新型コロナウイルスによる肺炎が初めて現れた時には疾病は市場の関心事ではなかった。SARSやMERSなどこれに先立ち発生した3度の感染症局面で株価が少し落ちたが即座に回復するのを見たためだ。こうした判断は時間が過ぎて変わった。
ウォール街では株価が20%下落すれば上昇傾向が終わったものと見なす。この基準通りならば米国市場はもう11年の上昇を終わらせて弱気相場に入ったことになる。本当に米国市場の上昇は終わったのか? 3つの事実をチェックしてみると、その可能性は大きいようにみられる。
まず高い株価に対する負担だ。新型肺炎発生前にも米国の証券市場は11年間の最長期上昇を継続するほど良いのかに対しては疑問だった。1990年代に米国の証券市場が10年間の好況を享受した時は米国が世界のITをリードしていた時だった。しかし今回は株価上昇の原動力が何かはっきりしない。金融危機以降に金利を下げ、流動性を放出したことが力になったのではないかと漠然と推察するだけだ。このように動力が弱いため株価と経済の間に隙間ができ、流動性がこの部分を埋めてきた。典型的なバブルの形態だ。バブルは予想できないことで崩壊する。2000年のITバブル当時はタイムワーナーのAOL買収に触発されたドットコム企業過大評価議論が契機になったが、今回は新型肺炎がその役割をする可能性がある。
新型肺炎が世界経済に悪影響を与える点も考慮しなければならない。疾病が始まってからさまざまな予測機関が経済見通し調整値を引き下げ、それに合わせて株価が調整されてきた。新型肺炎の世界的な大流行が始まっただけに当分は景気鈍化が株価の足を引っ張る可能性が高い。
市場が信じていたシンドロームが消えた点も考慮しなければならない。今年初めだけでも世界の金融市場は2人のスーパーマンを信じていた。1人目は米連邦準備制度理事会(FRB)だ。11年間株価が下がるたびに金利を下げてこれを防いできた。2人目はトランプ米大統領だ。今年大統領選挙があるだけに経済と株式市場に問題が生じないよう管理するだろうと信じた。
しかしFRBに対する信頼は3日に金利を電撃的に0.5%引き下げたにもかかわらず株価が下がったことで低下した。利下げ政策の効果が以前と同じではないという点が明確になったのだ。先週のトランプ大統領の記者会見は株価をむしろ下落させた。保有税引き下げと1カ月間の欧州旅行禁止措置が実効性議論を呼び起こし、政権の問題解決能力に疑問を持たせたためだ。この100年間に米国市場は上昇傾向が鈍化する場合、ピークから平均40%下落した。下落傾向が始まったとするなら今回もその程度は考えなければならない。いま米国市場はいつ落ちてもおかしくないほど高いためだ。
くやしいのは韓国市場だ。2010年に1682.77から始まった韓国総合株価指数(KOSPI)は13日に1771.44で引けた。5.92%上昇した。同じ期間に米ダウ平均は2.2倍になり、ナスダックは3.5倍に上昇した。韓国の証券市場だけ足踏みをしているようなものだ。
韓国の株価はこれまで上がれなかったが、米国市場が落ちるとともに下がらなければならないのかという不満が出るに値する。これは心理的ショックが大きいためだ。米国など主要国が大きく下落し、合理的判断より感情的な対応が出ているのだ。
心理的ショックが落ち着けば数字を持って株価の適正性を問う状況が広がるだろう。例えばこの10年間でポスコの株価最高値は62万5000ウォン、LGエレクトロニクスは12万6000ウォンだった。いまはそれぞれ17万1000ウォンと5万2500ウォンにとどまっている。韓国代表製造企業の株価が最高値から50~70%落ちたのだ。これに対し営業利益はポスコとLGエレクトロニクスが5兆5000億ウォンと3兆ウォンで株価が最高値を付けた時と同水準だ。企業が手にする利益と株価の間の乖離が大きくなったという話だ。これからはこの部分が先進国の株価が落ちても韓国の市場を捕まえる役割をするとみる。
◇政策が株価下落防げなくても反騰には重要
疾病は心理的影響を与えるだけで構図を決められない。今後の証券市場は経済指標に基づいて決定される。新型肺炎で減った消費は完全に消えたのではない。疾病が落ち着けば先送りされていた消費が「繰り延べ需要」として再び現れる。この需要がどのタイミングでどれだけ大きく現れるかにより今後の経済が決定される。すなわち新型肺炎が反映された経済指標が出てくるが、これを根拠に今後の企業の業績見通しが調整されるだろう。
主要国の景気対策内容も重要だ。政策が株価下落を防ぐことはできなくても株価が下がった後に反騰を作る役割はする。14日の米政権の積極的な対応に米国証券市場が急反騰したのが例だ。おなじみの金融緩和政策より新しい案が出てくれば効果はもっと大きくなる。各国政府がどれだけ優れた政策想像力を持っているかにより株式市場の動きも変わるだろう。
イ・ジョンウ/エコノミスト
ウォール街では株価が20%下落すれば上昇傾向が終わったものと見なす。この基準通りならば米国市場はもう11年の上昇を終わらせて弱気相場に入ったことになる。本当に米国市場の上昇は終わったのか? 3つの事実をチェックしてみると、その可能性は大きいようにみられる。
まず高い株価に対する負担だ。新型肺炎発生前にも米国の証券市場は11年間の最長期上昇を継続するほど良いのかに対しては疑問だった。1990年代に米国の証券市場が10年間の好況を享受した時は米国が世界のITをリードしていた時だった。しかし今回は株価上昇の原動力が何かはっきりしない。金融危機以降に金利を下げ、流動性を放出したことが力になったのではないかと漠然と推察するだけだ。このように動力が弱いため株価と経済の間に隙間ができ、流動性がこの部分を埋めてきた。典型的なバブルの形態だ。バブルは予想できないことで崩壊する。2000年のITバブル当時はタイムワーナーのAOL買収に触発されたドットコム企業過大評価議論が契機になったが、今回は新型肺炎がその役割をする可能性がある。
新型肺炎が世界経済に悪影響を与える点も考慮しなければならない。疾病が始まってからさまざまな予測機関が経済見通し調整値を引き下げ、それに合わせて株価が調整されてきた。新型肺炎の世界的な大流行が始まっただけに当分は景気鈍化が株価の足を引っ張る可能性が高い。
市場が信じていたシンドロームが消えた点も考慮しなければならない。今年初めだけでも世界の金融市場は2人のスーパーマンを信じていた。1人目は米連邦準備制度理事会(FRB)だ。11年間株価が下がるたびに金利を下げてこれを防いできた。2人目はトランプ米大統領だ。今年大統領選挙があるだけに経済と株式市場に問題が生じないよう管理するだろうと信じた。
しかしFRBに対する信頼は3日に金利を電撃的に0.5%引き下げたにもかかわらず株価が下がったことで低下した。利下げ政策の効果が以前と同じではないという点が明確になったのだ。先週のトランプ大統領の記者会見は株価をむしろ下落させた。保有税引き下げと1カ月間の欧州旅行禁止措置が実効性議論を呼び起こし、政権の問題解決能力に疑問を持たせたためだ。この100年間に米国市場は上昇傾向が鈍化する場合、ピークから平均40%下落した。下落傾向が始まったとするなら今回もその程度は考えなければならない。いま米国市場はいつ落ちてもおかしくないほど高いためだ。
くやしいのは韓国市場だ。2010年に1682.77から始まった韓国総合株価指数(KOSPI)は13日に1771.44で引けた。5.92%上昇した。同じ期間に米ダウ平均は2.2倍になり、ナスダックは3.5倍に上昇した。韓国の証券市場だけ足踏みをしているようなものだ。
韓国の株価はこれまで上がれなかったが、米国市場が落ちるとともに下がらなければならないのかという不満が出るに値する。これは心理的ショックが大きいためだ。米国など主要国が大きく下落し、合理的判断より感情的な対応が出ているのだ。
心理的ショックが落ち着けば数字を持って株価の適正性を問う状況が広がるだろう。例えばこの10年間でポスコの株価最高値は62万5000ウォン、LGエレクトロニクスは12万6000ウォンだった。いまはそれぞれ17万1000ウォンと5万2500ウォンにとどまっている。韓国代表製造企業の株価が最高値から50~70%落ちたのだ。これに対し営業利益はポスコとLGエレクトロニクスが5兆5000億ウォンと3兆ウォンで株価が最高値を付けた時と同水準だ。企業が手にする利益と株価の間の乖離が大きくなったという話だ。これからはこの部分が先進国の株価が落ちても韓国の市場を捕まえる役割をするとみる。
◇政策が株価下落防げなくても反騰には重要
疾病は心理的影響を与えるだけで構図を決められない。今後の証券市場は経済指標に基づいて決定される。新型肺炎で減った消費は完全に消えたのではない。疾病が落ち着けば先送りされていた消費が「繰り延べ需要」として再び現れる。この需要がどのタイミングでどれだけ大きく現れるかにより今後の経済が決定される。すなわち新型肺炎が反映された経済指標が出てくるが、これを根拠に今後の企業の業績見通しが調整されるだろう。
主要国の景気対策内容も重要だ。政策が株価下落を防ぐことはできなくても株価が下がった後に反騰を作る役割はする。14日の米政権の積極的な対応に米国証券市場が急反騰したのが例だ。おなじみの金融緩和政策より新しい案が出てくれば効果はもっと大きくなる。各国政府がどれだけ優れた政策想像力を持っているかにより株式市場の動きも変わるだろう。
イ・ジョンウ/エコノミスト
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