新型コロナウイルスの余波が深刻だ。米国は3月第3週の失業給与申請が328万件で過去最高を記録した。新型コロナウイルスにより米国の失業率は半世紀ぶりの最低水準の3.5%から数カ月13%に上昇する恐れがあるとゴールドマンサックスは予想する。中国も事情が厳しいのは同様だ。当初中国は今年6%ほどの経済成長率を予想したが新型コロナウイルス問題で最近一部主要機関の見通しが1%台序盤まで下方修正された。ドイツの金融会社アリアンツは新型コロナウイルス危機が長期化すれば今年の世界経済成長率はマイナス1.5%に後退すると予想した。
世界経済の沈滞は貿易依存度が高い韓国経済に途轍もない打撃になる。英経済研究機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は今年韓国の経済成長率がマイナス1.8%を記録すると予想した。韓国政府見通しの2.4%はすでに不可能な目標になった。
新型コロナウイルス問題はこれまでの危機よりも大きく長く韓国経済に爪痕を残す恐れがある。1997年の通貨危機当時、韓国は破産の危機を迎えたが、欧米など主要国の経済は巡航した。韓国は骨を削る構造調整で体質を改善し、競争力を高めて貿易大国に再び浮上できた。2008年の金融危機当時は米国・欧州がぐらついたが10%前後で高成長する中国への輸出が大きく膨らみ危機を克服した。
いまは韓国経済に頼みの綱が消えた。米国と欧州はマイナス成長が予想され中国も1%台の成長にとどまる見通しだ。輸出に頼って韓国経済を支えるのは期待しにくい。韓国に本当の危機が迫った。危機は指導者の力量を試す。賢明な指導者は危機を機会にするが、悪い指導者は危機に倒れる。今回の危機をどのように対処するかにより韓国の運命が決定されるだろう。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は新型コロナウイルス問題による経済萎縮を克服するため100兆ウォン規模の企業救護緊急資金投入を決めた。過去最大規模だ。事態の深刻性を考慮すれば必要な措置だ。新型コロナウイルス危機は簡単に終わらないだろう。韓国と中国は鎮静局面に進入したが欧米など世界は感染拡大の一途だ。こうした時ほど現実を冷徹に見て希望に偏った楽観主義を警戒しなければならない。
ベトナム戦争で自身が操縦する戦闘機が撃墜され7年半にわたり捕虜となり過酷な拷問に耐えたジェームズ・ストックデール元米海軍中将は生き残った秘訣について、「最後には勝利するという信頼とともに厳しい現実を直視できる意志のおかげ」と明らかにした。彼は「捕虜生活で生き残れなかった人は楽観主義者だった。彼らは『クリスマスには出て行けるだろう』と期待し、失敗に終われば『復活節には可能だろう』『感謝祭には出られるだろう』、再び『クリスマスには出て行けるだろう』し、結局落ち込んだまま死んでいった」と話した(ジェームズ・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー』)。コリンズは危機克服の核心能力として悲観的楽観主義といえる「ストックデールの逆説」を強調した。
新型コロナウイルス問題は「ストックデールの逆説」を必要とする。最後には克服できるという長期的信頼とともにいま韓国と世界経済に巻き起こっている途轍もない影響を直視しなければならない。この危機を克服するには理念や陣営にしばられない最高専門家が必要だ。文在寅政権はこれまで所得主導成長に代表される理念に偏った経済政策で韓国経済の潜在力を損ねた。韓国は新型コロナウイルス問題で真実の瞬間に直面した。この瞬間をどのように対応するかにより韓国は奈落に落ちることも、そうでなければ再充電して再び立ち上がることもできる。
外交安保分野でも韓国の生き残りを脅かす北朝鮮を眺めるばかりでなく北朝鮮の核脅威を現実的に直視し対応する必要がある。北朝鮮の核脅威に対抗できる青写真を提示し安保能力を強化する案を模索しなければならない。このためには対北朝鮮交渉論に偏った青瓦台(チョンワデ、大統領府)と内閣の外交安保陣容を改編し現実主義路線に基盤を置いた専門家を起用する必要がある。
NEAR財団の鄭徳亀(チョン・ドック)理事長(元産業資源部長官)は「国政体制を早く危機管理体制に転換し当代最高の専門人材を中心に参謀陣を改編して国政を正常化しなければならない」と助言した。非常な時局には非常な対策が必要だ。これまでのように理念と陣営を前面に出した国政運営は文大統領個人だけでなく韓国の運命に途轍もない不幸になるだろう。
チョン・ジェホン/国際外交安保エディター
世界経済の沈滞は貿易依存度が高い韓国経済に途轍もない打撃になる。英経済研究機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は今年韓国の経済成長率がマイナス1.8%を記録すると予想した。韓国政府見通しの2.4%はすでに不可能な目標になった。
新型コロナウイルス問題はこれまでの危機よりも大きく長く韓国経済に爪痕を残す恐れがある。1997年の通貨危機当時、韓国は破産の危機を迎えたが、欧米など主要国の経済は巡航した。韓国は骨を削る構造調整で体質を改善し、競争力を高めて貿易大国に再び浮上できた。2008年の金融危機当時は米国・欧州がぐらついたが10%前後で高成長する中国への輸出が大きく膨らみ危機を克服した。
いまは韓国経済に頼みの綱が消えた。米国と欧州はマイナス成長が予想され中国も1%台の成長にとどまる見通しだ。輸出に頼って韓国経済を支えるのは期待しにくい。韓国に本当の危機が迫った。危機は指導者の力量を試す。賢明な指導者は危機を機会にするが、悪い指導者は危機に倒れる。今回の危機をどのように対処するかにより韓国の運命が決定されるだろう。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は新型コロナウイルス問題による経済萎縮を克服するため100兆ウォン規模の企業救護緊急資金投入を決めた。過去最大規模だ。事態の深刻性を考慮すれば必要な措置だ。新型コロナウイルス危機は簡単に終わらないだろう。韓国と中国は鎮静局面に進入したが欧米など世界は感染拡大の一途だ。こうした時ほど現実を冷徹に見て希望に偏った楽観主義を警戒しなければならない。
ベトナム戦争で自身が操縦する戦闘機が撃墜され7年半にわたり捕虜となり過酷な拷問に耐えたジェームズ・ストックデール元米海軍中将は生き残った秘訣について、「最後には勝利するという信頼とともに厳しい現実を直視できる意志のおかげ」と明らかにした。彼は「捕虜生活で生き残れなかった人は楽観主義者だった。彼らは『クリスマスには出て行けるだろう』と期待し、失敗に終われば『復活節には可能だろう』『感謝祭には出られるだろう』、再び『クリスマスには出て行けるだろう』し、結局落ち込んだまま死んでいった」と話した(ジェームズ・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー』)。コリンズは危機克服の核心能力として悲観的楽観主義といえる「ストックデールの逆説」を強調した。
新型コロナウイルス問題は「ストックデールの逆説」を必要とする。最後には克服できるという長期的信頼とともにいま韓国と世界経済に巻き起こっている途轍もない影響を直視しなければならない。この危機を克服するには理念や陣営にしばられない最高専門家が必要だ。文在寅政権はこれまで所得主導成長に代表される理念に偏った経済政策で韓国経済の潜在力を損ねた。韓国は新型コロナウイルス問題で真実の瞬間に直面した。この瞬間をどのように対応するかにより韓国は奈落に落ちることも、そうでなければ再充電して再び立ち上がることもできる。
外交安保分野でも韓国の生き残りを脅かす北朝鮮を眺めるばかりでなく北朝鮮の核脅威を現実的に直視し対応する必要がある。北朝鮮の核脅威に対抗できる青写真を提示し安保能力を強化する案を模索しなければならない。このためには対北朝鮮交渉論に偏った青瓦台(チョンワデ、大統領府)と内閣の外交安保陣容を改編し現実主義路線に基盤を置いた専門家を起用する必要がある。
NEAR財団の鄭徳亀(チョン・ドック)理事長(元産業資源部長官)は「国政体制を早く危機管理体制に転換し当代最高の専門人材を中心に参謀陣を改編して国政を正常化しなければならない」と助言した。非常な時局には非常な対策が必要だ。これまでのように理念と陣営を前面に出した国政運営は文大統領個人だけでなく韓国の運命に途轍もない不幸になるだろう。
チョン・ジェホン/国際外交安保エディター
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