危機の時に実力が表れる。文在寅(ムン・ジェイン)政権はどうか。今までは落第点だ。危機の時、リーダーの言葉は変わらなければいけない。明確なメッセージ、具体的な代案が必須だ。文在寅大統領の言葉はあいまいだ。「経済と防疫、二兎をつかむ」「前例のない対策が必要」。こういうものはリーダーの言葉になれない。「どのように」が抜けているからだ。今からでも変わらなければいけない。政策の優先順位を決めて基本から取り組んでいく必要がある。大きな堤防が崩れれば小さな畝は流される。いま急ぐべきことは韓米通貨スワップの復元だ。なぜか。
1つ目、通貨スワップは同盟の復元だ。お金は血液だ。米国は血液であるドルをいかなる通貨とも換えるわけではない。地域の盟主の通貨、同盟の通貨とだけ換える。成功すれば「文在寅政権=親中反米」というこれまでの誤解を一挙に覆すことができる。親中、親北にオールインする時よりも、北朝鮮と中国を扱うのに役に立つだろう。総選挙用の好材料としてもこれほどのものはない。
2つ目、ドルの方舟だけが安全だ。コロナのパンデミックはすべての資産をのみ込んでいる。株式は言うまでもなく、代表的な安全資産である金の価格までが急落中だ。債券と仮想通貨も避難場所がない。ただ、ドルだけがパンデミックの世の中の「ノアの方舟」だ。乗れば生存し、落伍すれば死ぬ。
3つ目、機会が良い。ウォール街の代弁者ウォールストリートジャーナル(WSJ)は先週の社説で「金融パニックを落ちつかせるためには米連邦準備制度理事会(FRB)が韓国などと通貨スワップを締結する必要がある」と主張した。12年前の金融危機当時、WSJは国際通貨基金(IMF)の緊急資金支援を挙げて韓国との通貨スワップに否定的だった。WSJの態度の変化は、米政権とFRBを説得するのに良い理由になる可能性がある。
とはいえ容易なことではない。予測不可能なトランプ大統領がどのような反対給付を要求するか分からない。戦略が必要だ。
1つ目、他国を引き込む必要がある。オーストラリア・シンガポール・台湾などを動かさなければいけない。2008年の金融危機当時、米国は韓国など14カ国と通貨スワップを締結した。最後まで求めていたインドネシアと香港は拒否した。当時、韓国は自他共に認める親米国家であった。今はそうでない。韓国だけでは難しい。その点で李洛淵(イ・ナギョン)前首相が国会で「G20国家と通貨スワップ推進」を話したのはアマチュアのようだった。米国は連帯しないだろう。トランプ大統領は気候変動への国際的な取り組みを決めたパリ協定も離脱した。特に中国とはスワップを締結しないだろう。ドルが抜けた通貨スワップはどの国にも意味がない。
2つ目、ウォール街の人脈を総動員しなければいけない。FRBの核心は議長、副議長、ニューヨーク連銀総裁の3人だ。2008年に李明博(イ・ミョンバク)政権はシティグループ会長のロバート・ルービン氏を人脈として動員した。ルービン氏が当時のニューヨーク連銀総裁ティモシー・ガイトナー氏と親しかったからだ。今はニューヨークとワシントンの人脈が事実上断絶している。この人脈から復元しなければいけない。ちょうど韓国銀行(韓銀)の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は初めての再任総裁だ。パウエルFRB議長とは何度か会っている。最大限に活用しなければいけない。経済通の趙潤済(チョ・ユンジェ)前駐米大使も力になるはずだ。
3つ目、水面下で動かなければならない。FRBはプライドが高い。米大統領の言葉も無視する。大きな声で騒げばFRBを刺激する可能性がある。とはいえFRBだけに没頭してはいけない。決定権はFRBにあるが、財務省とホワイトハウス、IMFともつながっている。これを同時に説得しなければいけない。文大統領が自らトランプ大統領を説得する必要もある。
急ぐほどよい。今でも遅いくらいだ。直ちに韓銀総裁と経済副首相をニューヨークとワシントンに送るのがよい。2人を青瓦台(チョンワデ、大統領府)に呼んで利下げ圧力を加えたり、マスク対策を要求したりする時ではない。マスクは首相室で総括すればよい。いろいろと話してきたが、実際は心配だ。あまりにも専門家の話を聞かず、不利になればとぼける政府であるだけに、特に努力もせず、うまくいかなければ「通貨スワップは必要ない」と言い出すかもしれない。当初は「必ず着用すべき」と言っておきながら不足すると「必要ない」と言い出したマスク事態のように。
イ・ジョンジェ/中央日報コラムニスト
1つ目、通貨スワップは同盟の復元だ。お金は血液だ。米国は血液であるドルをいかなる通貨とも換えるわけではない。地域の盟主の通貨、同盟の通貨とだけ換える。成功すれば「文在寅政権=親中反米」というこれまでの誤解を一挙に覆すことができる。親中、親北にオールインする時よりも、北朝鮮と中国を扱うのに役に立つだろう。総選挙用の好材料としてもこれほどのものはない。
2つ目、ドルの方舟だけが安全だ。コロナのパンデミックはすべての資産をのみ込んでいる。株式は言うまでもなく、代表的な安全資産である金の価格までが急落中だ。債券と仮想通貨も避難場所がない。ただ、ドルだけがパンデミックの世の中の「ノアの方舟」だ。乗れば生存し、落伍すれば死ぬ。
3つ目、機会が良い。ウォール街の代弁者ウォールストリートジャーナル(WSJ)は先週の社説で「金融パニックを落ちつかせるためには米連邦準備制度理事会(FRB)が韓国などと通貨スワップを締結する必要がある」と主張した。12年前の金融危機当時、WSJは国際通貨基金(IMF)の緊急資金支援を挙げて韓国との通貨スワップに否定的だった。WSJの態度の変化は、米政権とFRBを説得するのに良い理由になる可能性がある。
とはいえ容易なことではない。予測不可能なトランプ大統領がどのような反対給付を要求するか分からない。戦略が必要だ。
1つ目、他国を引き込む必要がある。オーストラリア・シンガポール・台湾などを動かさなければいけない。2008年の金融危機当時、米国は韓国など14カ国と通貨スワップを締結した。最後まで求めていたインドネシアと香港は拒否した。当時、韓国は自他共に認める親米国家であった。今はそうでない。韓国だけでは難しい。その点で李洛淵(イ・ナギョン)前首相が国会で「G20国家と通貨スワップ推進」を話したのはアマチュアのようだった。米国は連帯しないだろう。トランプ大統領は気候変動への国際的な取り組みを決めたパリ協定も離脱した。特に中国とはスワップを締結しないだろう。ドルが抜けた通貨スワップはどの国にも意味がない。
2つ目、ウォール街の人脈を総動員しなければいけない。FRBの核心は議長、副議長、ニューヨーク連銀総裁の3人だ。2008年に李明博(イ・ミョンバク)政権はシティグループ会長のロバート・ルービン氏を人脈として動員した。ルービン氏が当時のニューヨーク連銀総裁ティモシー・ガイトナー氏と親しかったからだ。今はニューヨークとワシントンの人脈が事実上断絶している。この人脈から復元しなければいけない。ちょうど韓国銀行(韓銀)の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は初めての再任総裁だ。パウエルFRB議長とは何度か会っている。最大限に活用しなければいけない。経済通の趙潤済(チョ・ユンジェ)前駐米大使も力になるはずだ。
3つ目、水面下で動かなければならない。FRBはプライドが高い。米大統領の言葉も無視する。大きな声で騒げばFRBを刺激する可能性がある。とはいえFRBだけに没頭してはいけない。決定権はFRBにあるが、財務省とホワイトハウス、IMFともつながっている。これを同時に説得しなければいけない。文大統領が自らトランプ大統領を説得する必要もある。
急ぐほどよい。今でも遅いくらいだ。直ちに韓銀総裁と経済副首相をニューヨークとワシントンに送るのがよい。2人を青瓦台(チョンワデ、大統領府)に呼んで利下げ圧力を加えたり、マスク対策を要求したりする時ではない。マスクは首相室で総括すればよい。いろいろと話してきたが、実際は心配だ。あまりにも専門家の話を聞かず、不利になればとぼける政府であるだけに、特に努力もせず、うまくいかなければ「通貨スワップは必要ない」と言い出すかもしれない。当初は「必ず着用すべき」と言っておきながら不足すると「必要ない」と言い出したマスク事態のように。
イ・ジョンジェ/中央日報コラムニスト
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