「75分間も電話をしたというが、それは恋人関係であってこそ可能な時間ではないのか」。
先月21日夜、トランプ米大統領と安倍晋三首相の電話会談について聞いた民間放送TBSの時事番組の司会者が述べた言葉だ。歴代最高の相性という両首脳の33回目の電話会談だった。
イランの大統領としては19年ぶりに日本を訪問したロウハニ大統領が安倍首相と会談した翌日だった。北朝鮮問題が主に議論されたというが、トランプ大統領の本当の関心事はイランとロウハニ大統領の動きだったはずだ。
逆に安倍首相を悩ませてきた宿題、自衛隊の中東派遣問題が終わった日でもあった。7月初めに米国がホルムズ海峡の安全確保のために有志連合の構成を要請してから5カ月後だった。
前日、ロウハニ大統領は「航行の安全確保に貢献するという日本の意図は分かった」と述べ、自衛隊の中東派遣に理解を示した。安倍首相は翌日、「イランの敵」である米国のトランプ大統領と電話会談をした。双方からOKを受けた安倍首相は6日後の閣議で自衛隊派遣案を決定した。
「米国主導の有志連合への参加ではなく独自の派遣、米国と情報交換、武器使用のない調査・研究名目、火薬庫のホルムズ海峡は活動範囲から除外」などが骨子だった。トランプ大統領と伝統的友好国イランの体面をともに配慮した苦悩の結果だった。
最後まで慌ただしかった韓国とは違い、日本の派遣案は昨年夏に決定していた。昨年10月中旬に国家安全保障会議まで開いて細部方向を確定した。国際情勢を眺めながらイランの同意を得ようと見計らっていたのだ。
専門家らは「昨年8月と9月に相次いで開かれた日米首脳会談で、安倍首相が日本の立場をトランプ大統領に説明したはず」と話している。首脳間の対話でトランプ大統領の期待水準をあらかじめ緩和させた可能性があるということだ。
「同盟軽視、秩序破壊」に要約されるトランプ大統領のアメリカファースト路線に日本は当惑している。「日米同盟は永遠と考えていたが、トランプ大統領を見ると必ずしもそうではない。永遠の同盟はない」(五百籏頭眞元防衛大学校校長)という危機感を抱いている。19日に日米安全保障条約署名60周年を迎え、安倍首相がアイゼンハワー元大統領の孫まで招待したのも「危機感の発露」という指摘が出る。
実際、日本はその間、トランプ大統領の「攻勢」に比較的敏捷に対応してきた。首脳間の事前意思疎通→米国の期待水準の緩和→日本が受け入れ可能な解決法の提示→米国側の要求の70-80%で妥結する安倍式の「クッション外交」が作動した。
交渉開始から1年後に妥結し、1月に発効した日米貿易協定も同じだ。安倍首相は4月(ワシントン)、5月(東京)、6月(大阪)、8月(仏ビアリッツ)の首脳会談でトランプ大統領といわゆる「根回し」と呼ばれる事前調整作業をした。5月の日本国賓訪問当時はゴルフと炉端焼き、相撲観覧の接待を受けたトランプ大統領が「交渉を7月の参院選後まで待つ」と配慮したのが代表的な例だ。
9月の合意は「米国の農産物と日本の自動車の関税を日本の主導で発効した環太平洋経済連携協定(TPP)水準に下げる」というものだった。トランプ大統領は「米国の勝利」と主張したが、日本も自動車に対する追加関税を避けるなどそれなりの成果があった。「米中貿易紛争の中で不確実性を減らした」という財界の歓迎ムードの中、協定は昨年末、日本国会を通過した。
しかし安倍首相の個人技に依存する両国関係には暗礁が隠れている。まず、韓国と同じく在日米軍防衛費分担金が懸案として急浮上している。来年3月まで有効の現協定に代わる新しい交渉が今年夏以降に始まる。基地内の日本人職員の基本給と暖房・水道料金などに対する日本側の負担金、いわゆる「思いやり予算」(2019年基準で約20億ドル)の引き上げ幅が焦点だ。
読売新聞によると、昨年7月に訪日した当時のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が「韓国には従来の5倍を要求した」と紹介すると、当時の岩屋毅防衛相は「米兵の人件費まで支払えば、それは(同盟でなく)傭兵になってしまう。米軍のプライドが損なわれるのではないか」と受け返す場面もあった。河野太郎防衛相も最近「日米同盟の価値は金銭では計れない」と述べ、牽制を始めた。
日本政府はこの問題でも「クッションを通じた解決」を構想中だ。安倍首相は14回行われた首脳会談のたびにトランプ大統領に「米サンディエゴに基地を置くよりも日本に置く方が安いのでは」と日本の安保への貢献を強調した。このほかF35戦闘機や地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」など米国産武器の購入、無人島買い取りを通じた米軍艦載機訓練場所の提供などで米国の要求を引き下げるという腹案だが、この程度でトランプ大統領が満足するかは未知数だ。
アメリカファーストに対抗する日本の戦略と戦術は安倍首相が直接指揮する。インド・豪州・東南アジアなど「準同盟」の確保に注力したり中国との関係改善を併行したりと、大きな絵はすべて安倍首相が描く。7月の米国の中東派兵要請後に外務省の中東アフリカ局長が首相執務室に呼ばれた日数が27日にのぼるほど、政府内の細部の議論も安倍首相が主管する。
国益の前で与野党の対立が激しくないのは日本の強みだ。安倍内閣の支持率を10%以上落とした「桜を見る会」スキャンダルの中でも、日本の国会は昨年末、日米貿易交渉を大きな衝突なく批准した。
先月21日夜、トランプ米大統領と安倍晋三首相の電話会談について聞いた民間放送TBSの時事番組の司会者が述べた言葉だ。歴代最高の相性という両首脳の33回目の電話会談だった。
イランの大統領としては19年ぶりに日本を訪問したロウハニ大統領が安倍首相と会談した翌日だった。北朝鮮問題が主に議論されたというが、トランプ大統領の本当の関心事はイランとロウハニ大統領の動きだったはずだ。
逆に安倍首相を悩ませてきた宿題、自衛隊の中東派遣問題が終わった日でもあった。7月初めに米国がホルムズ海峡の安全確保のために有志連合の構成を要請してから5カ月後だった。
前日、ロウハニ大統領は「航行の安全確保に貢献するという日本の意図は分かった」と述べ、自衛隊の中東派遣に理解を示した。安倍首相は翌日、「イランの敵」である米国のトランプ大統領と電話会談をした。双方からOKを受けた安倍首相は6日後の閣議で自衛隊派遣案を決定した。
「米国主導の有志連合への参加ではなく独自の派遣、米国と情報交換、武器使用のない調査・研究名目、火薬庫のホルムズ海峡は活動範囲から除外」などが骨子だった。トランプ大統領と伝統的友好国イランの体面をともに配慮した苦悩の結果だった。
最後まで慌ただしかった韓国とは違い、日本の派遣案は昨年夏に決定していた。昨年10月中旬に国家安全保障会議まで開いて細部方向を確定した。国際情勢を眺めながらイランの同意を得ようと見計らっていたのだ。
専門家らは「昨年8月と9月に相次いで開かれた日米首脳会談で、安倍首相が日本の立場をトランプ大統領に説明したはず」と話している。首脳間の対話でトランプ大統領の期待水準をあらかじめ緩和させた可能性があるということだ。
「同盟軽視、秩序破壊」に要約されるトランプ大統領のアメリカファースト路線に日本は当惑している。「日米同盟は永遠と考えていたが、トランプ大統領を見ると必ずしもそうではない。永遠の同盟はない」(五百籏頭眞元防衛大学校校長)という危機感を抱いている。19日に日米安全保障条約署名60周年を迎え、安倍首相がアイゼンハワー元大統領の孫まで招待したのも「危機感の発露」という指摘が出る。
実際、日本はその間、トランプ大統領の「攻勢」に比較的敏捷に対応してきた。首脳間の事前意思疎通→米国の期待水準の緩和→日本が受け入れ可能な解決法の提示→米国側の要求の70-80%で妥結する安倍式の「クッション外交」が作動した。
交渉開始から1年後に妥結し、1月に発効した日米貿易協定も同じだ。安倍首相は4月(ワシントン)、5月(東京)、6月(大阪)、8月(仏ビアリッツ)の首脳会談でトランプ大統領といわゆる「根回し」と呼ばれる事前調整作業をした。5月の日本国賓訪問当時はゴルフと炉端焼き、相撲観覧の接待を受けたトランプ大統領が「交渉を7月の参院選後まで待つ」と配慮したのが代表的な例だ。
9月の合意は「米国の農産物と日本の自動車の関税を日本の主導で発効した環太平洋経済連携協定(TPP)水準に下げる」というものだった。トランプ大統領は「米国の勝利」と主張したが、日本も自動車に対する追加関税を避けるなどそれなりの成果があった。「米中貿易紛争の中で不確実性を減らした」という財界の歓迎ムードの中、協定は昨年末、日本国会を通過した。
しかし安倍首相の個人技に依存する両国関係には暗礁が隠れている。まず、韓国と同じく在日米軍防衛費分担金が懸案として急浮上している。来年3月まで有効の現協定に代わる新しい交渉が今年夏以降に始まる。基地内の日本人職員の基本給と暖房・水道料金などに対する日本側の負担金、いわゆる「思いやり予算」(2019年基準で約20億ドル)の引き上げ幅が焦点だ。
読売新聞によると、昨年7月に訪日した当時のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が「韓国には従来の5倍を要求した」と紹介すると、当時の岩屋毅防衛相は「米兵の人件費まで支払えば、それは(同盟でなく)傭兵になってしまう。米軍のプライドが損なわれるのではないか」と受け返す場面もあった。河野太郎防衛相も最近「日米同盟の価値は金銭では計れない」と述べ、牽制を始めた。
日本政府はこの問題でも「クッションを通じた解決」を構想中だ。安倍首相は14回行われた首脳会談のたびにトランプ大統領に「米サンディエゴに基地を置くよりも日本に置く方が安いのでは」と日本の安保への貢献を強調した。このほかF35戦闘機や地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」など米国産武器の購入、無人島買い取りを通じた米軍艦載機訓練場所の提供などで米国の要求を引き下げるという腹案だが、この程度でトランプ大統領が満足するかは未知数だ。
アメリカファーストに対抗する日本の戦略と戦術は安倍首相が直接指揮する。インド・豪州・東南アジアなど「準同盟」の確保に注力したり中国との関係改善を併行したりと、大きな絵はすべて安倍首相が描く。7月の米国の中東派兵要請後に外務省の中東アフリカ局長が首相執務室に呼ばれた日数が27日にのぼるほど、政府内の細部の議論も安倍首相が主管する。
国益の前で与野党の対立が激しくないのは日本の強みだ。安倍内閣の支持率を10%以上落とした「桜を見る会」スキャンダルの中でも、日本の国会は昨年末、日米貿易交渉を大きな衝突なく批准した。
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