仁川(インチョン)国際空港を飛び立った航空機が飛行途中で戻ってきて、中国在住の韓国人の玄関の扉には釘が打ち込まれるというのが大韓民国の現実だ。韓国人だという理由で世界各地で侮辱を受け恥をかいている。現在のこの国の姿だ。このような状況になったのは、危険を甘受して中国人を受け入れてやった結果だ。空港さえ防げば良かったのに、文在寅(ムン・ジェイン)政府は反対に行った。国民の安全と権益を掲げて執権し、「第2の中東呼吸器症候群(MERS)予防」は100大国政課題だったのに、なぜそうしたのか。
文政権の親中反米、親北反日思考を思い浮かべる人々が多い。習近平主席の訪韓と新たな南北イベントのようなもののために最小化を選んだというのだ。そうでなくても、4月の総選挙を控えて、北朝鮮個別観光を突破口として南北関係の再開に突き進むだろうといううわさがまことしやかに囁かれていた。習主席が平壌(ピョンヤン)から列車でソウルまで来て、板門店(パンムンジョム)までは金正恩(キム・ジョンウン)が同行するだろうという話まであった。とにかく「旅行制限は不必要」という駐韓中国大使の脅迫混じりのコメントが出てきたあたりから出回るようになった。
どれほど信憑性がある話なのかはよく分からない。北朝鮮に足を入れた瞬間、米国入国にブレーキがかかるご時世だ。個別観光の信号弾を打ち上げても、すんなり受け入れられることは難しい構造だ。騒がしい習近平訪韓イベントが可能かどうかにも疑問符がつく。だからこそ余計に知りたい。専門家の防疫強化の意見が次々とあがっていたとき、青瓦台(チョンワデ、大統領府)はなぜ国の玄関口を開けたままにしておいたのか。聞きたい専門家の話だけを選んで前面に掲げたのか。
まだある。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)が青瓦台に向かって「怖気づいた犬」と暴言を浴びせた。大統領が南北関係の復元を叫んだ翌日、「せん滅の放射弾」を飛ばすと言葉の爆弾を浴びせた。黙殺無返答の青瓦台からは得意の警告の声明さえ出てこない。それどころか。その日、統一部は業務報告で、北朝鮮個別観光と南北鉄道連結の推進を明らかにした。「茹でた牛頭」という侮辱を聞いたときでさえもだ。だからこそ、青瓦台は何を考えているのか、本当に知りたい。
文大統領が「スーパー伝播者は他でもない政府自身だった」と前政府を激しく攻撃しているとき、中東呼吸器症候群(MERS)の感染者は100人にも満たない2桁状況だった。それでも特別声明で「国民がMERSと死闘を繰り広げている間、政府は後手になって騒ぐ対応と秘密主義で国民の混乱だけを深め、コントロールタワーは作動しなかった」と大統領の謝罪を要求し、捜査するならその対象は政府だと圧迫した。今、文大統領は「すべての情報が透明に公開される点は良くなった」とし、MERS防疫失敗を取り上げ自賛している。
果たしてそうだろうか。先日、与野党代表会談で、大統領は中国の滞在歴がある外国人遮断に対して「初期ならまだしも…」と述べたという。その通りだ。今は中国人入国禁止は必要なくなった。韓国にいた中国人まで本国に引き揚げるようなエクソダスが現実化している。だが「実効性があった初期になぜ遮断しなかったのか」という疑問は解消されない。それが最初の謎だ。説明どころか中国の後を追うくらいの最悪の防疫失敗に謝罪さえない無誤謬政府だ。
「イニ大統領」に「景気がどうしようもない」」と話した商人は「ムンッパ(文大統領の熱烈な支持者)」のテロに近い攻撃を受けた。大統領非難ビラを回した50代家庭主婦は手錠はめられて連れて行かれた。不敬罪だったに違いない。不敬だと耳にするのもきまり悪い悪口を浴びせる北朝鮮がそうで、凄み脅迫しながら「韓国が心配」と面と向かって非難する中国がそうだ。それでも彼らに対して頭が上がらず這いつくばって小さくなる政府だ。支持層の自尊心はこっち、国民の自尊心はあっちだ。
ウイルス感染は病理現象だ。だが、感染が広がって恐怖が大きくなるのは人災だ。なすがままに「コロナコリア」を作っておきながら「とにかく良くなった」と言ってはいるものの、MERS事態と比較してどうかということについては国民のほうがよく知っている。ただし、知りたいのは科学を科学で対応せずに政治で対応した理由だ。なぜそうしたのか。国民の知りたいことに明快に答える政府が透明な政府だ。そうできないから政府こそが危機の中心だと言われるのだ。そんなことでコロナとどう戦うつもりなのか。
チェ・サンヨン/論説委員
文政権の親中反米、親北反日思考を思い浮かべる人々が多い。習近平主席の訪韓と新たな南北イベントのようなもののために最小化を選んだというのだ。そうでなくても、4月の総選挙を控えて、北朝鮮個別観光を突破口として南北関係の再開に突き進むだろうといううわさがまことしやかに囁かれていた。習主席が平壌(ピョンヤン)から列車でソウルまで来て、板門店(パンムンジョム)までは金正恩(キム・ジョンウン)が同行するだろうという話まであった。とにかく「旅行制限は不必要」という駐韓中国大使の脅迫混じりのコメントが出てきたあたりから出回るようになった。
どれほど信憑性がある話なのかはよく分からない。北朝鮮に足を入れた瞬間、米国入国にブレーキがかかるご時世だ。個別観光の信号弾を打ち上げても、すんなり受け入れられることは難しい構造だ。騒がしい習近平訪韓イベントが可能かどうかにも疑問符がつく。だからこそ余計に知りたい。専門家の防疫強化の意見が次々とあがっていたとき、青瓦台(チョンワデ、大統領府)はなぜ国の玄関口を開けたままにしておいたのか。聞きたい専門家の話だけを選んで前面に掲げたのか。
まだある。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)が青瓦台に向かって「怖気づいた犬」と暴言を浴びせた。大統領が南北関係の復元を叫んだ翌日、「せん滅の放射弾」を飛ばすと言葉の爆弾を浴びせた。黙殺無返答の青瓦台からは得意の警告の声明さえ出てこない。それどころか。その日、統一部は業務報告で、北朝鮮個別観光と南北鉄道連結の推進を明らかにした。「茹でた牛頭」という侮辱を聞いたときでさえもだ。だからこそ、青瓦台は何を考えているのか、本当に知りたい。
文大統領が「スーパー伝播者は他でもない政府自身だった」と前政府を激しく攻撃しているとき、中東呼吸器症候群(MERS)の感染者は100人にも満たない2桁状況だった。それでも特別声明で「国民がMERSと死闘を繰り広げている間、政府は後手になって騒ぐ対応と秘密主義で国民の混乱だけを深め、コントロールタワーは作動しなかった」と大統領の謝罪を要求し、捜査するならその対象は政府だと圧迫した。今、文大統領は「すべての情報が透明に公開される点は良くなった」とし、MERS防疫失敗を取り上げ自賛している。
果たしてそうだろうか。先日、与野党代表会談で、大統領は中国の滞在歴がある外国人遮断に対して「初期ならまだしも…」と述べたという。その通りだ。今は中国人入国禁止は必要なくなった。韓国にいた中国人まで本国に引き揚げるようなエクソダスが現実化している。だが「実効性があった初期になぜ遮断しなかったのか」という疑問は解消されない。それが最初の謎だ。説明どころか中国の後を追うくらいの最悪の防疫失敗に謝罪さえない無誤謬政府だ。
「イニ大統領」に「景気がどうしようもない」」と話した商人は「ムンッパ(文大統領の熱烈な支持者)」のテロに近い攻撃を受けた。大統領非難ビラを回した50代家庭主婦は手錠はめられて連れて行かれた。不敬罪だったに違いない。不敬だと耳にするのもきまり悪い悪口を浴びせる北朝鮮がそうで、凄み脅迫しながら「韓国が心配」と面と向かって非難する中国がそうだ。それでも彼らに対して頭が上がらず這いつくばって小さくなる政府だ。支持層の自尊心はこっち、国民の自尊心はあっちだ。
ウイルス感染は病理現象だ。だが、感染が広がって恐怖が大きくなるのは人災だ。なすがままに「コロナコリア」を作っておきながら「とにかく良くなった」と言ってはいるものの、MERS事態と比較してどうかということについては国民のほうがよく知っている。ただし、知りたいのは科学を科学で対応せずに政治で対応した理由だ。なぜそうしたのか。国民の知りたいことに明快に答える政府が透明な政府だ。そうできないから政府こそが危機の中心だと言われるのだ。そんなことでコロナとどう戦うつもりなのか。
チェ・サンヨン/論説委員
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