韓国を襲った新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）で隠れてはいるが、野生イノシシの間に広がっているアフリカ豚熱（ＡＳＦ）も深刻な状況だ。ＡＳＦウイルスに感染して死んだ野生イノシシが京畿道（キョンギド）坡州（パジュ）や漣川（ヨンチョン）、江原道（カンウォンド）鉄原（チョルウォン）や華川（ファチョン）など境界地域で５カ月間にわたって断続的に見つかっており、最近ではさらにその数が増えているためだ。

昨年１０月、非武装地帯（ＤＭＺ）と民間人出入統制区域内でイノシシのへい死体が確認され始めて以来、今月１０日までに計３４７頭でウイルスの陽性判定が確認された。先月１日以降は２０９頭が見つかり、全体の６割を占める。特に、今月上旬には計６６頭が見つかり、旬単位では最大値を記録した。華川では１３７頭のうち１０３頭（７５％）が先月以降に確認された。

ＡＳＦはイノシシだけでなく飼育豚でもほぼ１００％に達する致死率を示す。１９２１年アフリカ・ケニアで初めて見つかって、１９６０年代西欧に広がり、１９９０年代中盤欧州では撲滅された。しかし、２０１６年再び東欧に伝播し、２０１８年８月以降は中国に拡散したことに続き、昨年５月には北朝鮮鴨緑江（アムノッカン）近接地域でも発生した。


韓国でも昨年９月１７日、京畿道坡州のある農家の豚から最初のＡＳＦ事例が確認された。昨年１１月初旬までに１４軒の農場で発生し、政府と地方自治体は４３万頭を超える豚を屠殺処分するか農家の豚を買い入れて屠殺した。

野生イノシシが飼育豚にウイルスを感染させるという懸念により、政府と地方自治体では昨年秋以降は捕獲などイノシシ遮断にも全力を注いでいる。へい死体発見地点の周辺に１次、２次の柵を設け、さらに広く広域柵まで設置してイノシシの移動を防いだ。柵を設置した後、へい死体を速かに回収し、残ったイノシシを積極的に捕獲する場合、概略で８カ月程度ならイノシシのＡＳＦが小康状態を示すだろうと政府は予想した。だが、５カ月が過ぎた今でもはっきりとした見通しはない。

国立環境科学院環境保健研究科のチョン・ウォンファ・チーム長は「これまで死んだり捕獲されたりしたイノシシの試料２０００件余りを分析し、最近も毎日３０件ほど試料を分析している」と話した。今月９日一日だけでへい死体１４件からウイルスの陽性が確認された。

さらに、先月７日、華川郡看東面（カンドンミョン）の広域柵外で捕獲された野生イノシシからＡＳＦウイルスが発見され、防疫当局を緊張させた。韓国政府はＡＳＦが楊口（ヤング）地域から東進するのを遮断しようと、楊口地域を縦断する柵を２つ設置するなど追加の対策準備に出た。


【コラム】イノシシのアフリカ豚熱も深刻だ＝韓国（２）