新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、今年の夏の東京オリンピック（五輪）が中止になる可能性も徐々に高まっている。五輪が中止になる場合、国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）とアメリカ地域の中継権者ＮＢＣ、東京オリンピック組織委員会などの財政損失はどれほどになるのか。

ＡＰ通信は１１日、「ＩＯＣは予想以上に財政的被害が少ないかもしれない」と報じた。ＩＯＣは中止に対応して保険に加入している。年次報告書によると、ＩＯＣは中止保険料として２０１６年リオデジャネイロ五輪では１４４０万ドル、２０１８年平昌（ピョンチャン）五輪では１２８０万ドルを支払った。東京五輪の保険料はさらに高くなるしかない。ＡＰ通信は「保険会社が相当な損失費用をＩＯＣに支払わなければならないはず」という見方を示した。また、ＩＯＣは２０２２年北京冬季五輪まで運営費として充当できる予備費性格の２０億ドルを別に保有しているという。

米ＮＢＣは２０１４－２０年に４度の五輪中継権料としてＩＯＣに４３億８０００万ドルを支払った。１大会あたり平均１０億９５００万ドルだ。東京五輪が中止になる場合、中継権料はまるごと失う。ＩＯＣ側に損害賠償を請求するのだろうか。弁護士業界は「その可能性は低い」という。長期的なパートナー関係にあるからだ。またＮＢＣの損失も大きくないと予想される。保険に加入しているからだ。ＮＢＣの親会社コムキャストのブライアン・ロバーツ会長は「広告収益が得られないのが惜しいだけ」と述べた。リオデジャネイロ五輪当時のＮＢＣの広告収益は２億５０００万ドルだった。東京五輪はさらに多いと予想している。


ＩＯＣと中継放送局とは違い、東京五輪組織委が受ける打撃は大きい。組織委は大会の準備に公式に１２６億ドルを支出した。実際に投入した金額はさらに多い。しかしこのうち保険会社を通じて補償されるのは最大予算の３％の４６００億ウォンほどだ。このほか大会準備のために投資したホテル・飲食店など東京のサービス会社も損失が避けられない。ＡＰ通信は「サービス業者がすべて保険に加入したわけではない」と伝えた。ＳＭＢＣ日興証券は６日、「東京五輪が開催されない場合、７兆８０００円の経済的損失が発生し、日の本国内総生産（ＧＤＰ）は１．４％減少する」と予想した。

新型コロナによる否定的な見方が強まり、東京組織委も五輪開催強行からやや後退する姿だ。組織委の高橋治之理事は１１日、ウォールストリートジャーナルのインタビューで「今年の夏季五輪が開催されなければ１、２年延期するのが最も現実的なオプション。（秋には）米国のプロ野球、アメリカンフットボール、欧州のサッカーなどメジャーイベントと重なる可能性があり、１年以内の短期間の延期は難しいだろう」と述べた。東京五輪が２年延期になる場合、２０２２年には北京冬季五輪と東京夏季五輪、カタールワールドカップ（Ｗ杯）が同じ年に開催されることになる。