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【社説】新型コロナ長期化に備えた財政余力はあるのか=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
新型コロナウイルス感染症による緊急災難支援金の給付対象が大きく増えた。企画財政部は中位所得の100%までの計1000万世帯に給付しようとしたが、与党が大幅拡張を主張した。結局、一昨日の政府・与党・青瓦台(チョンワデ、大統領府)協議と昨日の国務会議を経て、対象を全体の70%にのぼる1400万世帯に調整した。4人世帯基準で100万ウォン(約8万9000円)を給付する。このための追加予算は9兆1000億ウォンとなる。4月15日の総選挙直後に第2次補正予算案を提出し、国会が処理すればすぐに給付する予定だ。

新型コロナのため経済がまひした今、緊急災難支援金は避けられない側面がある。飲食店は客の姿はなく店長だけがいて、アルバイトは消えた。「失職のため窒息する」という言葉も広まっている。生計を維持する資金は必要だ。災難支援金が出てきた背景だ。

しかし給付範囲が適切かについては疑問を抱くしかない。全世帯の70%なら月間所得712万ウォン、年間8500万ウォンまでだ。この程度ならお金がなくて使えない状況というよりも「社会的距離維持」のためにお金を使えない階層も含まれる。こうした世帯に給付する資金は生計支援ではなく、消費活性化の効果も大きいとは考えにくい。与党がここまで支援対象を広げたことについて「総選挙用のばらまき」という疑惑が出てくる理由だ。


執行の過程でも論争が予想される。地域間の公平性のためだ。中央政府が動き出さない間、自治体はそれぞれの支援策を発表した。多ければ1人あたり50万ウォン(京畿道抱川市)を給付する一方、一銭も出ないところも多い。しかし政府の災難支援金執行計画にはこれに関する考慮がない。大韓民国の国民が同じように苦しんでいるが、受ける支援は千差万別となる。政府が解決すべき課題だ。

もう一つ欠かせないのが未来のための備蓄だ。新型コロナ事態はいつまで続くか予測するのが難しい。米国と欧州ではウイルスが猛威を振るっている。米国立アレルギー・伝染病研究所は「米国人の10万-20万人が死亡するおそれがある」という報告書を出した。ウイルスが消えても経済には後遺症が残る。生産と消費が回復するまではさらに時間がかかる。

事態が長期化すれば第1次災難支援金では足りないかもしれない。また資金を供給しなければならない場合にも対応する必要がある。むやみに国債を発行して資金を調達することはできない。そうすれば国債と社債の金利が一斉に上がる。赤字だらけの財政の負担がさらに増え、そうでなくとも厳しい企業は致命傷を受ける。方法は予算再調整だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も「(緊急災難支援金)財源の大半を骨身を削る予算支出構造調整で用意する」と述べた。しかしこの程度では十分でない。資金をさらに供給する場合に備えた財源までも予算を調整して確保しなければいけない。

災難支援金計画を出すまで政府は何度も揺れた。ためらって自治体が先に動き出したことで地域別支援の公平性めぐる論争を呼び、与党に押されて支援対象を大幅に拡大した。こうした過程と災難支援金の効果については詳細な記録が求められる。史上初の事態にどたばたしたが、未来には失敗を繰り返さないためだ。パンデミックはまたくるはずだ。



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