大韓民国がストップした。裁判所が次々と休廷し、教会のミサが中止になった。卒業式は保護者の出入りが禁止され、全国すべての幼稚園と小中高校の始業式が延期された。このため映画や外食などを楽しむことは考えられず、あらゆる日常生活がまひし、知人訪問や海外旅行など国内外の移動の自由まで制約され、全国民が不安と恐怖の日々を過ごしている。
新型コロナ感染者が徐々に増えているソウルもこのような状況だが、防疫網が事実上崩壊した大邱(テグ)は今どれほど強い恐怖を感じているだろうか。強い伝染力にもかかわらず病床不足のため自宅にいる感染者が数百人を超え、医療関係者は最小限の保護装具も確保できず焦りを感じている。爆撃でも受けたように人の姿が見えない道路、これとは対照的にマスクを購入するため大型マートで長い列を作る人たち…。国を失った難民でもなく税金を収めている国民が、いったいなぜこれほどの苦痛を感じなければいけないのかと怒りを感じる。
韓国は中国ではない。まして中国に朝貢して頭を下げる属国では決してない。なのに、なぜ治療の代わりに口止めで自国国民を犠牲にした中国の前轍を自ら踏もうとしているのか。韓国国内でも不足しているマスクと防護服をなぜ依然として中国に送ろうと焦っているのか。
世界最高水準の実力に新型インフルエンザとMERS(中東呼吸器症候群)で感染病対応経験までした国内の医療関係者は、治療薬のないこの病気から国民を保護するには震源地から入る感染源を最大限に遮断してまず時間を稼ぐべきだという点を知っていた。そしてそれを強く求めた。しかし総選挙前の習近平国家主席の訪韓にこだわった青瓦台(チョンワデ、大統領府)と政府は中国から入る扉を開いておいた。そして国民には予定されていた行事をそのまま進行し、普段のように外部の飲食店を利用して会食をするよう勧めたりもした。専門家の意見に耳を傾けず国民は感染源にすべて露出させておきながら、青瓦台は最初から徹底的に消毒してきた。生徒たちに「動かず待機してほしい」と案内して一人で脱出したセウォル号の船長のように。
これほどの破廉恥はない。中国を意識しているとして激しい市民の抵抗を受けた香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官さえも「医療関係者のためにマスク在庫を備蓄する必要がある」とし、公務員にはマスク禁止令を出した。こうした当然の判断さえも今の韓国では見られない。
セウォル号当時の政府、いや正確には青瓦台の不在を分秒単位で追及した今の執権勢力は、地域感染が全国的に広がって死者が連日増えるこの時局にも1カ月以上もマスク不足を解決できず、国民各自の努力に任せている。それだけではない。中国には防護服10万個を送るとし、大邱の防疫現場の医療関係者には防護服の代わりにガウンを着て診断してほしいと指針を出す。なぜ韓国政府でなく歌手のアイユー(IU)が防護服など不足物品に使ってほしいとして医師協会に1億ウォンを寄付する姿に安堵しなければいけないのか。これほどになれば国家はなぜ必要なのかという根本的な疑問を投じるしかない。
無能なら口でも閉じるのが道理だが、なぜかこの政府の関係者は不必要な発言をしてさらに問題を起こす。保健医療に関する専門性どころか文在寅ファンクラブの発起人経歴をきっかけに長官に就いた朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官は青瓦台とコードを合わせようと常軌を逸した。国会で「(感染拡大の)最も大きな原因は中国から入ってきた韓国人」「韓国人が中国に行って来て感染をもたらした」「中国から入った韓国人が最大の原因」と公式的に国民のせいにした。
政府の過ちを国民のせいにし、外国で韓国国民が侮辱を受けても話す言葉を失わせるのは康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も同じだ。現地警察に任せるべきハンガリー遊覧船事故には大統領の目を意識して駆けつけた康長官だったが、国民が外国でいかなる告知も受けられず飛行機に乗ったまま送還されたり、収容所に入れられたり、屈辱的な差別を受けて嘲弄されていても、のんきにジュネーブ国連人権理事会で演説する。「特定宗教を中心に感染者が急増した」と内部に非難の矛先を向けながらだ。
青瓦台は国民の安全よりも中国ばかり眺め、長官はそのような大統領ばかり眺めているため、青瓦台の国民請願掲示板では文大統領弾劾請願が100万を超え、国全体がセウォル号という声が出ている。セウォル号の悲劇は当時の一度で十分だ。
アン・ヘリ/論説委員
新型コロナ感染者が徐々に増えているソウルもこのような状況だが、防疫網が事実上崩壊した大邱(テグ)は今どれほど強い恐怖を感じているだろうか。強い伝染力にもかかわらず病床不足のため自宅にいる感染者が数百人を超え、医療関係者は最小限の保護装具も確保できず焦りを感じている。爆撃でも受けたように人の姿が見えない道路、これとは対照的にマスクを購入するため大型マートで長い列を作る人たち…。国を失った難民でもなく税金を収めている国民が、いったいなぜこれほどの苦痛を感じなければいけないのかと怒りを感じる。
韓国は中国ではない。まして中国に朝貢して頭を下げる属国では決してない。なのに、なぜ治療の代わりに口止めで自国国民を犠牲にした中国の前轍を自ら踏もうとしているのか。韓国国内でも不足しているマスクと防護服をなぜ依然として中国に送ろうと焦っているのか。
世界最高水準の実力に新型インフルエンザとMERS(中東呼吸器症候群)で感染病対応経験までした国内の医療関係者は、治療薬のないこの病気から国民を保護するには震源地から入る感染源を最大限に遮断してまず時間を稼ぐべきだという点を知っていた。そしてそれを強く求めた。しかし総選挙前の習近平国家主席の訪韓にこだわった青瓦台(チョンワデ、大統領府)と政府は中国から入る扉を開いておいた。そして国民には予定されていた行事をそのまま進行し、普段のように外部の飲食店を利用して会食をするよう勧めたりもした。専門家の意見に耳を傾けず国民は感染源にすべて露出させておきながら、青瓦台は最初から徹底的に消毒してきた。生徒たちに「動かず待機してほしい」と案内して一人で脱出したセウォル号の船長のように。
これほどの破廉恥はない。中国を意識しているとして激しい市民の抵抗を受けた香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官さえも「医療関係者のためにマスク在庫を備蓄する必要がある」とし、公務員にはマスク禁止令を出した。こうした当然の判断さえも今の韓国では見られない。
セウォル号当時の政府、いや正確には青瓦台の不在を分秒単位で追及した今の執権勢力は、地域感染が全国的に広がって死者が連日増えるこの時局にも1カ月以上もマスク不足を解決できず、国民各自の努力に任せている。それだけではない。中国には防護服10万個を送るとし、大邱の防疫現場の医療関係者には防護服の代わりにガウンを着て診断してほしいと指針を出す。なぜ韓国政府でなく歌手のアイユー(IU)が防護服など不足物品に使ってほしいとして医師協会に1億ウォンを寄付する姿に安堵しなければいけないのか。これほどになれば国家はなぜ必要なのかという根本的な疑問を投じるしかない。
無能なら口でも閉じるのが道理だが、なぜかこの政府の関係者は不必要な発言をしてさらに問題を起こす。保健医療に関する専門性どころか文在寅ファンクラブの発起人経歴をきっかけに長官に就いた朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官は青瓦台とコードを合わせようと常軌を逸した。国会で「(感染拡大の)最も大きな原因は中国から入ってきた韓国人」「韓国人が中国に行って来て感染をもたらした」「中国から入った韓国人が最大の原因」と公式的に国民のせいにした。
政府の過ちを国民のせいにし、外国で韓国国民が侮辱を受けても話す言葉を失わせるのは康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も同じだ。現地警察に任せるべきハンガリー遊覧船事故には大統領の目を意識して駆けつけた康長官だったが、国民が外国でいかなる告知も受けられず飛行機に乗ったまま送還されたり、収容所に入れられたり、屈辱的な差別を受けて嘲弄されていても、のんきにジュネーブ国連人権理事会で演説する。「特定宗教を中心に感染者が急増した」と内部に非難の矛先を向けながらだ。
青瓦台は国民の安全よりも中国ばかり眺め、長官はそのような大統領ばかり眺めているため、青瓦台の国民請願掲示板では文大統領弾劾請願が100万を超え、国全体がセウォル号という声が出ている。セウォル号の悲劇は当時の一度で十分だ。
アン・ヘリ/論説委員
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