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【時視各角】今のコロナ対策ではダメだ=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2014年初め、西アフリカでは致命的なエボラ出血熱が流行り、1年で1万700人余りが亡くなった。これといった治療薬がなく、感染すれば40%以上が出血ののちに死ぬという原因不明の病気だった。だが、この病気の本当に恐ろしさは別のところにあった。エボラで亡くなった患者よりも、医療システムの崩壊で犠牲になった死亡者のほうが多かったのだ。

当時、医者や看護師、そして病床など、ほぼすべての医療資産がエボラに集中したため他の患者は後回しにされた。このため、前年に比べてマラリアによる死亡者だけで1万900人余りも増えた。アフリカではマラリアだけでなく、はしかや肺炎、下痢病、栄養失調および出産などで亡くなるケースが多い。このことを考慮すると、医療システムの崩壊に伴う犠牲者はエボラ死亡者の数倍に達するというのが専門家の分析だ。あえて5~6年前のアフリカ事例を引き合いに出したのは、今、韓国社会が同じような危機に直面しているためだ。信じたくないが、現在の韓国は新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)にかかっても、どこでどのように感染したのか分からない「地域社会(市中)感染」段階に入った。無症状者が多いうえ、発病初期でも感染力が強い特性のため、近い将来全国的に原因不明の病気が吹き荒れる公算が大きい。

大邱(テグ)・慶尚北道(キョンサンブクド)で感染者があふれ、ここだけ防げば大丈夫と思うのは大きな間違いだ。これまで、この地域の新天地教徒を集中的に検査したためこのような結果が出ただけのことだ。他の場所で同じように調査していたなら、感染者の分布は変わっていただろう。


昔から感染病が広がれば対策は大きく2つだった。1つ目は封鎖・隔離だ。汚染地域は外部から孤立させて、感染も医療スタッフ以外は誰とも接触できないようにするか、いっそ閉じ込めてしまうやり方だ。今回中国政府が取ったのが強力な封鎖・隔離措置だった。2つ目は感染病の流行を既成事実として受け止めた後、重症者だけを治療するやり方だ。症状が概して致命的ではない風邪などに対応するやり方で、日本がこのやり方を選んだようだ。

韓国はどちらか。我々は中国の凄じい感染状況と混乱に恐れをなしたためか、最初から症状の軽重とは関係なく、とにかく感染者を捜し出して隔離した。全体的な病床規模や医療陣状況などを綿密に考慮することもせずにだ。その結果、格別な症状のない軽症者は病院の食事を食い減らして重症者用陰圧病室に横になっている場合が多い。当の重傷者には病床がなく自家隔離中に死んでいくということだ。世界保健機関(WHO)では称賛が高いといっても、中国式の封鎖・隔離モデルは韓国では到底使うことはできない。「大邱封鎖」云々するだけでも与党報道官が追い出されるというところなのに。自家隔離中の感染者や感染が疑われる人が外に出るため完全に防ぐ方法がない。

だから今は韓国の状況に合うように誰彼構わない感染者探しや隔離ではない、新たな方法を探さなければならない。病床不足もそうだが、今のように医者や看護師が多忙を極める状況でこの先どれほど持ちこたえられるというのか。マラソン競争を100メートル短距離走のように走ってはいけない。

米国と日本では、相当期間の高熱と乾いたせきおよび咽喉痛などがないととコロナ検査は行わない。これに対して「米国大統領選挙と日本オリンピック(五輪)開催を意識した消極的対応」という陰謀説も出ているが、それぞれ明確な論理がある。「手当たりしだいに軽症コロナ患者まで入院治療すれば医療システムが崩壊して、寸刻を争う急病患者が治療できなくなる」という主張だ。

実際、韓国社会では毎日のように急病患者があふれている。交通事故だけでも昨年21万件余りが発生して32万人余りがケガして3700人余りが亡くなった。産業現場でも10万人余りのケガ人が出ているし、このうち2100人余りが犠牲になった。今のように新型コロナだけにオールインしていれば、このようなケガ人はもちろん、心臓まひなど急病患者さえもまともに治療受けられないまま犠牲になってしまう。今からでも大きい絵を見るようにして、新型コロナに対抗することが全社会的な犠牲を減らすことができる正しい道だ。

ナム・ジョンホ/論説委員



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