再開されれば呼び戻すというが、その保証はない」。
政府の雇用維持支援金は大きな力にならなかった。休職期間に賃金の70%を補填すれば、その70%の90%を国家が補助する。しかし手続きが難しくて時間がかかり、労務士に依頼する必要がある。労務士の費用が約10%だ。会社も職員も50%を先に渡すのがよい。会社側は国家支援金を精算した後に残るものがあれば追加で渡すという。
彼は青瓦台請願者の「助けてください」という叫び声が他人事のようではないと語った。会社が厳しくなり、生地・副資材を納品する国内協力会社も次々と危機を迎えている。長く付き合ってきた会社であるため協力しながら持ちこたえているが、時間の問題だ。彼は国に望むことが一つあると語った。「災難支援金も有難いが、それよりも会社がつぶれないようにしてほしい。休職が数カ月になろうと、職場さえなくならなければまた頑張って働いて、税金を納めながら生活ができる」。
彼は毎日、職場を探している。何でもするという考えだ。彼は職場を離れたわけではない。休職中であるため復職を待てばよいのではと尋ねたかった。しかし尋ねることはできなかった。すでに彼は復職の希望と期待は捨てたようだ。「指をしゃぶって空を眺めながらじっと待ち続けることはできない」という言葉が返ってくるようだった。それで尋ねなかった。いや、尋ねられなかった。
イ・ジョンジェ/中央日報コラムニスト
「今月初め青瓦台(チョンワデ、大統領府)の国民請願に載せられた内容にシグク氏が同意してほしいと伝えてきた。『文在寅(ムン・ジェイン)大統領、新型コロナ拡大による韓国衣類ベンダー繊維産業を助けてください』という請願だ(今月末が期限のこの請願は同意が16日現在1万人を少し超えている)。当時、彼は休職中であり、会社が厳しい状況にあることを知った。政府が必要としているところではなくとんでもないところにお金を使うという気がした」。
シグク氏は30歳で就職した。半地下の部屋でアルバイトをしながら学業を終えたため、ほかの人よりも時間がかかった。10年間ほど頑張って働いてチーム長になった。彼のチームの売上高は年60万ドル程度。2月末-3月初め、すべての注文がキャンセルされた。すでに製作に入っていた注文もなくなった。一方的だった。ドイツのバイヤーC&Aは「法的責任はない」というメールを送ってきた。コロナが原因であるため賠償はしないという内容だった。欧州チームが属する営業2部の職員10人全員が直ちに在宅勤務に入った。
日々、状況は悪化した。会社の主力である営業1部アメリカチームの注文も次々とキャンセルされた。月900万ドルの売り上げがなければいけないが、今年2、3月にキャンセルされた注文は約140億ウォン(約12億円)分だった。女性服を主に製造する会社で、12月-3月に需要が多い。年間売上高の60%がこの時期に生じる。今の140億ウォンだけが問題ではない。6月まで注文が消えた。7月から注文が再開されても船積み開始は早くとも9-10月、資金の決済は船積み後3-4カ月後だ。今年の売上高が0ウォンになる可能性もある。補償を受けるところもない。米国連邦法と独セクション313は災難による契約違反に責任を問わない。いくつかの韓国企業が訴訟を準備中だが、勝訴する可能性はほとんどないという。
シグク氏は会社が要求するように職員10人と共に3カ月間の休職契約書を書いた。月給の50%を受け、辞職勧告はしないという条件だ。残りの70人の職員も今後の生活が見えない。「会社の事情を知りながら待つことはできない。ドイツのバイヤーの注文が再開されれば呼び戻すというが、その保証はない」。
政府の雇用維持支援金は大きな力にならなかった。休職期間に賃金の70%を補填すれば、その70%の90%を国家が補助する。しかし手続きが難しくて時間がかかり、労務士に依頼する必要がある。労務士の費用が約10%だ。会社も職員も50%を先に渡すのがよい。会社側は国家支援金を精算した後に残るものがあれば追加で渡すという。
彼は青瓦台請願者の「助けてください」という叫び声が他人事のようではないと語った。会社が厳しくなり、生地・副資材を納品する国内協力会社も次々と危機を迎えている。長く付き合ってきた会社であるため協力しながら持ちこたえているが、時間の問題だ。彼は国に望むことが一つあると語った。「災難支援金も有難いが、それよりも会社がつぶれないようにしてほしい。休職が数カ月になろうと、職場さえなくならなければまた頑張って働いて、税金を納めながら生活ができる」。
彼は毎日、職場を探している。何でもするという考えだ。彼は職場を離れたわけではない。休職中であるため復職を待てばよいのではと尋ねたかった。しかし尋ねることはできなかった。すでに彼は復職の希望と期待は捨てたようだ。「指をしゃぶって空を眺めながらじっと待ち続けることはできない」という言葉が返ってくるようだった。それで尋ねなかった。いや、尋ねられなかった。
イ・ジョンジェ/中央日報コラムニスト
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