伝染病感染者に対する嫌悪の視線を向けられたことがある。新型コロナウイルス感染症の渦中で思い出された遠い昔の場面だ。
小学校3年生の時だった。朝、手の平に斑点が現れて病院に行ったところ「風疹」だった。3日間、学校を欠席した。医者が「学校へ行ってもかまわない」と言ったので4日ぶりに登校した。顔にやや赤い斑点が残ったままだった。
「病院が登校してもいいって言ったのか?」挨拶を受けた担任先生が開口一番放った言葉だった。怖いくらいのしかめっ面に含まれた感情は明らかに嫌悪だった。突然ウイルスの塊りになった9歳の子どもは耳まで真っ赤になったまま「お医者さんが大丈夫って言ったんです」と答えた。悪い先生ではなかった。ちょうど私の前の席にいた、前日風邪で1日欠席した友人には、彼は「体の調子はどう?」と優しく聞いていた。
結果的に彼を恨みはしなかった。その後、私のクラスで13人の追加風疹感染者が出てきたためだ。大型病院の先生の診断より本能的に顔をしかめた先生のほうがもっと正確だった。
先日、会社の前の道で桃色のマスクを着用した2人の子ども連れ夫婦と遭遇した。マスクをつけていたが一目で中国人観光客であることが分かった。夫婦の目つきがなぜか不安そうに見えた。新型コロナ拡散で広まっている中国人に対する警戒感のためではないかと考えた。
振り返ってみると、このような推測そのものが根拠がなく偏見だらけだ。実際は正反対かもしれない。中国人観光客夫婦はマスクをつけないで通りを闊歩する韓国人が自分たちにウイルスを移さないだろうか、それをむしろ心配していたのではないか。
ユーラ・ビスは『子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。』で進化心理学の「行動免疫系」を説明している。「外部者、移民者、腕と脚がない人、顔に烙印が押された人を避けるのは古くなった疾病の予防戦術だ。行動免疫系は我々に何の危害を加えない人々に対しても簡単に作動を開始する。(中略)人々が偏見に傾く傾向性は自分が特に弱っていると感じたり、疾病に対して脅威を感じたりした時にさらに強化される」
外国人入国者に対する警戒が先史時代から体得した人類の生存の秘法だとは。それならこれをなくすようにするのは難しいようだ。ただし、肝に銘じよう。いま送る嫌悪の眼差しがいつ何時再登場して、私の家族に刺さることがあるかもしれないということを。先述の本をもう一度引用するなら「我々はいつも互いの環境だ」。
ハン・エラン/金融チーム長
小学校3年生の時だった。朝、手の平に斑点が現れて病院に行ったところ「風疹」だった。3日間、学校を欠席した。医者が「学校へ行ってもかまわない」と言ったので4日ぶりに登校した。顔にやや赤い斑点が残ったままだった。
「病院が登校してもいいって言ったのか?」挨拶を受けた担任先生が開口一番放った言葉だった。怖いくらいのしかめっ面に含まれた感情は明らかに嫌悪だった。突然ウイルスの塊りになった9歳の子どもは耳まで真っ赤になったまま「お医者さんが大丈夫って言ったんです」と答えた。悪い先生ではなかった。ちょうど私の前の席にいた、前日風邪で1日欠席した友人には、彼は「体の調子はどう?」と優しく聞いていた。
結果的に彼を恨みはしなかった。その後、私のクラスで13人の追加風疹感染者が出てきたためだ。大型病院の先生の診断より本能的に顔をしかめた先生のほうがもっと正確だった。
先日、会社の前の道で桃色のマスクを着用した2人の子ども連れ夫婦と遭遇した。マスクをつけていたが一目で中国人観光客であることが分かった。夫婦の目つきがなぜか不安そうに見えた。新型コロナ拡散で広まっている中国人に対する警戒感のためではないかと考えた。
振り返ってみると、このような推測そのものが根拠がなく偏見だらけだ。実際は正反対かもしれない。中国人観光客夫婦はマスクをつけないで通りを闊歩する韓国人が自分たちにウイルスを移さないだろうか、それをむしろ心配していたのではないか。
ユーラ・ビスは『子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。』で進化心理学の「行動免疫系」を説明している。「外部者、移民者、腕と脚がない人、顔に烙印が押された人を避けるのは古くなった疾病の予防戦術だ。行動免疫系は我々に何の危害を加えない人々に対しても簡単に作動を開始する。(中略)人々が偏見に傾く傾向性は自分が特に弱っていると感じたり、疾病に対して脅威を感じたりした時にさらに強化される」
外国人入国者に対する警戒が先史時代から体得した人類の生存の秘法だとは。それならこれをなくすようにするのは難しいようだ。ただし、肝に銘じよう。いま送る嫌悪の眼差しがいつ何時再登場して、私の家族に刺さることがあるかもしれないということを。先述の本をもう一度引用するなら「我々はいつも互いの環境だ」。
ハン・エラン/金融チーム長
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